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260324ミニセミナー診療報酬改定セミナー2026

救急患者の「下り搬送」を高次救急病院・地域密着型病院の双方で評価、救急外来の体制・実績を「救急外来医学管理料」で高く評価

2026.3.17.(火)

厚生労働省が3月5日、2026年度診療報酬に関する関係告示の公布・通知の発出を行いました。あわせて動画やパワーポイントスライドを用いた、分かりやすい解説も行われています。

2月13日の答申時点では明らかにされていなかった詳細な基準や要件の内容が示されています。Gem Medでは、順次、告示・通知内容をお伝えしています。

●厚労省の2026年度改定に関するサイトはこちら

今回は、「救急医療」に関する診療報酬・施設基準について、答申段階では明らかにされなかった点を眺めてみましょう(関連記事はこちら)。

高齢救急患者等の下り搬送、搬送元の高次救急、受け入れ先の地域密着の双方を評価

【救急患者連携搬送料】は、2024年度の前回診療報酬改定で新設された点数です。

高齢の救急搬送患者が急性期病棟に入院した場合、「安静臥床→筋肉・骨量の減少→要介護度悪化・寝たきり」などに陥るリスクが高いことを踏まえ、高次の救急病院(救命救急センター)などに一度搬送されたが、「自院で対応しなければならないほどの重症な状態ではなく、リハビリ等を積極的に行える地域の病院でも十分に対応可能である」と高次救急病院が判断し、日頃から連携関係のある地域の病院に3日目以内に転院搬送(いわゆる下り搬送)を行うことを評価するものです。

2026年度診療報酬改定では、この「高次救急病院と地域病院との平時からの連携、比較的軽症な患者の転院搬送」が地域でより普及していくことを目指した対応が図られ、3月5日に示された通知▼診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて—を含めて、次のようになることが明らかにされています。

●【救急患者連携搬送料】の細分化
→「救急患者の適切な転院搬送」を更に推進するために、(1)入院「前」の搬送を行う場合の評価を引き上げる(2)自院等の救急自動車「以外」を活用して搬送する場合も評価対象とする(3)下り搬送先での受け入れを評価する―

まず(1)は、高次の救急病院に救急搬送された患者について、より早期に状態を把握し、比較的軽症等の場合には、入院させる「前」に地域密着型病院への転院搬送(下り搬送)を行うことを評価するものです(入院前の搬送を、現在の1800点から600点引き上げ、2400点とする)

また、(2)は、現在「高次の救急病院の救急車に、自院の医師、看護師等を同乗させて転院搬送する」ケースのみが評価されているところ、「民間の救急車等を活用して転院搬送する」「転院搬送先の救急車にお迎えに来てもらう」ケースも評価対象とするものです。

さらに(3)は、より円滑な転院搬送を実現するために、転院搬送先(下り搬送先)の病院での受け入れも評価対象とします。

この結果、報酬体系は次のようにやや複雑なものとなります。

(現在)
救急患者連携搬送料
1 入院中の患者以外の患者の場合:1800点(救急外来対応後、すぐに下り搬送する場合)
2 入院「初日」の患者の場合:1200点
3 入院「2日目」の患者の場合:800点
4 入院「3日目」の患者の場合:600点

(見直し後)
1 救急患者連携搬送料1(搬送する側の高次救急病院で算定する)
イ 医師、看護師または救急救命士が同乗して搬送する場合
(1)入院中の患者以外の患者の場合:2400点(現在から600点アップ)
(2)入院初日の患者の場合:1200点
(3)入院2日目の患者の場合:800点
(4)入院3日目の患者の場合:600点

ロ その他の場合(新設、民間救急等を利用するなどし、高次救急病院の医師等が同乗なしない場合)
(1)入院中の患者以外の患者の場合:1000点
(2)入院初日の患者の場合:500点
(3)入院2日目の患者の場合:350点
(3)入院3日目の患者の場合:250点

2 救急患者連携搬送料2(受け入れ側の地域密着型病院で算定)
イ 医師、看護師または救急救命士が同乗して搬送する場合:800点
ロ その他の場合:200点



見直し後の救急患者連携搬送料(1のイロ、2のイロ)の関係は、3月5日に示された通知「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」で次のように明らかにされました(答申段階の記事と内容は変わっていませんが、より精緻に場合分けされています)。

【搬送元の高次救急病院の緊急自動車に、搬送元の高次救急病院の医師、看護師等が同乗する場合】
▽搬送元である高次救急病院側
→1 救急患者連携搬送料1のイ「医師、看護師または救急救命士が同乗して搬送する場合」(600点から2400点)を算定

▽搬送先(受け入れ先)である地域密着型病院側
→2 救急患者連携搬送料2のロ「その他の場合」(200点)を算定



【搬送先の地域密着型病院の緊急自動車に、搬送先の地域密着型病院の医師、看護師等が同乗する場合】
▽搬送元である高次救急病院側
→1 救急患者連携搬送料1(搬送する側の高次救急病院で算定する)のロ「その他の場合」(250点から1000点)を算定

▽搬送先(受け入れ先)である地域密着型病院側
→2 救急患者連携搬送料2のイ「看護師または救急救命士が同乗して搬送する場合」(800点)を算定



【搬送元の高次救急病院の緊急自動車、搬送先の地域密着型病院の緊急自動車、民間の患者搬送等自動車に、医師、看護師が同乗せずに転院搬送する場合】
▽搬送元である高次救急病院側
→1 救急患者連携搬送料1(搬送する側の高次救急病院で算定する)のロ「その他の場合」(250点から1000点)を算定

▽搬送先(受け入れ先)である地域密着型病院側
→2 救急患者連携搬送料2のロ「その他の場合」(200点)を算定

救急患者連携搬送料の算定イメージ



つまり、搬送元である高次救急病院が、高点数の「1のイ」を算定できるのは、「自院(高次救急病院)の緊急自動車に、自院(高次救急病院)の医師、看護師等が同乗する」場合のみとなります。

また、搬送先(受け入れ先)である地域密着型病院が、高点数の「2のイ」を算定できるのは、「自院(地域密着型病院)の緊急自動車に、自院(地域密着型病院)の医師、看護師等が同乗してお迎えにいく」場合のみとなります。

その他の転院搬送については、搬送元である高次救急病院側では少し低めの「1のロ」を、搬送先(受け入れ先)である地域密着型病院でも少し低めの「2のロ」を算定することになります。

1・2の「イ」では、同乗する医師、看護師などの負担を考慮して高い点数が設定されていると言えるでしょう。

この点、医師、看護師等が同乗している転院搬送で、搬送時間が長くなれば、その分、同乗している医師、看護師の負担が当然、重くなります。このため、1・2のいずれでもイ「医師、看護師または救急救命士が同乗して搬送する場合」(高次病院側、下り搬送を受ける地域病院側の双方)について、当該搬送時間(搬送元出発から搬送先到着までの時間)が「30分」を超えた場合には【長時間加算】(700点)が上記点数に上乗せされます。



さらに3月5日の通知「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」では、次のような点も明確にされています。

▽転院搬送先の地域密着型病院に、患者が「入院しなかった」場合には、搬送元である高次救急病院次で【救急患者連携搬送料】(1のイ、1のロ)を算定できない(従前どおりの解釈)

▽転院搬送先の地域密着型病院では、「救急患者連携搬送料1を高次救急病院で算定した患者」を受け入れた場合に、救急患者連携搬送料2を入院初日に算定する

▽いわゆる「上り搬送」、「高次救急病院で入院医療提供を行っていない診療科に係る入院医療を提供するための他院への搬送(例えば高次救急で精神疾患の入院対応を行っていないため、他院の精神科等に搬送る場合など)」は、救急患者連携搬送料の対象外である(算定できない)(従前どおりの解釈)

▽転院搬送元の高次救急病院の緊急自動車、搬送先の地域密着型病院の緊急自動車で転院搬送を行う場合、「転院搬送にかかる費用」を患者から徴収することはできない

▽民間の患者搬送サービスを利用する場合の費用については、▼医療機関が支払う方法▼患者が支払う方法—が考えられる。患者が費用を負担する場合には、「当該保険医療機 関がその搬送に要する費用を負担する方法や、患者等搬送事業者が直接患者からその搬送 に要する費用を徴収することなどが考えられる。なお、患者がその費用を負担した場合に は、「健康保険の移送費の支給の取扱いについて」(1994年厚生省等通知)に基づき、患者が移送費の支給を受けることが考えられる

▽搬送元の高次救急病院は、「搬送する患者の初期診療における診断名、診療経過、初期診療後に入院が必要な理由」などの情報を、搬送先の地域密着型病院に対し、搬送を行う際に文書等により提供し、提供した情報の内容を診療録に添付・記載する。あわせて搬送先の医療機関名を診療録・レセプトの摘要欄に記載する(従前どおりの解釈)



また、施設基準については次のように設定されます。

●搬送元の高次救急病院側(救急患者連携搬送料1を取得する際の施設基準)
▽救急用自動車または救急医療用ヘリコプターによる救急搬送件数が年間「2000件」以上
▽受け入れ先の候補となる他医療機関において「受け入れが可能な疾患や病態」について、当該医療機関(高次救急病院)が地域のメディカルコントロール協議会等と協議を行った上で、「候補となる医療機関」(受け入れ先)のリストを作成する
▽転院搬送を行った患者の診療に関する「転院搬送先からの相談」に応じる体制、および
転院搬送を行った患者が急変した場合等に「必要に応じて再度当該患者を受け入れる」体制を有する
※「毎年8月の転院搬送状況報告」の基準が削除されているが、届け出時に報告を行うため、実質的に「従前から施設基準の変更はない」と考えることができる

●搬送先の地域密着型病院(救急患者連携搬送料2を取得する際の施設基準):新設
▽「自院で受け入れが可能な疾患や病態」について、救急患者連携搬送料1を届け出る他医療機関(高次救急病院)や地域のメディカルコントロール協議会等とあらかじめ協議を行った上で、「搬送元の候補となる医療機関」(高次救急病院)のリストを作成する
▽以下のいずれにも該当しない
・特定機能病院
・都道府県が定める救急医療に関する計画に基づいて運営される「救命救急センター」を有している医療機関
【急性期総合体制加算】を届け出ている医療機関



なお、報酬体系の見直し等を踏まえて届け出様式が次のように見直されています。

救急患者連携搬送料の届け出様式

救急外来の体制・実績を、より高く経済的に評価

また、救急外来については、Gem Medで報じているとおり、現在の【夜間休日救急搬送医学管理料】を拡充・発展的改組し、救急患者等の受け入れ体制・受け入れ実績を踏まえた【救急外来医学管理料】への見直しが行われます。

【救急外来医学管理料】は、「救急搬送された患者への対応」と「救急搬送以外のウォークインなどで時間外に来院した患者への対応」とで2つに区分されます。

1 救急搬送医学管理料
→救急車等で緊急に搬送された患者に対し必要な医学管理を行うことを評価する
イ 救急搬送医学管理料1:800点
ロ 救急搬送医学管理料2:600点
ハ 救急搬送医学管理料3:200点

2 夜間休日救急医学管理料
→診療時間外(土曜日以外の日(休日を除く)では夜間に限る、以下同))、休日、深夜に救急外来を受診した患者(救急車等で緊急に搬送された患者を除く、例えばウォークインの患者など)に対し必要な医学管理を行うことを評価する
イ 夜間休日救急医学管理料1:600点
ロ 夜間休日救急医学管理料2:400点
ハ 夜間休日救急医学管理料3:50点

救急外来医学管理料の全体像



また、次のような加算も設けられます。

【救急外来緊急検査対応加算】
▽救急搬送等の患者に対し必要な検査、画像診断、処置、注射を実施する場合には、次の点数を加算する(上記管理料1取得病院では加算1を、同管理料2取得病院では加算2を算定)
イ 救急外来緊急検査対応加算1:300点
ロ 救急外来緊急検査対応加算2:200点



【精神科疾患患者等受入加算】:400点
▽「急性薬毒物中毒(アルコール中毒を除く)と診断された患者」または「過去6か月以内に精神科受診の既往がある患者」に対して必要な医学管理を行う場合に加算する(特段の施設基準は設定されず)



【救急時医療情報取得加算】:50点
▽救急搬送医学管理料または夜間休日救急医学管理料に規定する患者で、「意識障害の患者」に対し救急時医療情報閲覧機能(いわゆる救急用サマリ)および電子処方箋システムを用いて診療情報を取得した場合に、月1回に限り加算する



【時間外救急搬送加算】
▽「救急搬送医学管理料」について、土曜日、日曜日、祝日、夜間において救急車等により緊急に搬送された患者に対して必要な医学管理を行う場合に、当該患者が受診した時間の区分に従い、次の点数を加算する
イ 土曜日・日曜日・祝日における夜間の場合:300点
ロ 土曜日・日曜日・祝日「以外」の日における夜間の場合:250点
ハ 土曜日・日曜日・祝日における夜間「以外」の時間の場合:200点



◆【院内トリアージ実施体制加算】:50点



現在の【夜間休日救急搬送医学管理料】と比べると、次のように救急外来患者への対応について「高い経済的評価が行われる」ことが分かります(下記の評価のほか、初再診料、検査料、処置料などの通常の外来診療の点数を算定可)。

●平日の日中に救急搬送された患者への対応
(現在)
・特段の評価なし

(見直し後)
・救急搬送医学管理料(病院の体制、実績に応じて200点から800点を算定可能)+救急外来緊急検査対応加算(病院の体制、実績に応じて200点または300点)【計400点から1100点】

●夜間、土曜・休日に救急搬送された患者への対応
(現在)
・夜間休日救急搬送医学管理料(初診の場合のみ600点)+救急搬送看護体制加算(200点または400点)【初診患者では計800点から1000点】

(見直し後)
・救急搬送医学管理料(病院の体制、実績に応じて200点から800点)+時間外救急搬送加算 (休日等日中200点、平日夜間250点、休日等夜間300点)+救急外来緊急検査対応加算(病院の体制、実績に応じて200点または300点)【計600点から1400点】

●平日の日中にウォークイン等で救急外来を受診した患者への対応
(現在、見直し後)
・ともに特段の評価なし

●夜間、土曜・休日にウォークイン等で救急外来を受診した患者への対応
(現在)
・トリアージを実施した初診患者では院内トリアージ実施料(300点)の評価 (トリアージを実施した患者のみ)

(見直し後)
・夜間休日救急医学管理料(病院の体制、実績に応じて50点から600点)+院内トリアージ実施体制加算50点(最新患者等でも算定可)+救急外来緊急検査対応加算(病院の体制、実績に応じて200点または300点)【計300点から950点】

救急外来にかかる評価再編イメージ



救急外来の体制・実績を、より高く経済的に評価していることが確認できます。

救急外来医学管理料(救急搬送医学管理料、夜間休日医学管理料)の施設基準については、すでに答申段階の記事で詳しく報じています。



なおGem Medではオンラインの改定セミナーで詳細な解説も行っています。是非、ご活用ください。



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