Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病床ユニット

希少がんの「四肢軟部肉腫」を適切に治療できる施設リストを公開―国がん

2018.1.9.(火)

 国立がん研究センター(国がん)は昨年(2017年)12月25日、希少がんの一種である四肢軟部肉腫の治療を適切に行う体制や治療実績を有する病院53施設のリストを公開しました(国がんのホームページはこちら)。医療機関が四肢軟部肉腫を疑った際に、このリストにある施設を患者に紹介することで、診断までの時間が短縮すると期待されます。

希少がんの課題解決へ、専門施設の情報公開第1弾

 罹患率が低い希少がんの治療をめぐっては、▼専門的な治療を実施できる医師や医療機関が少ない▼診療ガイドラインの整備や診断・治療法の開発が進みづらい―といった課題があると指摘されます。

 このため、政府の第2期「がん対策推進基本計画」(2012-2016年度)に基づいて、厚生労働省の検討会で、希少がん対策の進め方などを議論し、「国がんを事務局とし、関連学会、研究者、患者団体等の希少がん対策関係者で構成される『ワーキンググループ』を設置し、がん種ごとの情報提供などを進めていくべき」といった報告書を2015年8月にまとめました。これを受けて、希少がんのがん種ごとの対策が、「希少がん対策ワーキンググループ」(国がんが事務局を担当)で検討されています。また先ごろ取りまとめられた第3期基本計画の中でも、「希少がん対策」が重要施策の一つに位置付けられています。

 ワーキンググループでは、第2期基本計画の中で、希少がんの例として肉腫が挙げられていることなどを踏まえて四肢軟部肉腫を最初の検討対象に設定。専門的な治療を実施できる施設(専門施設)のリストを作成・公表しました。

 軟部肉腫は希少がんの1種で、筋肉や血管などの軟部組織から発生します。年間の罹患率は、人口10万人当たり3.6人と推計されています。様々な部位に発生し、このうち手足や体幹表面にできるものが四肢軟部肉腫と呼ばれます。

 具体的には、▼北海道がんセンター(北海道)▼弘前大学医学部附属病院(青森県)▼がん研究会有明病院(東京都)▼静岡県立静岡がんセンター(静岡県)▼大阪国際がんセンター(大阪府)▼岡山大学病院(岡山県)▼久留米大学病院(福岡県)―など53の医療機関が、「四肢軟部肉腫治療専門施設」として選定されました。次のような診療実績・体制を有している施設です。

▼四肢軟部肉腫の新規診断・治療開始例が、2013年から2015年までの3年間、毎年1例以上ある
▼肉腫の病理診断が可能な病理専門医と、肉腫の薬物療法が可能ながん薬物療法専門医、放射線診断専門医、放射線治療医が常勤で勤務している
▼軟部肉腫専門の整形外科専門医か形成外科専門医が、常勤で2人以上勤務している

国がんは、四肢軟部肉腫の専門的な治療を実施できる53施設のリストを公表した

国がんは、四肢軟部肉腫の専門的な治療を実施できる53施設のリストを公表した

 国がんでは今後、「希少がん対策ワーキンググループ」での検討を進めて、他の「希少がん」についても専門施設の情報公開を行う予定です。

診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

第3期がん対策推進基本計画を閣議決定、ゲノム医療推進や希少・難治がん対策など打ち出す
第3期がん対策基本計画案を了承、2020年までに受動喫煙をゼロにする—がん対策推進協議会

第3期がん対策の素案、予防・医療充実・共生・基盤整備すべてを重点分野に—がん対策推進協議会
第3期がん対策基本計画、「がんの克服」をスローガンに掲げる—がん対策推進協議会
「免疫療法」の推進、科学的根拠のない免疫細胞療法と峻別し、がん対策基本計画に明記を―がん対策推進協議会
次期がん対策基本計画の全体目標、「予防」「治療」「共生」を軸に調整―がん対策推進協議会
新がん対策の全体目標、新たに「がんになる国民を減らす」との柱を加えてはどうか―がん対策推進協議会
がん検診、科学的根拠に基づかないものは対策型として実施すべきではない―がん対策推進協議会
がん治療の専門家やキャンサーナビゲーターの育成・配置を―がん対策推進協議会
AYA世代や高齢者へのがん対策、多様なニーズを踏まえられるような体制を―がん対策推進協議会
第3期がん対策推進基本計画、ゲノム医療や希少・小児がん対策などを柱の1つに―がん対策推進協議会
第3期がん対策推進基本計画の策定に向け、集中的に議論を重ね早ければ年内に骨子案策定―がん対策推進協議会
がん対策基本計画の中間評価まとまる、「死亡率20%減」は達成できず―がん対策推進協議会
がん対策推進基本計画の中間評価、6月10日の協議会で報告書とりまとめへ―がん対策推進協議会
がん対策の最大目標「死亡率の20%減少」、達成困難な状況に危機感―がん対策推進協議会

胸部食道がん、平均値では胸腔鏡手術のほうが開胸手術よりも術後日数が長い―CQI研究会
ベンチマークと臨床指標でがん医療の均てん化を推進―CQI研究会、8月開催
大腸がんの在院日数、短縮傾向もなお病院格差-CQI研究会が経年分析
乳がんの治療法、放射線実施率など格差鮮明―CQI研究会、臨床指標20項目を調査
前立腺がん手術、在院日数最短はダヴィンチ、合併症発生率は?―第10回CQI研究会

医療経済学者がキャンサーナビゲーターになった(1)―「アジアの疾病」
医療経済学者がキャンサーナビゲーターになった(2)―「戦場を失くした戦士」
がん患者の不安と徹底して向き合い導く「キャンサーナビゲーション」って何だ?
優れた医療を日本に-全米屈指のクィーンズメディカルセンターでGHCが研修(1)
医療スタッフの生産性向上は日本でも必須の課題に-全米屈指のクィーンズメディカルセンターでGHCが研修(2)
がん医療の臨床指標を定め、自院と他院のベンチマークすることで医療の質が向上―がん研有明病院とGHCが共催セミナー

がん診療連携拠点病院におけるステージ別症例数や人員体制など、国民に分かりやすく情報提供―がん診療提供体制検討会
がん医療の均てん化を進めるが、粒子線治療やゲノム医療など一部は集約化も必要―がん診療提供体制検討会(1)
がんの地域連携パスを活用し、拠点病院単独でなく地域全体でがん患者を支えよ―がん診療提供体制検討会(2)

がんゲノム医療を提供できる中核病院を、本年度(2017年度)中に7-10施設指定—がんゲノム医療懇談会
がんゲノム医療、当面は新設する「がんゲノム医療中核拠点病院」で提供―がんゲノム医療懇談会
がんとの闘いに終止符打つため、広く関係者が集い世界水準の「ゲノム医療」推進―厚労省

「外の血」と競争恐れず、脚下照顧から始めよ―ニッポンがん医療、異端児対談(2)
データ公開阻む根本課題は、医局制度にあり―ニッポンがん医療、異端児対談(1)

ステージ3Bの医療経済学者、がんで逝った友への鎮魂歌