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2020 診療報酬改定セミナー2020【東京】 診療報酬改定セミナー2020【東京】

医療機関間の双方向の情報提供促進に向け、【診療情報提供料(III)】を新設―中医協総会(2)

2020.2.3.(月)

Gem Medでお伝えしているとおり、1月31日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、「2020年度診療報酬改定の個別改定項目」(いわゆる短冊)のうち、「患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」と「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」について、詳細な議論を行いました。

「2020年度診療報酬改定の個別改定項目」(いわゆる短冊)はこちら(中医協資料)

前者では、「かかりつけ医機能の推進」や「情報連携の推進」、さらに「がん対策」「難病対策」「感染症対策」などの推進に関する改定項目が盛り込まれており、本稿では「情報連携の推進」と「かかりつけ医の推進」に焦点を合わせてみましょう。

1月31日に開催された、「第449回 中央社会保険医療協議会 総会」

かかりつけ医からの紹介患者への治療等を行い、情報をフィードバックすることを評価

まず「情報連携の推進」に関しては、診療情報提供料(III)という診療報酬項目が新設されます。

例えば、かかりつけのA医療機関が、患者の病状を踏まえて専門性の高いB医療機関へ紹介をした場合、患者の同意を得て診療情報提供をAからBへ提供すれば【診療情報提供料(I)】を算定できます。しかし、「B医療機関からA医療機関への情報フィードバック」は診療報酬での評価が行われていません。現在は、B医療機関に労務の提供のみを求める格好となっており、好ましい状況と言えないでしょう。

医療機関間の譲歩連携の課題(現在は片方向しか診療報酬で評価されていない)1(中医協総会(2)2 191220)



そこで中医協では、この「B医療機関からA医療機関への情報フィードバック」を評価する【診療情報提供料(III)の創設を決定しています(関連記事はこちら)。

算定対象患者は次の3パターンに分類できます。
(1)かかりつけ医機能を持つ医療機関(▼地域包括診療加算▼地域包括診療料▼小児かかりつけ診療料▼在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院に限る)▼施設入居時等医学総合管理料(同)―を届け出ている医療機関)から紹介された患者

(2)妊娠しており、産科・産婦人科標榜医療機関から紹介された患者

(3)別の医療機関からかかりつけ医機能を持つ医療機関(▼地域包括診療加算▼地域包括診療料▼小児かかりつけ診療料▼在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院に限る)▼施設入居時等医学総合管理料(同)―を届け出ている医療機関)に紹介された患者

例えば(1)では、かかりつけの内科を継続受診する糖尿病の患者について、糖尿病網膜症の診断・治療等のためにB眼科医療機関を紹介し、BからAへ診断・治療結果をフィードバックするようなイメージです。

また(2)は、産科のA医療機関が妊婦の診療を行う中でうつ状態に気づき、精神科のB医療機関へ紹介。BからAへ診断・治療結果や留意点などをフィードバックするケースが考えられます。2019年1月から【妊婦加算】が凍結され、2020年度改定で廃止されることになりましたが、このパターン(2)により、産科以外の医療機関が妊婦を診療するメリットが生まれることになり、産科の負担軽減に一役買うものと期待されます。

医療機関間の譲歩連携の課題(現在は片方向しか診療報酬で評価されていない)3(中医協総会(2)4 191220)



さらに(3)は、A大学病院での治療を終え、患者宅のそばにあるBクリニックへ逆紹介された患者について、BクリニックからA大学病院へ自院での治療内容や結果等をフィードバックすることが想定されます。



このうち(1)と(3)の患者(別の医療機関から紹介された患者)については、紹介元医療機関からの求めに応じ、患者の同意を得て、診療状況を示す文書を提供した場合(初診料算定日を除く。ただし、当該医療機関に次回受診予約を行った場合はこの限りではない)に、提供医療機関ごとに患者1人につき3か月に1回に限り【診療情報提供料(III)】の算定が可能です。

また(2)の患者(産科から紹介された妊婦)については、診療に基づいて「頻回の情報提供の必要性」が認められた際、患者の同意を得て、紹介元医療機関(ここでは産科等)に情報提供を行った場合に、1か月に1回に限り【診療情報提供料(III)】の算定が可能です。

(1)(3)と(2)とで算定可能な頻度が異なる点に留意が必要です。



また、【診療情報提供料(III)】を算定するための前提として、▼医療機関の敷地内において喫煙を禁止している▼(2)のパターンでは、医療機関内に「妊婦の診療を行うにつき十分な経験を有する常勤医師」の配置が望ましい―という施設基準を満たすことが必要です。

診療現場には、早くも「●●の状況で診療情報提供(III)を算定できるのか」という疑義が生じているといいます。3月上旬に発出される通知や、その後の疑義解釈などを待つ必要があるでしょう。

機能強化加算の要件を厳格化、各医療機関で患者への工夫を凝らした情報提供が重要

また「かかりつけ医機能の推進」に関しては、医科(病院、クリニック)について次のような改定項目が名を連ねています。

(A)地域包括診療加算の見直し
(B)小児かかりつけ診療料の見直し
(C)機能強化加算の見直し

まず(C)の【機能強化加算】について見てみましょう。【機能強化加算】は2018年度の前回診療報酬改定で新設された【初診料】の加算です。かかりつけ医機能を持つ医療機関では、初診時に「患者自身の状態や既往歴、家族構成、服用している医薬品など」を把握することなどに一定の手間がかかっており、これを診療報酬で下支えするもので、▼地域包括診療加算▼地域包括診療料▼小児かかりつけ診療料▼在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院に限る)▼施設入居時等医学総合管理料(同)―を届け出ている診療所・200床未満の病院で算定が可能です。

機能強化加算の概要(中医協総会(2)1 191030)



この点、支払側委員は「患者への事前の説明が極めて重要かつ不可欠」と指摘し、要件等の厳格化を求めていました。とくに幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「患者が『当該医療機関がかかりつけ医機能を持つ』ことや『自己負担が高くなる』ことなどを理解した上で受診する必要がある。当該医療機関が【機能強化加算】の体制を敷いていた(地域包括診療料などを取得している)としても、それが患者側に理解されていなければ、『かかりつけ医機能』は十分には果たされたことにはなないのではないか」との旨を説き、▼院内に「かかりつけ医機能を持ち、【機能強化加算】として80点が上乗せされること」などを明確に掲示する▼初診患者に文書をもって「かかりつけ医機能」等について丁寧に説明する―ことなどを要件化するよう求めました。事前の情報提供は、一般企業では当然のことであり、医療機関においても「自院の特性」を十分にPRしていくことが重要なことから、幸野委員の主張には十分に頷けるものがあります。

しかし、多忙な診療現場において、「患者に詳しい説明を行わせる」ことのデメリットもあります。診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は「説明に忙殺され、本来の診療や指導等にかける時間が短くなれば本末転倒である」と指摘。この考えにも「至極もっとも」な点が含まれており、厚労省保険局医療課の森光敬子課長は、今般の短冊で次のような要件の厳格化案を提示しました。折衷案と言えるかもしれません(関連記事はこちら)。

(1)地域におけるかかりつけ医機能として院内に掲示する事項として以下を追加する
(a)必要に応じて、専門医、専門医療機関に紹介すること
(b)医療機能情報提供制度を利用して、かかりつけ医機能を有する医療機関が検索できること

(2)院内に掲示する事項と同様の内容を、次のように患者へ提供する
(a)当該掲示内容を書面にしたものを、患者が持ち帰れる形で、医療機関内の見えやすいところに置いておく
(b)内容について、患者の求めがあった場合には書面にしたものを交付する

このうち(1)の(B)にある「医療機能情報提供制度」は、国民が医療機関を適切に選択できるような環境の整備を目指し、医療機関等(▼病院▼診療所▼歯科診療所▼助産所―)に対し、自院の持つ機能を毎年度、都道府県に報告することを義務付けるものです。都道府県は報告された情報を整理して、ホームページ上で公開しています(厚労省のサイトはこちら(各都道府県のホームページに飛ぶことができる)
医療情報提供内容検討会(2)の1 180912



この制度は2007年度からスタートしていますが、国民の認知度が芳しくありません(ただし利用した人は高く評価している)。そこで昨年(2019年)1月に見直し方向を決定。例えば、▼近い将来「全国統一システム」とする▼「かかりつけ医」機能を評価する診療報酬を届け出・算定しているかが分かるよう項目追加を行う―ことなどが決まっています。後者のかかりつけ医機能については、次のような具体的な見直し方針も決定(関連記事はこちら(社会保障審議会・医療部会)こちら(医療情報の提供内容の在り方に関する検討会)

▽診療所が、「かかりつけ医」の持つべき4機能((1)日常的な医学管理と重症化予防(2)地域の医療機関等との連携(3)在宅療養支援、介護等との連携(4)適切かつ分かりやすい情報の提供―)を実施しているか、またその実施内容をホームページ等で情報提供しているかどうか

▽診療所等が、「かかりつけ医」機能を評価する診療報酬である【地域包括診療加算】、【地域包括診療料】、【小児かかりつけ診療料】、【機能強化加算】を算定しているかどうか



前述のとおり、利用状況が芳しくない医療機能情報提供制度ですが、項目の見直し・2020年度診療報酬改定を契機に、より多くの国民が医療機関選択に活用することが期待されます。

こうした要件厳格化について、幸野委員は「一口にかかりつけ医機能といっても、小児かかりつけ診療料を取得する医療機関、在宅時医学総合管理料を取得する医療機関など、その特性は異なる。患者に手渡す文書については、個々の医療機関でそれぞれ作成すべき」とも提案しました。

この発言の趣旨は、全国一律の紋切り型の書面・チラシを手渡すのではなく、「各医療機関がそれぞれ工夫を凝らしてほしい」というところにあるでしょう。診療側委員は「個別に作成すべき」との主張に難色を示しましたが、医療機関で「自院は、真の意味でかかりつけ医機能を果たしている」のであれば、それを「患者に分かりやすくPRしていきたい」と思うはずです。そこでは、紋切り型の文書やチラシなどは使わず、工夫を凝らして「自院は〇〇の機能を持っており、親身になって相談に乗る。他所のクリニックとはここが違う」というチラシを自前で作ることになり、それを目にした患者や家族には、その意図が必ず伝わります。

しがたって、「自前でチラシ等を作成せよ」という要件を設けるよりも、「患者・家族に誤解が生じない範囲で、一定程度、自由にチラシ等を作成して良い」ことを明確にすべきでしょう。患者サイドが「紋切り型のチラシを使用する医療機関」と「工夫を凝らした患者視点のチラシを作成している医療機関」とを選択できる環境を整え、工夫・努力をしない医療機関を患者サイドが淘汰していくことが重要と考えられます。



また、(A)の地域包括診療加算では「時間外対応要件について、【時間外対応加算3】(複数診療所の連携で時間外に対応するケース)の届け出でもよいこととする」、(B)の小児かかりつけ診療用では、▼算定対象患者を3歳未満から6歳未満に拡大する▼当該医療機関で院内処方を行わない場合には「処方箋を交付する場合」で算定することを明確にする―という見直しが行われます。


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中医協・基本小委、支払側が「看護必要度や地域包括ケア病棟などの厳格化」を強く要望
2020年度診療報酬改定に向け、「看護必要度」「地域包括ケア病棟」などの課題を整理―入院医療分科会
ICU、看護必要度とSOFAスコアを組み合わせた「新たな患者評価指標」を検討せよ―入院医療分科会(2)
A項目1点・B項目3点のみ患者、療養病棟で該当患者割合が高いが、急性期の評価指標に相応しいか―入院医療分科会(1)
病院病棟への「介護福祉士配置とその評価」を正面から検討すべき時期に来ている―入院医療分科会(3)
ICUの「重症患者」受け入れ状況、どのように測定・評価すべきか―入院医療分科会(2)
DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟、地ケア病棟入院料を算定すべきか、DPC点数を継続算定すべきか―入院医療分科会(1)
総合入院体制加算、地域医療構想の実現や病床機能分化を阻害していないか?―入院医療分科会(3)
救命救急1・3は救命救急2・4と患者像が全く異なる、看護必要度評価をどう考えるべきか―入院医療分科会(2)
「急性期一般2・3への移行」と「看護必要度IIの義務化」を分離して進めてはどうか―入院医療分科会(1)
【短期滞在手術等基本料3】、下肢静脈瘤手術などは外来実施が相当数を占める―入院医療分科会(4)
診療データ提出を小規模病院にも義務化し、急性期病棟にも要介護情報等提出を求めてはどうか―入院医療分科会(3)
資源投入量が少なく・在院日数も短いDPC病院、DPC制度を歪めている可能性―入院医療分科会(2)
看護必要度の「A1・B3のみ」等、急性期入院医療の評価指標として妥当か―入院医療分科会(1)
回復期リハ病棟でのFIM評価、療養病棟での中心静脈栄養実施、適切に行われているか検証を―入院医療分科会(2)
入院で実施されていない「免疫抑制剤の内服」「膀胱脱手術」など、看護必要度の評価対象から除くべきか―入院医療分科会(1)
回復期リハビリ病棟から退棟後の医療提供、どのように評価し推進すべきか―入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟の実績評価要件、在宅医療提供の内容に大きな偏り―入院医療分科会(2)
点数が「DPC<地域包括ケア」時点にDPC病棟からの転棟が集中、健全なのか―入院医療分科会(1)
療養病棟に入院する医療区分3の患者、退院患者の8割弱が「死亡」退院―入院医療分科会(2)
入退院支援加算1の「病棟への入退院支援スタッフ配置」要件、緩和すべきか―入院医療分科会(1)
介護医療院の整備など進め、患者・家族の「退院後の介護不安」解消を図るべき―入院医療分科会(2)
急性期一般1では小規模病院ほど認知症入院患者が多いが、看護必要度への影響は―入院医療分科会(1)
看護必要度IとIIとで重症患者割合に大きな乖離、要因を詳しく分析せよ―中医協・基本小委
自院の急性期患者の転棟先として、地域包括ケア病棟を選択することは「問題」なのか―入院医療分科会(2)
7対1から急性期2・3への移行は3%強にとどまる、看護必要度IIの採用は2割弱―入院医療分科会(1)
2020年度改定、入院医療では「救急」や「認知症対策」なども重要論点に—入院医療分科会(2)
DPC対象病院の要件を見直すべきか、入院日数やDPC病床割合などに着目して検討―入院医療分科会(1)
2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会
2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料や看護必要度などを調査―入院医療分科会



2020年度に「稼働病床数を1割以上削減」した病院、国費で将来の期待利益を補助―厚労省



医師働き方改革、「新たな医療提供体制に向かうチャンス」の可能性も―社保審・医療部会
2020年度診療報酬改定に向け、「入院時食事療養費」の引き上げを求める声も―社保審・医療部会
「医師の働き方改革」を診療報酬でどうサポートするか、基本方針策定段階でも激論―社保審・医療部会
2020年度診療報酬改定「基本方針」論議始まる、病院薬剤師の評価求める声多数―社保審・医療部会



2020年度診療報酬改定を了承、「医師の働き方改革推進」を重点課題に据える―社保審・医療保険部会
2020年度診療報酬改定、「医師の働き方改革」だけでなく「制度の持続可能性」も重点課題とせよ―社保審・医療保険部会
2020年度診療報酬改定、「医師働き方改革」だけでなく「効率化」や「機能分化」なども重点課題ではないか―社保審・医療保険部会
2020年度診療報酬改定、「効率化・合理化の視点」「働き方改革の推進」「費用対効果評価」なども重要視点―社保審・医療保険部会



2019年4月から「医療機能情報提供制度」で、かかりつけ医機能保有状況など報告を―社保審・医療部会
医療webサイトがどこから不適切となるのか、関係者が協議し指導等の運用・解釈を統一―医療情報提供内容検討会(2)
医療の質向上目指し、「QI事業参加病院のサポート」や「臨床指標の標準化」を行う協議会を設置―医療情報提供内容検討会(1)
全国の医療機関、2019年度から「かかりつけ医機能」や「医療被曝の管理」状況なども都道府県に報告を―医療情報提供内容検討会(2)
医療機関から金銭授受を受ける医療情報サイトは広告、「体験談」等は掲載不可―医療情報提供内容検討会(1)
医療広告ガイドライン、新たなQ&Aを厚労省が提示―厚労省
医療機関ホームページ、手術後生存率等を合理的根拠等示さず記載は不可―医療情報提供内容検討会(1)