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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

がん患者等の仕事と治療の両立、【療養・就労両立支援指導料】や外来化学療法の【連携充実加算】等でサポート―厚労省

2020.3.10.(火)

お伝えしているとおり、厚生労働省は3月5日に、2020年度診療報酬に関する関係告示の交付・通知の発出を行いました。

Gem Medでは、順次、告示・通知内容をお伝えしていきます。今回は「がん対策」のうち「がんゲノム医療」以外に関連する深い事項を見てみましょう(がんゲノム医療に関する記事はこちら、急性期一般に関する記事はこちら、総合入院体制加算に関する記事はこちら、働き方改革にする記事はこちら、人工透析に関する記事はこちら)。

2020年度診療報酬改定に関する厚労省サイトはこちら(告示・通知・関係資料などが無料でダウンロードできます)

【療養・就労両立支援指導料】を医療現場の実態を踏まえ、活用しやすく大幅改善

本邦において死因第1位を独走する「がん」への対策は極めて重要な政策テーマであり、2020年度診療報酬改定でもさまざまな手当てが行われます。Gem Medでは、大きく(1)がんゲノム医療の推進(2)治療と仕事の両立推進(3)外来での化学療法の推進―の3つの柱があると考えています(関連記事はこちら)。このうち(1)のがんゲノム医療に関しては既にGem Medでお伝え済です。

まず(2)の「治療と仕事の両立推進」に関しては、【療養・就労両立支援指導料】の大幅見直しが行われます。現行点数における「患者の努める企業が産業医を配置していなければならず、産業医がアクションを起こさなければ算定できない」「対象ががんに限定されている」などの課題を解消する狙いがあります。

見直し後の大きな流れは、次のようなります。
▽患者と事業主が共同で「勤務情報を記載した文書」を作成する

▽文書を患者が主治医に渡す

▽主治医は、患者に対し就労の状況を考慮して「療養上の指導」を実施するとともに、患者が勤務する事業場に選任されている産業医等に対し「病状、治療計画、就労上の措置に関する意見など、患者の就労と療養の両立に必要な情報の提供」を行う

療養・就労両立支援指導料の見直し1(2020年度改定告示・通知(6)1 200305)



主治医から産業医等への情報提供方法は、▼病状、治療計画、治療に伴い予想される症状、就労上必要な配慮等について、厚労省の定める様式などを参考に文書で情報提供を行う(文書の写しを診療録に添付)▼患者の診察に同席した産業医等に対して、就労と療養の両立に必要なことを説明し、説明の内容を診療録等に記載する―のいずれかの手法を用いることになります。

算定要件が見直されたことから、算定する医療機関、つまり「就労と療養の両立」に向けた指導を積極的に行う医療機関が大幅に増加すると期待され、がん等と闘う患者にとっても心強い改定内容と言えるでしょう。

また、点数設計が次のように見直されています。
●所定点数
(現行)

▽6か月に1回、1000点

(改定後)
▽初回:800点(上記を行った場合に月1回)
▽2回目以降:400点(初回算定患者に必要な指導を行った場合、初回算定日の属する月から起算して3か月を限度に、月1回)

●【相談体制充実加算】
(現行)

▽所定点数に500点を加算

(改定後)
廃止

●(新設)【相談支援加算】
▽所定点数に50点を加算(国・医療関係団体等の実施する両立支援コーディネーター養成研修を修了した専任の看護師または社会福祉士を配置(【患者サポート体制充実加算】に規定する職員との兼任可)し、その患者が相談支援を行うこと)



現行では、最大で1500点(【療養・就労両立支援指導料】(1000点)+【相談体制充実加算】(500点))が算定できますが、改定後は最大で2200点(【療養・就労両立支援指導料】の初回(800点)+【療養・就労両立支援指導料】の2回目以降(400点)×3+【相談支援加算】(50点)×4)が算定可能となります。

また、▼対象疾患に「脳血管疾患」「肝疾患」「指定難病」を追加する▼対象となる企業側の連携先に、「総括安全衛生管理者」「衛生管理者」「安全衛生推進者」「労働者の健康管理等を行う保健師」を追加する―といった見直しが行われます。

療養・就労両立支援指導料の見直し2(2020年度改定告示・通知(6)2 200305)

医療機関と地域薬局が連携した外来化学療法サポートを【連携充実加算】として評価

(3)の「外来での化学療法の推進」に関しては、(A)質の高い外来がん化学療法の評価として【外来化学療法加算】に【連携充実加算】(月1回、150点)を新設する(B)【外来栄養食事指導料】の要件を見直す(C)薬局でのレジメンを活用した薬学的管理等の評価として【特定薬剤管理指導加算2】(月1回、100点、調剤報酬)を新設する―という見直しが行われます。

外来化学療法の推進(2020年度改定告示・通知(6)3 200305)



このうち(A)の【連携充実加算】は、一定の施設基準を満たす医療機関が、【外来化学療法加算1】の(1)「抗悪性腫瘍剤を注射した場合」の算定患者に対し、副作用の発現状況、治療計画等を文書により提供するとともに、患者の状態を踏まえて必要な指導を行うことを評価するものです(詳細は、下の【算定要件】)。

【施設基準】
▽外来化学療法加算1を届け出ていること

▽【外来化学療法加算】で開催が求められる「実施される化学療法のレジメン(治療内容)の妥当性を評価し、承認する委員会」に、管理栄養士が参加していること

▽次に掲げる地域医療機関・薬局との連携体制を整備していること
・当該医療機関で実施する化学療法のレジメンをホームページ等で閲覧できるようにしておく
・当該医療機関で「外来化学療法に関わる職員」「地域の薬局に勤務する薬剤師」などを対象とした研修会等を年1回以上実施する(ただし、2020年3月31日時点で【外来化学療法加算1】を届け出ている場合、2020年9月30日まで箱の要件を満たすと見做す)
・他医療機関・薬局からの「レジメンに関する照会」「患者の状況に関する相談・情報提供」などに応じる体制を整備し、ホームページや研修会等で周知する

▽外来化学療法を実施する医療機関に5年以上勤務し、栄養管理(悪性腫瘍患者に対するものを含む)経験3年以上の専任の常勤管理栄養士が勤務している

【算定要件】
▽「化学療法経験を有する専任医師」または「化学療法に係る調剤経験のある専任薬剤師」が、必要に応じてその他の職種と共同して、患者に注射・投薬されている抗悪性腫瘍剤等の副作用の発現状況を評価するとともに、副作用の発現状況を記載した治療計画等の治療の進捗に関する文書を患者に交付する

▽当該文書には、▼患者に実施しているレジメン▼当該レジメンの実施状況▼患者に投与した抗悪性腫瘍剤等の投与量▼主な副作用の発現状況(副作用の重篤度スケール(Grade)および関連する血液・生化学的検査の結果など)▼その他医学・薬学的管理上必要な事項―を記載する

▽治療状況等の共有を目的に、患者に対して、交付した「治療計画等の治療の進捗に関する文書」を他医療機関・薬局に提示するよう指導する

▽他医療機関・薬局から服薬状況、抗悪性腫瘍剤等の副作用等に関する情報が提供された場合に必要な分析または評価等を行う

▽(「望ましい」要件)悪性腫瘍治療担当医の診察に当たり、あらかじめ薬剤師、看護師等と連携して服薬状況、抗悪性腫瘍剤等の副作用等に関する情報を収集して活用する

▽療養のために必要な栄養指導を実施する場合には、管理栄養士と連携を図る

管理栄養士による外来化学療法患者への頻回な栄養指導を経済的に評価

また(B)では、がん化学療法を受けている患者の栄養状態向上を目指すものです。

【外来栄養食事指導料】を算定するためには「30分以上(初回)・20分以上(2回目以降)」の長時間指導が必要ですが、がん化学療法中の患者では、長時間の指導に体力が追い付かず、この時間要件をクリアすることが難しいケースも少なくありません。

しかし、患者の栄養状態向上が化学療法の継続にとって非常に重要であることから、今般、一定の施設基準を満たす医療機関において、外来化学療法を行っているがん患者に対し、上述の【連携充実加算】における管理栄養士が医師の指示に基づいて具体的な献立等によって月2回以上の指導を行う場合に、2回目の指導時に【外来栄養食事指導料1】の(2)「2回目以降」のうち「対面で行った場合」の点数(200点)の算定が認められるようになります(指導は【外来化学療法加算】の算定日と同日であることが必要)。なお、【外来栄養食事指導料】の(1)「初回」(260点)の要件を満たす場合には、当該点数を算定可能です。

【施設基準】
▽外来化学療法を実施するための専用ベッド(点滴注射による化学療法を実施するに適したリクライニングシート等を含む)を有する治療室を保有し、専任の常勤管理栄養士を1人以上配置していること

▽(「望ましい」要件)管理栄養士は、医療関係団体等が実施する悪性腫瘍に関する栄養管理方法等の習得を目的とした研修を修了していること

がん化学療法患者に対する外来栄養食事指導の特例(2020年度改定告示・通知(6)4 200305)



さらに、【連携充実加算】を取得する医療機関と連携して、がん化学療法患者に対して、副作用対策や支持療法に係る薬剤の指導等を行うとともに、患者の状態(服薬状況や副作用の有無など)を電話等で確認し、その情報を医療機関にフィードバックする薬局では、(C)のように【薬剤服用歴管理指導料】の「特定薬剤管理指導加算2」(月1回まで100点)を算定することが可能となります。薬局へのインセンティブにより、【連携充実加算】と取得する医療機関との連携を促すものです(連携することで医療機関、薬局、患者のそれぞれにメリット)。

薬局による外来化学療法のサポート(2020年度改定告示・通知(6)5 200305)



外来化学療法の推進は、先に述べたがん患者の「就労と療養の両立」にも大きく貢献します。地域において医療機関(医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等)と薬局が連携し、外来で化学療法を受ける患者をサポートする体制の構築に大きな期待が集まります。



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【2020年度診療報酬改定答申5】がん患者への「ゲノム医療」「治療と仕事の両立支援」「外来での化学療法」推進
【2020年度診療報酬改定答申4】リハビリが必要な患者に適切なリハが実施されるよう、回復期リハ病棟入院料や疾患別リハ料見直し
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【2020年度診療報酬改定答申2】救急2000件以上で勤務医負担軽減図る病院、【地域医療体制確保加算】(520点)でサポート
【2020年度診療報酬改定答申1】重症患者割合、特定機能病院は看護必要度IIで28%、急性期1は必要度Iで31%、必要度IIで29%に

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がん患者等の仕事と治療の両立目指す、【療養・就労両立支援指導料】を大幅改善―中医協総会(1)
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救急搬送受け入れ2000件以上で、勤務医負担軽減に取り組む医療機関を【地域医療体制確保加算】で評価―中医協総会(3)
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小児抗菌薬適正使用支援加算、算定対象を3歳以上にも広める一方で算定要件厳格化を模索―中医協総会(2)
急性期一般1の「重症患者30%以上」等の施設基準、中医協の支払側委員は「低すぎる」と強調
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慢性腎疾患患者への「腎移植の選択肢もある」などの情報提供を促進せよ―中医協総会(2)
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「働き方改革」への診療報酬でのサポート、人員配置要件緩和を進める方向は固まるが・・・―中医協総会(1)
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入院患者のポリファーマシー対策、減薬の成果だけでなく、減薬に向けた取り組みも評価してはどうか―中医協総会(1)
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小規模な急性期一般1で認知症患者が多い背景、回復期リハの実績評価の妥当性など検討を―中医協・基本小委
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スタッフの8割以上が理学療法士の訪問看護ステーション、健全な姿なのか―中医協総会
2040年にかけて人口が70%減少する地域も、医療提供体制の再構築に向け診療報酬で何ができるのか―中医協総会
CT・MRIの共同利用、医療被曝防止に向けたガイドライン活用などを診療報酬でどう進めるか―中医協総会(2)
ポリファーマシー対策を診療報酬でどう進めるか、フォーミュラリの報酬評価には慎重意見―中医協総会(1)
新規の医療技術、安全性・有効性のエビデンス構築を診療報酬で促し、適切な評価につなげよ―中医協総会(2)
オンライン診療、「有効性・安全性のエビデンス」に基づき算定要件などを議論―中医協総会(1)
医師の働き方改革、入院基本料や加算の引き上げなどで対応すべきか―中医協総会(2)
がんゲノム医療の推進に向け、遺伝子パネル検査を6月から保険収載―中医協総会(1)
外来医療の機能分化に向け、「紹介状なし患者の定額負担」「かかりつけ医機能の評価」など議論―中医協総会(2)
画期的な白血病治療薬「キムリア」を保険収載、薬価は3349万円―中医協総会(1)
高齢者へのフレイル・認知症・ポリファーマシ―対策、診療報酬でどうサポートすべきか―中医協総会(3)
診療報酬で生活習慣病の重症化予防、治療と仕事の両立をどう進めていくか―中医協総会(2)
遺伝子パネル検査の保険収載に向けた検討進む、C-CATへのデータ提出等を検査料の算定要件に―中医協総会(1)
「院内助産」「外来での妊産婦対応」を診療報酬でどう支援していくべきか―中医協総会(2)
2020年度改定論議スタート、小児疾患の特性踏まえた診療報酬体系になっているか―中医協総会(1)
2020年度診療報酬改定に向け、「医師働き方改革」等のテーマ別や患者の年代別に課題を議論―中医協総会



中医協・基本小委、支払側が「看護必要度や地域包括ケア病棟などの厳格化」を強く要望
2020年度診療報酬改定に向け、「看護必要度」「地域包括ケア病棟」などの課題を整理―入院医療分科会
ICU、看護必要度とSOFAスコアを組み合わせた「新たな患者評価指標」を検討せよ―入院医療分科会(2)
A項目1点・B項目3点のみ患者、療養病棟で該当患者割合が高いが、急性期の評価指標に相応しいか―入院医療分科会(1)
病院病棟への「介護福祉士配置とその評価」を正面から検討すべき時期に来ている―入院医療分科会(3)
ICUの「重症患者」受け入れ状況、どのように測定・評価すべきか―入院医療分科会(2)
DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟、地ケア病棟入院料を算定すべきか、DPC点数を継続算定すべきか―入院医療分科会(1)
総合入院体制加算、地域医療構想の実現や病床機能分化を阻害していないか?―入院医療分科会(3)
救命救急1・3は救命救急2・4と患者像が全く異なる、看護必要度評価をどう考えるべきか―入院医療分科会(2)
「急性期一般2・3への移行」と「看護必要度IIの義務化」を分離して進めてはどうか―入院医療分科会(1)
【短期滞在手術等基本料3】、下肢静脈瘤手術などは外来実施が相当数を占める―入院医療分科会(4)
診療データ提出を小規模病院にも義務化し、急性期病棟にも要介護情報等提出を求めてはどうか―入院医療分科会(3)
資源投入量が少なく・在院日数も短いDPC病院、DPC制度を歪めている可能性―入院医療分科会(2)
看護必要度の「A1・B3のみ」等、急性期入院医療の評価指標として妥当か―入院医療分科会(1)
回復期リハ病棟でのFIM評価、療養病棟での中心静脈栄養実施、適切に行われているか検証を―入院医療分科会(2)
入院で実施されていない「免疫抑制剤の内服」「膀胱脱手術」など、看護必要度の評価対象から除くべきか―入院医療分科会(1)
回復期リハビリ病棟から退棟後の医療提供、どのように評価し推進すべきか―入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟の実績評価要件、在宅医療提供の内容に大きな偏り―入院医療分科会(2)
点数が「DPC<地域包括ケア」時点にDPC病棟からの転棟が集中、健全なのか―入院医療分科会(1)
療養病棟に入院する医療区分3の患者、退院患者の8割弱が「死亡」退院―入院医療分科会(2)
入退院支援加算1の「病棟への入退院支援スタッフ配置」要件、緩和すべきか―入院医療分科会(1)
介護医療院の整備など進め、患者・家族の「退院後の介護不安」解消を図るべき―入院医療分科会(2)
急性期一般1では小規模病院ほど認知症入院患者が多いが、看護必要度への影響は―入院医療分科会(1)
看護必要度IとIIとで重症患者割合に大きな乖離、要因を詳しく分析せよ―中医協・基本小委
自院の急性期患者の転棟先として、地域包括ケア病棟を選択することは「問題」なのか―入院医療分科会(2)
7対1から急性期2・3への移行は3%強にとどまる、看護必要度IIの採用は2割弱―入院医療分科会(1)
2020年度改定、入院医療では「救急」や「認知症対策」なども重要論点に—入院医療分科会(2)
DPC対象病院の要件を見直すべきか、入院日数やDPC病床割合などに着目して検討―入院医療分科会(1)
2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会
2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料や看護必要度などを調査―入院医療分科会



2020年度に「稼働病床数を1割以上削減」した病院、国費で将来の期待利益を補助―厚労省



医師働き方改革、「新たな医療提供体制に向かうチャンス」の可能性も―社保審・医療部会
2020年度診療報酬改定を了承、「医師の働き方改革推進」を重点課題に据える―社保審・医療保険部会