【2026年度診療報酬改定答申18】後発品の使用状況踏まえて後発品使用体制加算など廃止し新加算創設、ポリファーマシー対策も推進
2026.3.3.(火)
2026年度の次期診療報酬改定に向けて、2月13日に開催された中央社会保険医療協議会・総会において、新点数や新施設基準等の概要が明らかになりました。
●2026年度診療報酬関係の資料(告示内容等)はこちら(中医協資料)
Gem Medでは何回かに分けて答申内容、つまり新点数・新施設基準の大枠を眺めていきます(詳細は3月5日予定の告示(点数表や施設基準)、解釈通知等を待つ必要があります)。本稿では「効率化・適正化」に焦点を合わせます。
▽急性期入院医療に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)
▽包括期入院医療の代表格である地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)
▽物価・賃上げ対応のため「基本診療料アップ」「物価対応料の新設」「ベースアップ評価料の拡充」の記事はこちら
▽一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に関する記事はこちら(答申)とこちら(内容見直し)
▽ICUなどの高度急性期入院医療に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)
▽医療DX、サイバーセキュリティ対策に関する記事は こちら(答申)とこちら(短冊)
▽「外科医・外科症例の集約化」に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)
▽身体的拘束最小化、医療安全対策に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)
▽回復リハビリ病棟に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)とこちら(短冊)
▽リハ・栄養・口腔管理の一体的取り組み等に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)とこちら(短冊)
▽救急医療に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)
▽がん医療に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)
▽かかりつけ医機能に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)
▽在宅医療に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)
▽訪問看護に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)
▽オンライン診療恩らに関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊)
▽小児・周産期医療に関する記事はこちら(答申)とこちら(短冊))
後発品使用割合に応じた加算廃止し、医薬品の安定供給確保体制等を評価する加算新設
Gem Medで報じているとおり、医療保険財政が厳しさを増しており、今後もさらにその度合いは強くなっていきます。
まず「医療技術の高度化」により医療費が高騰していきます。例えば、脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」(1億6707万円)、白血病等治療薬「キムリア」(3350万円)などの超高額薬剤の保険適用が相次ぎ、キムリアに類似したやはり超高額な血液がん治療薬も次々に登場してきています。
また、新たな認知症治療薬「レケンビ」が保険適用され、さらに新たな認知症治療薬「ケサンラ」の保険適用も行われました。患者数が膨大なことから、医療保険財政に及ぼす影響が非常に大きくなる可能性があります。
他方、「数億円の薬価」すら予想される、小児の「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」(DND)治療に用いる「エレビジス点滴静注」の保険適用も近く行われる見込みです(関連記事はこちら)。
大企業の会社員とその家族が主に加入する健康保険組合の連合組織「健康保険組合連合会」では、こうした高額薬剤によって超高額レセプトの発生が増加し、医療保険財政を圧迫している状況を強く懸念しています(関連記事はこちら)。
あわせて「高齢化の進展」による医療費高騰も進みます。人口の大きなボリュームゾーンを占める団塊世代が2022年度から75歳以上の後期高齢者となりはじめ、今年度(2025年度)には全員が後期高齢者となります。後期高齢者は若い世代に比べて、傷病の罹患率が高く、1治療当たりの日数が非常に長く、結果、1人当たり医療費が若年者に比べて3.66倍と高くなります(関連記事はこちら)。このため高齢者の増加は「医療費の増加」につながるのです(医療費は1人当たり医療費×人数で計算できる)。
このように医療費が高騰していく一方で、支え手となる現役世代人口は2025年度から2040年度にかけて急速に減少していきます。
「減少する一方の支え手」で「増加する一方の高齢者・医療費」を支えなければならないために医療保険の制度基盤が極めて脆弱になり、さらに今後も厳しさを増してくと考えられるのです。
もちろん、病院経営が厳しさを増す中では「必要な医療費(=医療機関の経営原資)を確保しなければならない」ことは述べるまでもありませんが、「医療費の伸びを、我々国民が負担できる水準に抑える」ための取り組み(医療費適正化方策)も非常に重要となるのです。
2026年度診療報酬改定でも様々な効率化・適正化方策が盛り込まれていますが、まず「後発医薬品・バイオ後続品の使用促進」に注目してみると、例えば次のような対応がなされます。後発品の使用が相当程度進んでいる点を踏まえた対応(後発品の使用割合に着目した加算を廃止し、新加算へ組み替えるなど)が目を引きます。
▽後発品への置き換えの進展等を踏まえ、一般名処方加算の評価を引き下げる
・一般名処方加算1:(現行)10点→(見直し後)8点(2点ダウン)
・一般名処方加算2:(現行)8点→(見直し後)6点(2点ダウン)
▽一般名処方加算について、「バイオ後続品のあるバイオ医薬品の一般名処方」を行う場合も算定対象とし、バイオ後続品使用体制加算の算定日を、現在の「入院初日」から「退院日」に変更するする(安価なバイオ後続品の選択を促進する)
▽後発品への置き換えの進展等を踏まえ、後発医薬品使用体制加算(入院)・外来後発医薬品使用体制加算(クリニック外来)・後発医薬品調剤体制加算(薬局)を廃止する
▽「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」等の内容を踏まえ、医薬品の安定供給に資する体制を有している医療機関・薬局に対する評価を新設する
●入院での評価(病院、クリニック)
(新)地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院初日)
・地域支援・医薬品供給対応体制加算1:87点
・地域支援・医薬品供給対応体制加算2:82点
・地域支援・医薬品供給対応体制加算3:77点
●外来での評価(クリニックのみ)
(新)地域支援・外来医薬品供給対応体制加算
・地域支援・外来医薬品供給対応体制加算1:8点
・地域支援・外来医薬品供給対応体制加算2:7点
・地域支援・外来医薬品供給対応体制加算3:5点
●薬局での評価
(新)地域支援・医薬品供給対応体制加算:27点
【入院の地域支援・医薬品供給対応体制加算の施設基準】(病院部分の要点をGem Med編集部で抜粋)
▼加算1・2・3共通
・病院では、薬剤部門において後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ薬事委員会等で後発品採用を決定する体制が整備されている
・入院・外来において後発品使用に積極的に取り組んでいる旨を入院受付、外来受付、支払い窓口の見やすい場所に掲示し、原則としてウェブサイトに掲載している(自ら管理するホームページ等を有しない場合は除く)
・医薬品供給が不足した場合に、医薬品処方等の変更等に関して適切な対応ができる体制が整備されており、この体制に関する事項、医薬品供給状況によって投与薬剤の変更可能性があること、変更する場合には患者に十分に説明することについて、院内の見やすい場所に掲示し、原則としてウェブサイトに掲載している(自ら管理するホームページ等を有しない場合は除く)
・個々の医薬品の価値・流通コストを無視した値引き交渉を慎み、原則として「医薬品全品目について単品単価交渉」とする
・医薬品の流通の効率化・安定供給の確保のため、卸売販売業者への頻回配送、休日夜間配送及び急配に係る過度な依頼を慎む
・厳格な温度管理を要する医薬品、在庫調整を目的とした医薬品等について卸売販売業者への返品を慎む
・医薬品の流通改善・安定供給の観点から、平時から地域医療機関、保険薬局、医療関係団体と連携し、取り扱う医薬品の品目について情報共有や事前の合意等に取り組むことが望ましい
▼加算1
・後発品使用割合90%以上
▼加算2
・後発品使用割合が85%以上
▼加算3
・後発品使用割合が75%以上
▽医学的な必要性なく、患者の希望により長期収載品を使用する場合の「長期収載品と後発医薬品の価格差の一部を患者特別負担」とする仕組みについて、患者特別負担を、現在の「価格差の4分の1」から「価格差の2分の1」に引き上げる(患者負担増、関連記事はこちら)
病棟薬剤師の積極的なポリファーマシー対策を病棟薬剤業務実施加算の新区分で評価
また、より適切な医薬品使用を推進することを目指し、【病棟薬剤業務実施加算】について次のような見直しを行います。病棟薬剤師が積極的に薬剤総合評価調整業務(多剤の是正など)・退院時薬剤情報管理指導(減薬等の情報を地域の薬局の薬剤師等に提供)を行う場合、つまりより積極的にポリファーマシー(多剤投与の中でも害を伴うもの)対策を高く評価する加算区分を設けるものです。
(現在)
1 病棟薬剤業務実施加算1(週1回):120点
2 病棟薬剤業務実施加算2(1日につき):100点
↓
(見直し後)
(新)1 病棟薬剤業務実施加算1(週1回):300点
(改)2 病棟薬剤業務実施加算2(週1回):120点(現在の加算1→新たな加算2)
(改)3 病棟薬剤業務実施加算3(1日につき):100点(現在の加算2→新たな加算3)
【新たな病棟薬剤業務実施加算1の施設基準】
▽病棟ごとに専任の薬剤師を配置する
▽薬剤師が実施する「病棟における薬剤関連業務」につき、病院勤務医等の負担軽減および薬物療法の有効性・安全性に資するために十分な時間が確保されている
▽医薬品情報の収集・伝達を行うための専用施設を有する
▽当該医療機関における医薬品使用状況を把握するとともに、医薬品の安全性に係る重要な情報を把握した際に、速やかに必要な措置を講じる体制を有する
▽薬剤管理指導料の施設基準を届け出ている
▽「薬剤総合評価調整業務」および「退院時薬剤情報管理指導」につき十分な実績を有している
最後の「『薬剤総合評価調整業務』および『退院時薬剤情報管理指導』につき十分な実績を有している」という基準が新しく、他の基準は現在の「加算1」と同様に設定されるものと思われます。
「『薬剤総合評価調整業務』および『退院時薬剤情報管理指導』につき十分な実績を有している」という基準の詳細は、3月5日予定の告示・通知を待つ必要があります。
ポリファーマシー対策の推進に関連して、次のような対応も行われます。
▽転院や退院時に、転院先や地域の医療機関・薬局に「処方変更理由や服薬状況等の薬剤情報が適切に共有されず、入院時に行った減薬などのポリファーマシー対策が途切れてしまう」ことを防止するため、病院薬剤師による施設間の薬剤情報連携が促進されるよう、薬剤総合評価調整加算(100点)と退院時薬剤情報連携加算(60点)を統合し、▼点数の引き上げ(現在の100点から160点にアップ)▼要件の厳格化(「処方の内容の変更+療養上必要な指導」を「処方の内容の変更+療養上必要な指導+情報連携」とする)—を行う
▽特定疾患療養管理料・皮膚科特定疾患指導管理料・婦人科特定疾患治療管理料・耳鼻咽 喉科特定疾患指導管理料・二次性骨折予防継続管理料・小児科外来診療料の施設基準において、「患者の状態に応じ28日以上の長期の投薬を行うこと、またはリフィル処方箋を交付することが可能である旨を院内の見やすい場所に掲示する」ことを追加する
このほか、薬効分類が「たん白アミノ酸製剤」に分類される医薬品のうち、効能・効果が「一般に手術後患者の栄養保持」であり、用法・用量に「経口投与」が含まれる栄養保持を目的とした医薬品を処方する場合については、「以下の患者に対する使用に限り、その理由を処方箋・レセプトに記載することで保険給付の対象とする」ことが明確化されます(その他の患者に使用する場合、以下の患者への使用でも理由記載がない場合には保険給付の対象とならず、他の診療行為等も含めて自由診療(=患者の全額負担)となる点に留意)
(対象患者)
・手術後の患者
・経管により栄養補給を行っている患者
・疾病の治療のために必要であり、他の食事では代替できないなど、医師が特に医療上、栄養保持を目的とした医薬品の使用の必要があると判断した患者
なおGem Medではオンラインの改定セミナーで詳細な解説も行っています。是非、ご活用ください。
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【2026年度診療報酬改定答申1】急性期Aは1930点、多職種7対1急性期Bは1898点、急性期1と多職種7対1急性期4は1874点
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