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リンパ浮腫指導管理料等、2020年度改定に向け「算定対象の拡大」を検討―中医協総会(2)

2019.9.19.(木)

 リンパ浮腫に関する最近の研究からすれば、【リンパ浮腫指導管理料】や【リンパ浮腫複合的治療料】の算定対象患者は「狭すぎ、かつ実施可能時期が遅すぎる」ことが判明した。今後、算定対象の拡大を検討していくべきではないか―。

 9月18日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった議論も行われました。

9月18日に開催された、「第423回 中央社会保険医療協議会 総会」

 

摂食・嚥下障害の脳卒中患者等に対する「管理栄養士等のチーム」介入を評価すべきか

 2020年度の次期診療報酬改定に向けて中医協総会では第2ラウンド論議を開始しており、9月18日には、▼リハビリテーション▼医薬品の効率的かつ有効・安全な使⽤―の2テーマが議題となりました。後者の「医薬品の効率的かつ有効・安全な使⽤」については既にお伝えしており、本稿では前者の「リハビリテーション」に焦点を合わせてみます。

 リハビリを評価する診療報酬は非常に複雑で、▼「多職種が共同してリハビリ計画を策定し、リハビリ提供の効果などを評価する」ことを評価する【リハビリテーション総合計画評価料】▼リハビリ提供そのものを評価する【疾患別リハビリテーション料】▼発症から早期のリハビリ提供を評価する【早期離床・リハビリテーション加算】(ICU)や【ADL維持向上等体制加算】(一般病棟)▼患者退院後に必要な指導等を行うことを評価する【退院時リハビリテーション指導料】▼介護保険リハビリへの移行を促す取り組みを評価する【介護保険リハビリテーション移行支援料】や【目標設定等支援・管理料】―などを組み合わせて評価を行います。

 
 このうち【疾患別リハビリテーション料】は、入院・入院外のいずれにおいても、患者へのリハビリ提供を評価するもので、患者の疾患等に応じて▼心大血管疾患リハビリテーション料(急性心筋梗塞、狭心症、開心術後、大血管疾患など)▼脳血管疾患等リハビリテーション料(脳梗塞、脳腫瘍、脊髄損傷、パーキンソン病など)▼廃用症候群リハビリテーション料(急性疾患等に伴う安静による廃用症候群)▼運動器リハビリテーション料(上・下肢の複合損傷、脊椎損傷による四肢麻痺など)▼呼吸器リハビリテーション料(肺炎・無気肺、肺腫瘍、肺塞栓など)―のいずれかを算定します。

 
 疾患別リハビリテーション料の半数弱は【運動器リハビリテーション料】、4割は【脳血管疾患等リハビリテーション料】となっており、【心大血管疾患リハビリテーション料】や【呼吸器リハビリテーション料】の算定はごく僅かですが、いずれのリハビリテーション料も届け出医療機関数・算定回数ともに増加しており、リハビリ実施に積極的な医療機関が増えてきていることが伺えます。

 
 こうしたリハビリを評価する診療報酬について厚生労働省保険局医療課の森光敬子課長は、いくつかの最新の研究結果等が報告されており、2020年度の次期診療報酬改定に向けて、こうした点を加味した見直しを検討してはどうかとの考えを提示しました。

 まず、「摂食嚥下障害を有する脳卒中の患者には、低栄養の患者が多く、管理栄養士が重点的に関わることで、経口摂取への移行割合の向上などが見られる」ことが報告されています。例えば、経管栄養下の低栄養・脳卒中患者に対し、管理栄養士が週1回介入した場合、月1回の介入に比べて、▼栄養状態の改善(BMI増加)▼経口での栄養摂取移行▼運動能力の改善―が多く見られたなどの報告があります。

 
 さらに、摂食・嚥下サポートチーム(医師、⻭科医師、⻭科衛⽣⼠、⾔語聴覚⼠、看護師、薬剤師、管理栄養⼠)の介入により、「重症脳卒中であっても経口摂取が可能となる可能性がある」との報告もあります。

 
 この報告をベースにすれば、患者のQOL向上を目指し「摂食嚥下障害の患者(特に脳卒中患者)に対する、管理栄養士を交えた多職種チーム(摂食・嚥下サポートチーム)による介入」を診療報酬で評価していくことが考えられそうです。もっとも診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は「管理栄養士の関与によるメリットについて十分なエビデンスが示されているとは言えないのではないか」と指摘しており、評価の是非も含めてさらに検討が進められます。

 
 また、この論点に関連して、【摂食機能療法】の【経口摂取回復促進加算2】の算定がほとんどないことが問題視されました。【経口摂取回復促進加算2】は、胃瘻造設患者等に対する摂食機能療法の実施を評価する加算ですが、「4か月前までの3か⽉間に摂⾷機能療法を開始した⼊院患者の3割以上について、3か⽉以内に経⼝摂取のみの状態への回復が必要」といった施設基準などが厳しすぎるのではないかと指摘されたのです。

 
松本委員からは「疾患別リハビリテーション料などに倣い、専従要件等の緩和も検討すべき」との指摘が、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)からは「加算の在り方そのものを改めて検討する必要がある」との意見が出ています。

 なお、【摂食機能療法】そのものについて診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)から「医師の指示を受けた多職種による訓練指導でも算定できるが、週に1回程度(1か月に4回)しか算定できない。摂食・嚥下機能の障害のある患者が増加する中で、より効果的な訓練指導を可能とするため、算定回数の要件を緩和すべき」との注文がついています。

リンパ浮腫指導管理料等、算定対象の拡大などをすべきか

 また、リンパ浮腫については、▼腋窩リンパ節群または鼠径リンパ節群の郭清を伴う手術が必要な疾患は、上肢・下肢のリンパ浮腫の原因となりうる▼II期以降の続発性リンパ浮腫は非可逆性があり、皮下組織が線維化することで蜂窩織炎を繰り返し、外観の変化やADLの制限が生じるため、より軽度の時期からの介入が重要である―という研究結果が関係学会等から示されています。

 
 これに対し、【リンパ浮腫指導管理料】の算定対象は、▼子宮悪性腫瘍▼子宮附属器悪性腫瘍▼前立腺悪性腫瘍▼腋窩部郭清を伴う乳腺悪性腫瘍―に対する手術を行った患者に限られ、また【リンパ浮腫複合的治療料】の「1 重症の場合」の算定対象は、これら手術を行った患者のうち「病期分類II後期以降の患者」に限られてしまっています。


 
このため松本委員は「対象疾患が狭く、かつ実施が遅すぎる状況になっており、必要な患者に適切かつ十分な指導が行えていない可能性がある。あるべき姿へと見直すべき」と強く訴えました。

例えば、学会の指摘を踏まえて「腋窩リンパ節群または鼠径リンパ節群の郭清を伴う手術が必要な疾患の患者」「より病期の早い患者」へと算定対象を見直していくことなどが考えられそうです。

リハビリ総合実施計画書、様式などの簡素化を検討

 さらに、森光医療課長は、リハビリテーション総合実施計画書等について「現場の運用の実態等を踏まえ、記載項目・様式等の整理を検討する必要がある」との考えも示しています。医療現場から、▼小児患者等について所定様式では記載しにくい点がある▼書類作成業務の簡略化・効率化を考慮する必要がある▼患者への分かりやすい情報提供等の観点も考える必要がある―との指摘があるためです。

 この点、診療側委員は「全体的な簡素化」を強く求めており、「カルテ(診療録)に詳細な記載をするよう求められているが、患者への説明書面保存で事足りると考えるべき」(松本委員)、「医師をはじめとする医療従事者の働き方改革に逆行するような様式は見直すべき」(城守国斗委員:日本医師会常任理事)、「廃用症候群リハビリテーション料などでは症状詳記が求められるが、手間が大きい。簡素化を求める」(猪口委員)といった意見が多数出されました。

 
 
 ほか森光医療課長は「効果的なリハビリ提供のためには『最適な難易度』での『十分な量の反復運動』が必要なことが分かってきており、難易度の微妙な調整や、セラピストによる訓練の補完などのためにロボットやFES(機能的電気刺激)を用いたリハビリが有効との考えが示されてきている」ことも紹介。例えば、「リハビリ実施においてロボットやFESを用いることが差し支えない」との明示や、「ロボット等を用いたリハビリへの加算」などを検討していく可能性があるでしょう。

 
 
なお、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「回復期リハビリテーション病棟について『質の評価』を診療報酬に組み込んだ(言わば入院における疾患別リハビリテーション料のアウトカム評価)。今後は、外来における疾患別リハビリテーション料の『質の評価』も検討すべきではないか」と要請しました。

これに対し森光医療課長は「医療の質の評価は非常に重要で、要請の趣旨は理解できる」としたものの、「外来で疾患別リハビリを受ける患者の態様は、入院患者と比べて極めて多様であり、一部分を切り取って『質の評価』を行うことは医学的には難しいのではないか」との考えを述べるにとどめました。回復期リハビリ病棟には、急性期の治療を一定程度終えた、発症からそれほど時間のたっていない、比較的「状態の揃った」患者が入院することから、「入棟時から退棟にかけての質の評価」を行いやすいと言えます。しかし、外来で疾患別リハビリを受ける患者は、「回復期リハビリ病棟を退棟したばかりの患者」に限定されておらず、まず「質をどのように評価することが可能か」という観点での研究から始める必要があるでしょう。少なくとも2020年度の次期診療報酬改定での導入は困難なようです。

 
 
 

 

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