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2020 診療報酬改定セミナー2020【東京】 診療報酬改定セミナー2020【東京】

【2020年度診療報酬改定答申3】400床以上病院の地ケア病棟、「急性期病棟からの転棟」6割以上で、入院料1割減額のペナルティ

2020.2.7.(金)

お伝えしているとおり、2020年度診療報酬改定の全容が明らかとなり、2月7日の中央社会保険医療協議会・総会では、新点数や新施設基準等に関する答申が行われました。Gem Medでは、何回かに分けて新点数や施設基準・算定要件などを探っていきます(2020年度診療報酬改定答申の関連記事はこちら(働き方改革関連)こちら(急性期一般病棟入院料関連))。

本稿では、非常に大きな見直しが行われる「地域包括ケア病棟入院料」「地域包括ケア入院医療管理料」に焦点を合わせます。

2月7日に開催された第451回中央社会保険医療協議会・総会で、田辺国昭会長(東京大学大学院法学政治学研究科教授、中央左側)から小島敏文・厚生労働大臣政務官(中央右側)に2020年度診療報酬改定の答申書が手渡された。

post acute機能に偏りすぎた地域包括ケア病棟の是正、sub acute機能の推進を目指す

地域包括ケア病棟入院料(以下、基本的に入院医療管理料を含む)については、主に次のような見直しが行われます。

(1)許可病床数400床以上の病院に設置する「地域包括ケア病棟」について、入院患者のうち同一医療機関内の一般病棟から転棟した患者の割合が6割以上である場合に入院料を減額する
(2)許可病床数400床以上の病院について、地域包括ケア病棟の新設を認めない(ただし既に保有する地域包括ケア病棟は維持できる)
(3)同一保険医療機関内のDPC病棟から地域包括ケア病棟(ここは病棟のみ、病室は除外)に転棟した患者について、DPC点数表の入院期間IIまでの間、DPC点数を算定する
(4)地域包括ケア病棟入院料1・3の実績に係る基準を見直す
(5)地域包括ケア病棟入院料の施設基準において「入退院支援・地域連携業務を担う部門の設置」を要件(義務化)とする
(6)地域包括ケア病棟における疾患別リハビリテーション提供について「患者の入棟時に測定したADLスコア結果等を参考にリハビリの必要性を判断すること」を要件とする
(7)地域包括ケア病棟入院料の施設基準において「適切な意思決定支援に関する指針(いわゆるACP)を定めていること」を要件とする

400床以上大病院、入棟患者の4割以上は「自院の一般病棟」以外からに

(1)は、大病院に設置された地域包括ケア病棟の一部で「post acute機能に偏りがありすぎる」点の是正を目指すものです。

地域包括ケア病棟は、2014年度の診療報酬改定で▼急性期後患者の受け入れ(post acute)機能▼在宅等で療養する患者が急変した場合等の受け入れ(sub acute)機能▼在宅復帰支援機能―の3機能を併せ持つ病棟・病室として創設されましたが、旧7対1(現急性期1)を維持するためにpost acuteとしてしか活用しない病棟が一部にあるためです(7対1で「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度を満たさなくなった患者」を自院の地域包括ケア病棟に転棟させ、7対1病棟の重症患者割合を維持する)。

自院の急性期病棟からの転棟患者が100%という地域包括ケア病棟もある(中医協総会(1)1 191128)



具体的には、許可病床数400床以上の病院に設置する地域包括ケア病棟について「同一医療機関の一般病棟からの転棟患者割合」に上限(6割)を設け、これ以上となった場合(6割以上)に、当該病棟で算定する地域包括ケア病棟入院料を90%に減算(10%を減額)する(地域包括ケア入院料2であれば通常2620点のところ、2358点に減額する)というものです(今年(2020年)9月30日までの経過措置あり)。

「6割をどのようにカウントするのか」(例えば、分母を入棟患者の実数とするのか、ベッド数とするのか、計算期間をどう考えるのか、など)などは今後の通知や疑義解釈などを待つ必要がありますが、いずれにせよ、これまでに自院のpost acute患者のみを受け入れているような病院では、sub acute患者の獲得に向けた取り組みを検討・実施していくことが必要です。

ただし、例えば「白内障患者やポリペク患者などを地域包括ケア病棟に直接入院させる」といった動きをとることは、地域包括ケア病棟に求められている「sub acute患者の受け入れ」(在宅療養患者の急変対応)に合致しているとは考えにくく、好ましい対応とは考えられません。

400床以上の大病院、地域包括ケア病棟の新設が不可能となり、急性期医療に特化を

また同じく許可病床数400床以上の大病院について、(2)で「地域包括ケア病棟の新設を認めない」こととなりました。

これは「病院・病棟の機能分化を進める」という視点に立った見直しと言えるでしょう。中医協をはじめとする各所で、一部委員からは「大規模な公立・公的病院が、旧7対1を維持するために地域包括ケア病棟を設置することは好ましくないのではないか」との指摘があり、2016年度改定では「許可病床数500床以上(その後、400床以上に見直し)の大病院では、地域包括ケア病棟の新設は1病棟のみ」との制限が設けられました。今般、機能分化をさらに進めるために「許可病床数400床以上の大病院では、地域包括ケア病棟の新設を認めない」との厳しい規定を設けたものです。2月7日の中医協総会で、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「『大病院には急性期医療を担ってほしい』とのメッセージが明確になった」とコメントしています。

なお、今年(2020年)3月31時点で、すでに設置されている地域包括ケア病棟(つまり2020年度改定前に設置された地域包括ケア病棟)を廃止するものではありません。

DPC病棟から地ケア病棟への転棟、「経済性だけ」を考慮すべきでない

さらに(3)も、「post acute機能への偏りすぎ」を是正する方策の1つと言えます。

現在、「DPC点数」<「地域包括ケア病棟入院料」となった時点で、「DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟が集中」しているケースが多数あります。(「DPC点数」>「地域包括ケア病棟入院料」となっている診断群分類では、こうした集中は生じず、「平均在院日数時点での転棟」が多い)。「患者の状態ではなく、収益性のみに着目した転棟」は、公的医療保険制度の中では好ましいとは言えず、今般、「DPC病棟(一般病棟)から地域包括ケア病棟へ転棟した場合でも、DPCの期間II(当該診断群分類の平均在院日数)まではDPC点数の算定を継続する」という見直しが行われます。

DPCの点数<地域包括ケア病棟入院料となったタイミングでの転棟が極めて多い(中医協総会(1)2 191128)



この見直しにより、上述の弊害は解消されると思われますが、次のように地域包括ケア病棟・病室で期間III以降の取り扱いが異なってきます。この点について厚労省保険局医療課の担当者は「平均在院日数以降の入院については、病棟の報酬に沿って点数を算定する」形で整理したとコメントしています。今後の動向を注視していく必要があるでしょう。

▽DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟
→期間IIまではDPC点数、期間IIIは地域包括ケア病棟入院料を算定

▽DPC病棟内の地域包括ケア病室への転室
→期間IIまではDPC点数、期間IIIもDPC点数を算定



ところで、こうした(1)から(3)の見直しにより、「急性期1(旧7対1)を維持するために地域包括ケア病棟を設置する」ことが困難となり、また、言わば「旨味」も小さくなります。急性期1維持に苦労する大病院では、▼自院の急性期病棟の在り方を見直す▼地域包括ケア病棟等を持つ他の医療機関との連携を強化する▼自院の機能(急性期を維持するのか、機能転換するのか)、規模を改めて見直す―ことが、これまで以上に重要になってきています。

200床未満病院の地ケア病棟、sub acute機能の実績評価を医療実態に合わせる

2018年度改定では、地域包括ケア病棟におけるsub acute患者受け入れを推進するために、「『sub acute患者受け入れ』実績の高い200床未満病院における地域包括ケア病棟を高く評価する」仕組みが設けられました。sub acute受け入れや在宅医療提供などの項目ごとに基準値を設けていますが、現時点では項目によって「基準値が厳しすぎる。あるいは緩やかすぎる」という問題があります。

そこで実態を踏まえた基準値への見直しを行うものです(基準値の詳細は既報)。半年間の経過措置が設けられ、新基準の適用は今年(2020年)10月1日からとなります。

地ケア病棟の設置要件に「入退院支援部門設置」「ACP体制」を追加

一方、地域包括ケア病棟に求められる「在宅復帰支援」を強化するために(5)の「入退院支援部門設置」の要件化、(6)の「リハビリの必要性判断」の要件化がなされます。(5)入退院支援部門の設置は、【入退院支援加算】の取得による経営の安定化にもつながり、また別途お伝えするとおり【入退院支援加算】の要件緩和(非常勤スタッフの活用を可能とする)が行われていることから、積極的な整備に期待が集まります。ただし、スタッフ確保等に時間もかかることが考えられ、既存の地域包括ケア病棟設置病院(2020年3月31日時点で地域包括ケア病棟を設置している病院)では、1年間の経過措置(猶予)が設けられます。逆に言えば、2020年4月以降に地域包括ケア病棟を新設する場合には、入退院支援部門を設置していなければなりません。

なお、入退院支援部門の設置(とくに入院前から支援を行うPFMセンターの設置)により、▼円滑かつ効率的・効果的な入院医療提供(事前の確実な検査実施による予定手術延期の回避など)▼在院日数の短縮▼患者満足度の向上▼医師や病棟看護師等の負担軽減▼経営の安定化―など、多くの効果が生まれることが分かっています。「要件化」は1つの契機にすぎず、地域包括ケア病棟の有無にかかわらず、より多くの病院でこうした取り組みを積極的に進めていくことが期待されます。



また(7)は、現在「sub acute患者受け入れ実績の評価」の1要件となっているACP(Advanced Care Planning、人生の最終段階で自分が受けたい医療・ケア、受けたくない医療・ケア(例えば延命治療など)について医療関係者や家族・友人等と繰り返し話し合うプロセス)について、すべての地域包括ケア病棟を持つ病院で要件化(指針を定めることのみが要件)するものです。こちらも院内の体制整備等が必要と考えられ、▼既存の地域包括ケア病棟設置病院(2020年3月31日時点で地域包括ケア病棟を設置している病院)では、半年間の経過措置(猶予)が設けられる▼2020年4月以降に地域包括ケア病棟を新設する場合には、ACPが要件となる―点に留意が必要です。


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2020年度改定論議スタート、小児疾患の特性踏まえた診療報酬体系になっているか―中医協総会(1)
2020年度診療報酬改定に向け、「医師働き方改革」等のテーマ別や患者の年代別に課題を議論―中医協総会



中医協・基本小委、支払側が「看護必要度や地域包括ケア病棟などの厳格化」を強く要望
2020年度診療報酬改定に向け、「看護必要度」「地域包括ケア病棟」などの課題を整理―入院医療分科会
ICU、看護必要度とSOFAスコアを組み合わせた「新たな患者評価指標」を検討せよ―入院医療分科会(2)
A項目1点・B項目3点のみ患者、療養病棟で該当患者割合が高いが、急性期の評価指標に相応しいか―入院医療分科会(1)
病院病棟への「介護福祉士配置とその評価」を正面から検討すべき時期に来ている―入院医療分科会(3)
ICUの「重症患者」受け入れ状況、どのように測定・評価すべきか―入院医療分科会(2)
DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟、地ケア病棟入院料を算定すべきか、DPC点数を継続算定すべきか―入院医療分科会(1)
総合入院体制加算、地域医療構想の実現や病床機能分化を阻害していないか?―入院医療分科会(3)
救命救急1・3は救命救急2・4と患者像が全く異なる、看護必要度評価をどう考えるべきか―入院医療分科会(2)
「急性期一般2・3への移行」と「看護必要度IIの義務化」を分離して進めてはどうか―入院医療分科会(1)
【短期滞在手術等基本料3】、下肢静脈瘤手術などは外来実施が相当数を占める―入院医療分科会(4)
診療データ提出を小規模病院にも義務化し、急性期病棟にも要介護情報等提出を求めてはどうか―入院医療分科会(3)
資源投入量が少なく・在院日数も短いDPC病院、DPC制度を歪めている可能性―入院医療分科会(2)
看護必要度の「A1・B3のみ」等、急性期入院医療の評価指標として妥当か―入院医療分科会(1)
回復期リハ病棟でのFIM評価、療養病棟での中心静脈栄養実施、適切に行われているか検証を―入院医療分科会(2)
入院で実施されていない「免疫抑制剤の内服」「膀胱脱手術」など、看護必要度の評価対象から除くべきか―入院医療分科会(1)
回復期リハビリ病棟から退棟後の医療提供、どのように評価し推進すべきか―入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟の実績評価要件、在宅医療提供の内容に大きな偏り―入院医療分科会(2)
点数が「DPC<地域包括ケア」時点にDPC病棟からの転棟が集中、健全なのか―入院医療分科会(1)
療養病棟に入院する医療区分3の患者、退院患者の8割弱が「死亡」退院―入院医療分科会(2)
入退院支援加算1の「病棟への入退院支援スタッフ配置」要件、緩和すべきか―入院医療分科会(1)
介護医療院の整備など進め、患者・家族の「退院後の介護不安」解消を図るべき―入院医療分科会(2)
急性期一般1では小規模病院ほど認知症入院患者が多いが、看護必要度への影響は―入院医療分科会(1)
看護必要度IとIIとで重症患者割合に大きな乖離、要因を詳しく分析せよ―中医協・基本小委
自院の急性期患者の転棟先として、地域包括ケア病棟を選択することは「問題」なのか―入院医療分科会(2)
7対1から急性期2・3への移行は3%強にとどまる、看護必要度IIの採用は2割弱―入院医療分科会(1)
2020年度改定、入院医療では「救急」や「認知症対策」なども重要論点に—入院医療分科会(2)
DPC対象病院の要件を見直すべきか、入院日数やDPC病床割合などに着目して検討―入院医療分科会(1)
2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会
2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料や看護必要度などを調査―入院医療分科会



2020年度に「稼働病床数を1割以上削減」した病院、国費で将来の期待利益を補助―厚労省



医師働き方改革、「新たな医療提供体制に向かうチャンス」の可能性も―社保審・医療部会
2020年度診療報酬改定に向け、「入院時食事療養費」の引き上げを求める声も―社保審・医療部会
「医師の働き方改革」を診療報酬でどうサポートするか、基本方針策定段階でも激論―社保審・医療部会
2020年度診療報酬改定「基本方針」論議始まる、病院薬剤師の評価求める声多数―社保審・医療部会



2020年度診療報酬改定を了承、「医師の働き方改革推進」を重点課題に据える―社保審・医療保険部会
2020年度診療報酬改定、「医師の働き方改革」だけでなく「制度の持続可能性」も重点課題とせよ―社保審・医療保険部会
2020年度診療報酬改定、「医師働き方改革」だけでなく「効率化」や「機能分化」なども重点課題ではないか―社保審・医療保険部会
2020年度診療報酬改定、「効率化・合理化の視点」「働き方改革の推進」「費用対効果評価」なども重要視点―社保審・医療保険部会



外来から患者の入退院を支援するPatient Flow Management(PFM)が急性期病院の将来を救う