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回復期リハ病棟1・3・5、リハ実績指数の基準値引き上げを検討―中医協総会(2)

2019.12.6.(金)

回復期リハビリテーション病棟入院料1・3・5に設定されている「リハビリテーション実績指数」の基準値について、実態を踏まえた「引き上げ」を検討する。回復期リハビリ病棟入院料2・4・6では、リハビリ実績指数創設の趣旨などを踏まえ、基準値設定は行わないこととしてはどうか―。

また、早期リハビリが進んできている実態などを踏まえ、「回復期リハビリテーションを要する状態」から「発症後2か月以内」などの制限規定を廃止してはどうか―。

こういった議論も、12月6日の中央社会保険医療協議会・総会で行われました。

12月6日に開催された、「第439回 中央社会保険医療協議会 総会」

入院料2・4・6へリハビリ実績指数基準値を導入した場合、行き場のない患者発生の恐れ

お伝えしているとおり、12月6日の中医協総会では「入院医療その4」として▼地域包括ケア病棟▼回復期リハビリテーション病棟▼療養病棟▼短期滞在手術等基本料▼入院時食事療養費―を議題としました。「地域包括ケア病棟」についてはすでにお伝えしており、ここでは「回復期リハビリテーション病棟」と「療養病棟」に焦点を合わせてみます。

回復期リハビリ病棟については、2016年度の前々回診療報酬改定から「リハビリテーション実績指数」が要件に組み込まれています。

2016年度には、「リハビリ実績指数が2期連続(1期3か月)で27を下回った場合に、6単位を超過する疾患別リハビリ料を包括化する(実質的な減算)」という仕組みが導入され、「効果の上がらないリハビリを多く実施する医療機関」へのペナルティが課されることとなりました。

また2018年度改定では、「リハビリ実績指数」を実績評価指数化し、回復期リハビリ病棟入院料を次のように細分化しました。

▽従前の【入院料1】(日常生活自立度で見た重症患者割合が3割以上)
→実績指数37以上を要件とする【入院料1】と、実績要件のない【入院料2】に分割(重症患者割合は継続)

▽従前の【入院料2】(日常生活自立度で見た重症患者割合が2割以上3割未満)
→実績指数30以上を要件とする【入院料3】と、実績要件のない【入院料4】に分割(重症患者割合は継続)

▽従前の【入院料3】(日常生活自立度で見た重症患者割合が2割未満以上)
→実績指数30以上を要件とする【入院料5】と、実績要件のない【入院料6】に分割(重症患者割合は継続)



「重症患者割合」と「リハビリ実績指数」の2軸で入院料を設定している格好と言え(看護配置などももちろん関係する)、下図表のように整理することができます。

現在の回復期リハビリ病棟の区分(中医協総会(2)4 191206)



しかし、厚生労働省の特別調査からは「入院料1・3・5では、基準値をはるかに超えるリハビリ実績指数を確保できている」ことなどが明らかになりました。よりリハビリの効果を高めるために、厚労省保険局医療課の森光敬子課長は、2020年度改定で次のような見直しを行ってはどうかと提案しました。

▽入院料1・3・5のリハビリ実績指数について、実態を踏まえた見直し(引き上げ)を検討する

▽疾患別リハビリ料の包括(実質的な減算)を行う基準値について、見直しが必要かどうか検討する

リハビリ実績指数の基準値等見直しのイメージ(中医協総会(2)1 191206)



この点、診療側の松本吉郎委員は見直し方向には賛意を示したうえで、「全体としてのバランスをとった基準値を設定する」よう注文しました。例えば、リハビリ実績指数の基準値を高くしすぎれば、病院側は「リハビリの効果が現れやすい患者」を選別し、「リハビリの効果が出にくい患者」を忌避する行動に出かねません。もちろん、リハビリ実績指数の計算方法には、こうしたクリームスキミングを回避する仕組み(そもそもリハビリ効果が出にくい患者は計算から除外し、リハビリ効果の出やすさを勘案した傾斜を設けるなど)が導入されていますが、病院サイドがそうした方向に動きがちなことは完全には否定できません。松本委員は、そうした弊害が生じる可能性も考慮した基準値設定を行うべきと求めているのです。

リハビリ実績指数の計算方法1(中医協総会(2)5 191206)

リハビリ実績指数の計算方法2(中医協総会(2)6 191206)

リハビリ実績指数の計算方法3(中医協総会(2)7 191206)



一方で支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会)や吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は「回復期リハビリ病棟ではアウトカム評価が重要である。入院料2・4・6にも実績評価指数の基準値を導入すべき」と強く求めました。幸野委員は「実績評価指数の基準値が設けられている入院料1・3・5では、実績指数の実態は基準値をはるかに超えている」一方で、「基準値のない入院料2・4・6では、リハビリ実績指数が低い」ことを特に問題視しています。

回復期リハビリ病棟のリハビリ実績指数の状況(中医協総会(2)1 191129)



しかし、リハビリ実績指数のようなアウトカム評価には、必ず前述した「クリームスキミング」の問題がついて回ります。例えば、「同じ重症度患者割合3割以上のグループ」で見てみると、リハビリ実績指数「37以上」が必要な【入院料1】を取得する病棟では、どうしても「リハビリ効果の現れやすい患者」を選別しがちです。そして、残された「リハビリ効果の出にくい患者」は、実績指数基準値のない【入院料2】を取得する病棟に入棟するケースが多くなります。

ここで、【入院料2】にも実績指数の基準値が導入された場合、これら病棟でも「リハビリ効果の出にくい患者」が忌避される可能性があり、「行き場を失ってしまう」事態が生じかねないのです。

繰り返しになりますが、リハビリ実績指数の計算方法には、こうしたクリームスキミングを回避する仕組みが導入されていますが、「完璧にクリームスキミングを生じさせない」と言い切ることは難しく、クリームスキミングが生じた場合に、残された患者の受け入れ先を確保しておくことが必須です。回復期リハビリ病棟では、それが【入院料2・4・6】なのです。

支払側の注文にも頷ける部分がありますが、このような入院料2・4・6にリハビリ実績指数の基準値が設けられてない背景を考えると、現時点では「かなり難しい注文である」と判断せざるを得ないでしょう。

なお支払側の吉森委員は、「減算の基準値である『2期連続でリハビリ実績指数27未満』を入院料2・4・6で段をつけてはどうか(例えば入院料2で30未満、入院料4で29未満、入院料6で27未満など)」と提案しましたが、この減算基準値は「評価指標」ではなく、「死守すべき最低ライン」とも言えるものであり、「入院料の区分に応じて傾斜をつける」ことには馴染まないようです。

今後、具体的な基準値(入院料1・3・5)の設定を行うとともに、「減算の基準値(3期連続で27未満)」に関する見直しの必要性などを検討し、数字を詰めていくことになります。

「回復期リハビリを要する状態」、発症後2か月以内などの制限規定を廃止

また12月6日の中医協総会では「回復期リハビリテーションを要する状態」の定義見直しも議題となりました。

回復期リハビリ病棟の施設基準を眺めると、「回復期リハビリテーションを要する状態の患者」が常時8割以上入院していることが求められています。

「回復期リハビリテーションを要する状態」は、基本診療料の施設基準(別表9)に規定されており、その概要は下図表のとおりです。

回復期リハビリテーションを要する状態等の概要(中医協総会(2)2 191206)



図表に太字で強調されているとおり、「発症後・手術後2か月以内、損傷後1か月以内に回復期リハビリ病棟入院料が算定されたものに限る」などの制限が設けられています。これは「発症や損傷、手術から日を置かずにリハビリを開始することで、その効果が高まる」点を踏まえ、医療機関側に「早期のリハビリ開始」を促す効果を期待したものです。

医療機関もその期待に応え、「発症から入棟までの日数」は2007年の35日をピークに減少し、2018年には24日で11日も短縮しています。

早期リハビリは進んでいる(中医協総会(2)3 191206)



しかし、その一方で「制限」による弊害も一部あると指摘されます。例えば、脳血管疾患患者であれば「発症後・手術後2か月以内に回復期リハビリ病棟に入棟(転棟)している」ことが求められますが、重症で状態が不安定な期間が長い症例では、回復期リハビリ病棟への2か月以内の転棟が難しいこともあります。こうした患者が2か月超の急性期治療を経て状態が安定した場合でも、「回復期リハビリテーションを要する状態」に該当しなくなるため(2か月以内に回復期リハビリ病棟入院料の算定を開始していない)、結果として「状態安定後も回復期リハビリ病棟への入棟・転棟が難しい」ことになってしまうのです。

この点、森光医療課長は「制限規定(発症後2か月等以内の回復期リハビリ病棟入院料算定)による早期リハビリ開始の効果は現れており、制限規定を廃止してはどうか」との考えを示しています。

制限規定を廃止しても、回復期リハビリ病棟入院料の算定日数上限が設けられており、またリハビリ実績指数が導入され「指数を高めるには、発症・損傷等後より早期に入棟し(これにより入棟時のFIM得点は下がる傾向)、適切なリハビリを行う(退棟時のFIM得点が上がる)」ことが求められていることから、早期リハビリが後退することはないと厚労省は見ています。

この見直し方向に異論は出ておらず、2020年度診療報酬改定で「制限規定の廃止」が行われる見込みです。

回復期リハビリ病棟については、このほか「FIMの測定結果を患者・家族に示すことで、正確性を担保する」などの方向がすでに固められています。

療養病棟の経過措置2は廃止、3施設は他入院料へ、1施設は介護医療院へ転換の見込み

なお、療養病棟入院基本料の経過措置2(看護配置25対1を満たせない療養病棟、療養病棟入院基本料2の所定点数から20%減算される)については、今年(2019年)10月1日時点でわずか4施設となっています。うち3施設は別の入院基本料への移行が、1施設は介護医療院への転換が予定されていることが明らかとなり、12月6日の中医協総会で「経過措置2の廃止」が決定されました。

経過措置2型の療養は2019年10月時点でわずか4施設となった(中医協総会(1)2 191122)

療養病棟の再編・統合イメージ(中医協総会(1)1 191122)



このほか、「中心静脈栄養(医療区分3の1項目)の取り扱い」や「経過措置1(20対1看護配置、医療区分2・3患者割合5割以上のいずれか一方が満たせない。ただし25対1看護は確保)の減算率の見直し(現在は療養病棟入院基本料2の所定点数から10%減算)」などについては方向が固まっており、現在、厚労省で詳細を詰めています。

 

 

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