出生時体重が3000g未満であった女性は「妊娠高血圧症候群」のリスク高い―国がん・成育医療研
2021.4.20.(火)
自身の出生体重が3000g未満の日本人女性では、妊娠高血圧症候群を発症するリスクが高い―。
国立がん研究センターと国立成育医療研究センターは4月14日に、こういった研究結果を公表しました(国がんのサイトはこちら)。
出生体重1500-2499gであった女性は「妊娠糖尿病」のリスクも高い
従前の欧米における研究から、「出生時の体重が少ない女性では、成人になると▼高血圧▼糖尿病▼心疾患—などのリスクが高い」ことが報告されていますが、日本人では関連が明らかになっていませんでした。
そこで国がんと成育医療研は今般、日本人女性を対象に「出生体重と妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病との関係」を明らかにするための調査を実施。40―74歳の日本人女性およそ4万6000名を対象としています。
そこからは、次のような状況が明らかとなりました。
【出生体重と妊娠高血圧症候群との関係】
▽出生体重が3000-3999gのグループに比べて、▼2500-2999g▼1500-2499g▼1500g未満—のグループでは「妊娠高血圧症候群」のリスクが統計学的に有意に高い
▽出生体重が4000g以上のグループでも、妊娠高血圧症候群のリスクは高いが、統計学的に有意な関連はない(ただし、N数が少ない点に留意)
【出生体重と妊娠糖尿病との関係】
▽出生体重が3000-3999gのグループに比べて、1500-2499g のグループで「妊娠糖尿病」のリスクが高いが、その他のグループでは関連が見られなかった
両センターでは、「低出生体重児では▼血管の内皮機能が弱い▼腎機能が低下しやすい―ことが報告されており、これが妊娠高血圧症候群のリスクが高い理由の一つではないか」と推測しています。
なお、「出生体重4000g以上(巨大児)であった女性は、妊娠高血圧症候群のリスクは高いが統計学的な有意差はない」「出生体重1500g未満であった女性について、妊娠糖尿病のリスクとの関連は不明である」との結果が得られていますが、「4000g以上」「1500g未満」のグループの人数が少ないために、明確な結果が得られなかった可能性があります。欧米の先行研究では「出生体重が多い場合にも妊娠高血圧症候群のリスクが高くなる」「出生体重が少ない場合に妊娠糖尿病のリスクが高くなる」との報告がある点に留意が必要です。
今般の研究では「妊娠から出産までの期間が把握できていない」「出生時体重を自己申告で把握している」などの限界があります。将来的に、傷病に関する治療や健診・検診等のデータを、本人同意の下で「個人単位で紐づけし、分析解析する」ことが可能になっていきます(データヘルス改革)。その暁にはよりしっかりした調査・分析が可能となるでしょう。
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