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オンライン診療料等、「慢性頭痛」患者等にも算定を認めるべきか―中医協総会(2)

2019.12.11.(水)

【オンライン診療料】等について、「慢性頭痛」患者や【在宅自己注射指導管理料】を算定する患者も対象に加えてはどうか―。

12月11日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった議論も行われました。ただし、診療側・支払側の意見の隔たりは大きく、どういった方向に進むのかはまだ不明確です。

12月11日に開催された、「第440回 中央社会保険医療協議会 総会」

日本頭痛学会等から「慢性頭痛へのオンラインでの治療」の有用性等エビデンス

12月11日の中医協総会では幅広いテーマを議論しており、【オンライン診療料】等や遠隔モニタリングなど、ICT活用も議題となりました(紹介状なし大病院外来受診における特別負担に関する記事はこちら)。

オンライン診療については、2018年度の前回診療報酬改定において【オンライン診療料】や【オンライン医学管理料】、【オンライン在宅管理料】が創設されました。いずれも、すでに「医師と患者との間で信頼関係が構築されている」ケース(6か月以上の継続診療など)について、オンライン診療計画に基づいて、対面診療・実際の訪問診療等と組み合わせて、スマートフォンなどを活用した「オンラインによる診療」を行うことを診療報酬で評価するものです。

この点、「要件を緩和していくべき」と訴える支払側委員と、「安全性・有効性に関するエビデンスの構築が先である」と反対する診療側との間で激しい議論が交わされていますが、12月11日の中医協総会では「要件」の一部である「算定対象患者」を拡大すべきか否かが議論されました。「要件」全般の見直し論議は、別途行われます(第1ラウンドにおける議論に関する記事はこちら)。

【オンライン診療料】等の対象患者は、「【特定疾患療養管理料】や【地域包括診療料】などを算定する、一定の継続的な対面診療を経ている患者」に限定されています。画像や音声のみからでは、直接の対面診療に比べて「得られる情報」が限定されてしまうこと(誤診の可能性がある)を踏まえ、まず「継続的な治療が行われ医師と患者との間に信頼関係が構築されているケース」に限定して導入する必要があると考えられたためです。具体的には、下図の8つの医学管理料等を継続している患者が【オンライン診療料】等の対象となります。

オンライン診療料の算定対象は、「診療報酬上の医学管理料等を継続して算定している患者」という規定・制限が行われている(中医協総会(2)1 191211)



もちろん、この限定は「永続的・固定的」なものではなく、安全性や有効性のエビデンスが確認されたものから、段階的に拡大していく(算定対象に組み込んでいく)こととなっています。

今般、厚生労働省保険局医療課の森光敬子課長は、関係学会から「安全性・有効性のエビデンスがある」と提示された「慢性頭痛の患者」を【オンライン診療料】等の算定対象に追加してはどうかと提案しました(中医協の医療技術評価分科会に提出済)。

慢性頭痛に対するオンライン診療について、▼「対面診療と同等程度の安全性や治療効果あり」とランダム化比較試験等で示されている▼日本頭痛学会・日本神経学会・日本脳神経学会で「慢性頭痛に対するオンライン診療実施」に関するガイドラインが作成されている―ことなどを踏まえた追加提案です。

慢性頭痛へのオンライン診療実施は、対面診療と効果で差がないとのエビデンスがある(中医協総会(2)2 191211)

慢性頭痛へのオンライン診療実施に係るガイドライン(中医協総会(2)3 191211)

慢性頭痛へのオンライン診療実施時の留意点(中医協総会(2)4 191211)



この点、支払側委員は追加提案を賛成しましたが、診療側委員は難色を示しています。

診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)や城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、例えば▼学会には様々な組織があり、オンライン診療の拡大に中立的な立場をとる学会からの意見も踏まえる必要がある▼頭痛の背後には重大な病気が隠れているケースもあり、オンライン診療等で見落としが生じれば、取り返しがつかない▼想定外の「オンラインでの診療」が実施される危険もある―ことなどを挙げ、「慎重の上にも慎重を期すべき」と強調しています。

この点、森光医療課長は「複数の学会が共同してガイドライン作成を行っている」ことや、「ガイドラインでは『事前に対面診療を行い、MRIなどの画像診断で二次性頭痛をしっかりと除外し、病状が安定している非急性頭痛患者でかつ定期的診療を要する患者』に限定している」ことなどを説明しましたが、診療側委員の十分な納得は得られておらず、拡大方向は明確にはなっていません。



なお、上述のとおり、【オンライン診療料】の算定対象は「診療報酬上の医学管理料等」別に規定されており、「疾患別」の規定とはなっていません。この点について森光医療課長は「継続的な医学管理を行っている患者に実施するというオンライン診療の趣旨に照らせば、現行どおり『診療報酬上の医学管理料等』での規定・限定が馴染みやすい」との考えを示しており、仮に「慢性頭痛」が算定対象に追加される場合には、「どういった規定の仕方とするのか」も注目ポイントの1つとなります。

オンライン診療料との算定対象拡大、学会のエビデンスをもとに中医協で判断

また、関連して「どういったエビデンスがあれば、【オンライン診療料】等の対象拡大を認めるか」というテーマも議論されました。

森光医療課長は、▼オンライン診療は医療の質に大きく影響し得ると考えられるため、安全性がしっかりと担保され、有効性について「一定のレベル」のエビデンスが確認されていることが必要▼オンライン診療の有効性を評価するに当たっては、個別診療領域の特性を踏まえつつ、「対面診療と比べて劣らない」ことの確認が必要▼個別診療領域でオンライン診療の必要性や活用方法が異なると考えられるため、「学会により標準的な治療法として位置付けられる」ことが望ましい―との考えを示しました。

この方向性そのものへの反対意見は出ていませんが、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)や吉本俊和委員(全国健康保険協会理事)は「診療側委員が指摘するように学会にも様々ある。中医協で議論する前段階で『エビデンスレベルのスクリーニング』等が必要ではないか。例えば、医療技術評価分科会などを活用することも検討すべき」と注文を付けています。

これに対し診療側の松本委員や森光医療課長は、「医療技術評価分科会では主に手術・処置・検査などの技術を対象としており、医学管理のエビデンス確認を求めることは難しい。まず事例を中医協で積み重ねながら、エビデンスレベルのスクリーニングについて検討していってはどうか」との考えを示しています。

【特定疾患療養管理料】、在宅自己注射実施のケースでもオンライン診療料等の対象に

ところで、上述のとおり【特定疾患療養管理料】を一定期間継続して算定している患者は、【オンライン診療料】等の算定対象になりえます。しかし、【特定疾患療養管理料】の対象疾患に罹患している患者でも、【在宅自己注射指導管理料】を算定するケースでは「【特定疾患療養管理料】を算定できない」取り扱いとなります。

例えば、糖尿病は【特定疾患療養管理料】の対象疾患であるため、継続した対面診療を行い、医師と患者との間に信頼関係が構築されている場合には【オンライン診療料】等の対象になります。しかし、同じ糖尿病患者でも、インスリン製剤の自己注射を行い【在宅自己注射指導管理料】が算定される場合には、【特定疾患療養管理料】の算定対象から除外され、結果として【オンライン診療料】等の対象にならないのです。下表のように、ほかにも同様のケースがあります。

在宅自己注射指導管理料と特定疾患療養管理料は併算定できず、結果、オンライン診療料等の対象にならない患者が出てしまう(中医協総会(2)5 191211)



これは「診療報酬上の算定ルール」ゆえに不合理が生じていることを意味し、森光医療課長は「【在宅自己注射指導管理料】の対象疾患となり得る疾患のうち、【特定疾患療養管理料】の対象疾患については、【在宅自己注射指導管理料】を算定している場合でも【オンライン診療料】等の対象に含める」との見直しを行う考えを示しました。この方向は概ね了承されています。



また遠隔モニタリングについては、次の2つの見直しが行われます。

▽【在宅持続陽圧呼吸療法】に係る遠隔モニタリングの評価について、エビデンス(対面での指導と電話での指導とで効果に有意差はなく、電話指導がなくとも良好な結果が得られた)を踏まえ、「必要に応じて電話指導を行う」ことでも算定できることとする

在宅持続陽圧呼吸療法に係る遠隔モニタリングについて、電話での指導でも効果に差がないことが分かった(中医協総会(2)6 191211)



▽【在宅酸素療法】に係る遠隔モニタリングにおいて、モニタリングすべき項目を、ガイドライン等を踏まえて見直す(ガイドライン等では血圧の測定は求められていない)

在宅酸素療法に係る遠隔モニタリングについて、学会ガイドラインでは血圧測定は求められていない(中医協総会(2)7 191211)

 
 

 

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医師働き方改革、「新たな医療提供体制に向かうチャンス」の可能性も―社保審・医療部会
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