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医療機関と薬局が連携し「重複投薬」の是正に向けた取り組みを診療報酬で評価へ―中医協総会(3)

2019.11.19.(火)

重複投薬を是正するために、「医療機関と薬局が連携して、重複投薬の実態を確認し、他医療機関も含めて調整する」仕組みを新たに設け、これを診療報酬で評価することとしてはどうか―。

11月15日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった議論も行われています。

ただし、「重複投薬対策の成果を評価すべき」と求める支払側と、「取り組みそのものを評価すべき」と考える診療側とで、意見に大きな隔たりがあります。

11月15日に開催された、「第433回 中央社会保険医療協議会 総会」

後発品の使用促進、「鞭」と「飴」のいずれの手法が効果的か

11月15日の中医協総会では、2020年度の次期診療報酬改定に向けて「入院医療改革」論議と合わせ、「医薬品の効率的かつ有効・安全な使用」に関する議論も行われました(入院医療改革に関する記事はこちら(総合入院体制加算等)こちら(一般病棟入院基本料の看護必要度等))。

厚労省保険局医療課の森光敬子課長は、(1)後発医薬品(2)重複投薬(外来時の対応の検討の方向性)(3)残薬への対応―の3点に関する議論を要請。

まず(1)の後発品については、政府が「2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)、2020年9月に80%以上とする(第2目標)」という2段階の目標を設定し、国、医療機関、薬局、保険者のそれぞれが推進向けた取り組みを進めています。しかし、2018年4月時点で▼医科⼊院:73.0%▼医科⼊院外:61.0%▼調剤:73.0%―という状況で、「第2目標達成に向けて、どういった取り組みを行うか」が大きな論点となっています。中医協では、端的に調剤薬局の【後発医薬品調剤体制加算】や、医療機関の【後発医薬品使⽤体制加算】などの要件等をどう見直していくが議論されます。

この点、両者の「後発品使用割合」要件を厳格化すれば、さらなる後発品使用が進むのではないかと考えられそうです。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)もこの考えを述べています。

調剤薬局の【後発医薬品調剤体制加算】では、▼後発品割合75%以上:18点▼同80%以上:22点▼同85%以上:26点―と設定され、また「後発医薬品の数量シェアが著しく低い薬局」(後発品割合20%以下)については「調剤基本料を減額する」という、いわばペナルティが設けられています。

後発医薬品調剤体制加算(中医協総会(3)1 191115)



また医療機関については、【後発医薬品使用体制加算】に関し▼後発品割合60%以上:22点▼同70%以上:30点▼同80%以上:35点▼同85%以上:40点―に、【外来後発医薬品使用体制加算】に関し▼後発品割合70%以上:2点▼同75%以上:4点▼同85%以上:5点―に設定されています。

後発医薬品使用体制加算(中医協総会(3)2 191115)



幸野委員は、「後発品割合80%以下を要件とする加算は評価を引き下げ、60%以上などを要件とする項目は削除すべき」と提案。また、診療所(有床診、院内処方率95%以上の無床診)の外来における後発品割合が「2019年時点でも51.6%にとどまっている」(ただし2017年時点の44.4%に比べて7.2ポイント増加)点を踏まえて、「後発品割合の低い診療所に対し、一定のペナルティをかけてはどうか」とも指摘しています。

診療所の後発品使用状況(中医協総会(3)6 191115)



これに対し、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)や今村聡委員(日本医師会副会長)は、「診療所で多くの後発品備蓄を求め、実施しない場合にペナルティをかけるのは、あまりに非現実的である」「現在考えるべきは、『鞭』ではなく『飴』である。後発品使用があまり進んでいないところへの評価引き上げを検討すべき」と強く反論しています。

後発品については、患者側が「先発品に比べて効果が低いのではないか」「先発品に比べて信頼できない」と使用を厭うケースもあります。こうした点も考慮した対策を検討する必要があるでしょう。

重複投薬の是正、効果を評価すべきか、取り組みのプロセスを評価すべきか

また(2)の重複投薬対策については、これまでの中医協議論を踏まえた新たな「対策案」が森光医療課長から示されました。複数の医療機関を受診する患者について、次の5つのステップで重複投薬の防止に向けた取り組みを行う医療機関・薬局をそれぞれ評価してはどうか、という提案です。

▼複数医療機関を受診する患者について、医療機関(かかりつけの医療機関)から薬局に対し「処方薬の一元的把握、重複確認等を依頼」する(ステップ1)

▼薬局において服用薬の把握、重複等の確認を行う(一元的把握:レセプト情報、お薬手帳、患者への聞き取り、重複等の確認:処方の背景(適応症等)を把握しつつ、重複する医薬品を確認する)(ステップ2)

▼薬局から確認結果を医療機関に連絡する(ステップ3)

▼医療機関で「重複投薬の有無等の評価結果」を患者に説明し、医療機関間の連絡・調整を行う(重複等の有無等を評価し、その結果を患者に説明。必要に応じて他医療機関と処⽅内容の調整を行う)(ステップ4)

▼医療機関から薬局に調整結果を連絡する(ステップ5)

重複投薬是正に向けた取り組み案(その1)(中医協総会(3)3 191115)

重複投薬是正に向けた取り組み案(その2)(中医協総会(3)4 191115)



この点、診療側の松本委員や有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は「医療機関、薬局に大きな労力が生じる。重複投薬の防止というアウトカムのみだけでなく、取り組みのプロセスそのものを評価すべきである」と要望。一方、支払側の幸野委員は「個々の取り組みを評価するのではなく、ステップ1から5のすべてを包括し、成果が出た段階で評価すべき」と指摘しています。

診療側・支払側で視点が大きく異なっており、今後の具体的な報酬に関する制度設計論議が注目されます。

なお、この点に関連して支払側の吉森委員は「現在のアナログのお薬手帳では、情報連携に限界がある。ICTを活用して、十分な情報連携を進めるべき」と提案しています。

残薬を踏まえた「薬局での薬剤減量」、推進すべきか

さらに(3)の「残薬への対応」に関しては、支払側の幸野委員から「飲み残しがある場合に、薬局が患者からの申し出を踏まえて、自動的に減量できる仕組みを拡大してはどうか。具体的には、処方箋に『残薬があれば薬局の判断で減量してもよい』旨のチェック欄を設け、そこにチェックがあれば、事前に医療機関に連絡せずに減量することを認めることとしてはどうか」と提案。

残薬調整に向けた2018年度改定の取り組み(中医協総会(3)5 191115)



しかし診療側の松本委員は、「処方医療機関に事前に連絡・相談せずに減量を可能とすることはリスクが大きい。残薬があってはならないケースもある(例えば抗菌剤など)」と幸野委員の提案に反対しています。

この論点に関しても、さらに議論を深めていく必要があるでしょう。

 
 

 

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