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「指定難病」診断に必要な遺伝子検査、一定要件をクリアした53疾患を保険適用―中医協総会(1)

2019.11.28.(木)

指定難病の診断に欠かせない遺伝子検査について、一定の要件をクリアしたもの(53疾患)は2020年度の次期診療報酬改定において保険適用することとしてはどうか―。

がんの遺伝子検査について、技術の進展や実際の検査方法などを勘案した報酬体系への見直し、例えば、同一の検体について同一の機器等を用いて、より多くの遺伝子について変異を検査することが行われてきており、「効率性」を勘案した点数設計としてはどうか―。

11月27日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こういった議論が行われました。

11月27日に開催された、「第436回 中央社会保険医療協議会・総会」

がん遺伝子検査、医療現場の実態や技術進展などを踏まえた報酬体系に

2020年度の次期診療報酬改定に向け、11月27日の中医協総会では▼技術的事項(検査や処置・手術など)▼リハビリテーション(疾患別リハビリテーション料など)▼有床診療所―などを議論しました。

本稿では「技術的事項」((1)検査(2)処置・手術等(3)ほか―)に焦点を合わせ、他の項目は別稿でお伝えしましょう。

まず(1)検査について、厚生労働省保険局医療課医療技術評価推進室の岡田就将室長は次のように「課題」と「見直し方向」を整理・提案しました。

▽遺伝学的検査
【課題】
医療費助成の対象となる指定難病の中には「遺伝学的検査を行い、遺伝子異常が検出されたこと」が診断基準に盛り込まれている疾患があるが、当該遺伝学的検査が保険適用されていないケースがある(結果として指定難病との診断が難しく、事実上、医療費助成が行われない)

【見直し方向】
遺伝学的検査の保険適用に向けた3条件(分析的妥当性、臨床的妥当性、臨床的有用性)を満たす▼遺伝学的検査を実施しないと全く診断がつかない2疾患(下表の橙色部分)▼他の検査所見等で診断がつかない場合に遺伝学的検査を実施しなければ診断がつかない51疾患(下表の青色部分)―について、D006-4【遺伝学的検査】の対象疾患に追加する

新たに遺伝子検査が保険適用される見込みの指定難病(その1)(中医協総会(1)2 191127)

新たに遺伝子検査が保険適用される見込みの指定難病(その2)(中医協総会(1)3 191127)



▽悪性腫瘍遺伝子検査
【課題】
D004-2【悪性腫瘍組織検査】について、現在は▼遺伝子ごとに検査項目を立てており、新たな遺伝子検査導入の都度に新規に項目立てをしなければならない▼同一の医薬品や医療機器で同時に複数遺伝子を測定できる場合も出てきているが、新規測定項目が含まれている場合には複数遺伝子検査に係る運用(項目数に応じた点数設定)が適用されない▼血漿検体を用いた遺伝子検査でも複数の遺伝子を測定する場合がある―など非効率な運用となっている

【見直し方向】
下図のイメージのように、▼臨床的位置づけや検査技術に応じて整理できるような項目立てとし、具体的な遺伝子検査については留意事項通知に記載する(新規の検査が登場した場合、通知改正で対応できる)▼複数遺伝子検査に係る運用について項目数を充実する▼同一の血漿検体を用いて複数の遺伝子を測定する検査についても、重複する作業工程を考慮した技術料を設定する―

【悪性腫瘍遺伝子検査】の報酬体系見直しイメージ(中医協総会(1)4 191127)



▽検体検査判断料
【課題】
現在、【悪性腫瘍遺伝子検査】は「尿・糞便等検査判断料」、【その他の遺伝子関連検査】【染色体検査】は「血液学 的検査判断料」に分類されているが、性質が異なる

【見直し方向】
検体検査判断料の区分として「遺伝子関連・染色体検査判断料」を新たに設け、その特性を踏まえた評価を行う



▽認知機能検査
【課題】
D285【認知機能検査その他の心理検査】は1「操作が容易なもの」(80点)・2「操作が複雑なもの」(280点)・3「操作と処理が極めて複雑なもの」(450点)の3区分となっている。このうち、1「操作が容易なもの」の中には▼スクリーニング検査に位置付けられるもの(長谷川式知能評価スケールなど)▼治療効果の判定や方針の検討に利用すると位置付けられるもの(HDRSハミルトンうつ病症状評価尺度など)―の2類型があり、前者については「続けて実施すると検査内容を被験者が覚えてしまい(慣れてしまい)、正確な判定が難しい」こともあるが、一部に「2か月連続で算定されている」ケースもある

【見直し方向】
検査の性質や臨床的位置付け、検査の信頼性確保のための実施間隔に係る考え方を踏まえ、こうした検査については「実施間隔に係る要件」を設ける

操作が容易な認知機能検査には、スクリーニングに用いるものと効果判定等に用いるものとがある(中医協総会(1)5 191127)



これらのうち、▼遺伝学的検査▼悪性腫瘍遺伝子検査▼検体検査判断料―に関しては特段の異論が出されませんでしたが、「認知機能検査」については診療側からいくつか注文が付きました。

松本吉郎委員(日本医師会常任理事)と今村聡委員(日本医師会副会長)は、「『操作が容易なもの』の中には、『スクリーニング検査』と『効果判定に用いる検査』とが混在しており、レセプト上は区別できない。厚労省は『操作が容易なもの』が2か月連続されて請求されているケースを問題視し、『実施間隔』要件を入れたいと考えているようだが、ある月に『スクリーニング検査』を行い、翌月に『効果判定に用いる検査』を実施し、それぞれを『操作が容易なもの』として請求しているケースもあると考えられる。両者を区別せず、一律に『実施間隔』要件を設けるべきではない」と指摘。今村委員は、「まず『操作が容易なもの』の中身を精査し、区分する必要がある」と提案しました。

また猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は「長谷川式知能評価スケールは全国の医療機関等で実施されている重要な検査だ。例えば、在宅療養患者について、認知機能が悪化したために入院し、必要なケア等を提供、状態が落ち着き、在宅に復帰するというケースがあったとして、イベントの都度に同スケールを用いて認知機能を測定することもある」と指摘。「スクリーニング検査だからといって、一律に実施間隔要件を設けることには慎重であるべき」旨の見解を強調しています。

こうした意見を踏まえて、今後、どういった報酬体系とするかを検討していきます。



なお、遺伝学的検査について、難病制度を議論する厚生科学審議会・疾病対策部会「難病対策委員会」・「指定難病検討委員会」では、「遺伝子検査が保険適用されておらず、指定難病の診断ができない。結果として医療費助成の対象とならない患者もいる」ことから、「遺伝子変異が診断基準となっている指定難病については、速やかに遺伝子検査を保険適用してほしい」との声が多数でています。

この点、上述の見直し方向は、すべての「遺伝子変異が診断基準となっている指定難病」を公的医療保険でカバーするものでなく、遺伝学的検査の保険適用要件である▼分析妥当性▼臨床的有用性―が確認されている60の指定難病のうち、「遺伝学的検査を実施しないと全く診断がつかないもの」(2疾患)・「他の検査所見等で診断がつかない場合に遺伝学的検査を実施しないと診断がつかないもの」(51疾患)について保険適用を行うものです。今回、保険適用されない指定難病については、関係学会や研究班で▼分析妥当性▼臨床的有用性―に関する研究を進めることが必要な状況です。

遺伝学的検査を保険適用するにあたって検討すべき3要件(中医協総会(1)1 191127)

義肢装具提供、支払側幸野委員が「合理的な報酬体系」を強く要望

また(2)「処置・手術等」については、次のような見直し提案が岡田医療技術評価推進室長から行われました。

▽K328【人工内耳植込術】を実施した後の「調整」について診療報酬上の評価を行う(補聴器の調整についてはD244-2【補聴器適合検査】として評価されているが、人工内耳植え込み後の調整については、現在評価項目がない)

人工内耳植込み後に、専門医による調整が必要となる(中医協総会(1)6 191127)



▽義肢装具を患者に提供する際の医療機関と義肢装具事業者との連携の実態を踏まえ、▼それぞれの役割に応じた適切な評価を行う(報酬体系の見直し)▼採型に関する処置料について項目を整理する―

義肢装具提供に係る診療報酬の概要(中医協総会(1)7 191127)



▽J041【吸着式血液浄化法】や保険医療材料の診療報酬上の取扱いについて、日本集中治療医学会、日本救急医学会による「敗血症診療ガイドライン2016」において、「敗血症性ショックに対しては、標準治療としてPMX-DPH(吸着式血液浄化療法)を実施しないことを弱く推奨する」とされていることを踏まえて検討する

吸着式血液浄化療法について、学会ガイドラインは「実施しない」ことを推奨している(中医協総会(1)8 191127)



このうち「義肢装具」について支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、▼医師が採寸等をせず、義肢装具士に指示のみをするケースでもJ129-3【義肢装具採寸法(1肢につき)】等を算定している▼医師と義肢装具士とで、いわば重複請求が横行している▼実際に、愛知県で1億円を超える義肢装具士の不正請求が行われていた―ことなどを指摘し、「義肢装具に係る費用請求について、報酬体系の見直しを行うべきである」「医師が実際に採寸とせず、義肢装具士に指示のみをするケースではJ129-3【義肢装具採寸法(1肢につき)等を算定できないことを通知やQ&Aで明確にすべき】と強く求めました。

この点、前者の「報酬体系見直し」に向けた検討を続ける方向には診療側委員・厚生労働省ともに理解を示しましたが、後者の通知等発出については診療側の松本委員や猪口委員が「医師と義肢装具士が密接に連携して採寸等をしている。医師と義肢装具士については別の観点でそれぞれ評価されている」と反論。また通知等発出に関して岡田医療技術評価推進室長や厚労省保険局医療課の森光敬子課長、同課保険医療企画調査室の樋口俊宏室長も、繰り返し「医師と義肢装具士との連携関係には様々なケース・形態があり、現時点で一律に通知等を発出することは極めて困難である」と説明し、理解を求めました。今後、義肢装具提供に関する「報酬体系見直し案」を厚労省で詰めていくことになります。



また、吸着式血液浄化療法について松本委員は「ガイドラインでは『弱く推奨する』との記述にとどめており、診療報酬請求を認めない(点数表から削除する)などの対応をとるべきではない」と釘を刺しています。

なお、【人工内耳植込術】後の調整業務評価について異論は出ていません。

市場規模が大きく拡大する医療技術、評価見直しルールを創設へ

このほか、例えば「遺伝子パネル検査」(がん患者について複数の遺伝子変異を一括して検出する件さ)のように、「今後、市場が大きく拡大していくと思われる医療技術」について、薬価制度に倣って「市場拡大に応じた評価見直し(引き下げ)」ルールの検討も行われました。岡田医療技術評価推進室長は、▼将来的な可能性も含め、保険適用時の市場規模予測を大きく上回り、財政影響が無視できない範囲に及ぶことも想定されるものについては、技術料の見直しを検討する基準(例:市場規模予測の2倍など)を設定する▼既に保険適用されている遺伝子パネル検査等の悪性腫瘍遺伝子検査については、将来的な市場拡大が想定され、現時点で「市場規模予測の2倍以上」という基準を設定する―ことを検討してはどうかと提案しています。

この方向に異論は出ていませんが、診療側・支払側委員ともに「将来的に絶対評価基準(〇〇億円など)の検討も必要」と注文。岡田医療技術評価推進室長は「まず相対評価基準(当初予測の〇倍など)を導入にし、事例を積み重ねて絶対評価基準を検討していきたい」との考えを示しました。
 
 

 

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妊産婦の診療に積極的な医師、適切な要件下で診療報酬での評価に期待―妊産婦保健医療検討会



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2020年度診療報酬改定に向け、「入院時食事療養費」の引き上げを求める声も―社保審・医療部会
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