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薬局業務の「対物」から「対人」への移行促すため、14日以内の調剤料を引き下げてはどうか―中医協総会(2)

2019.10.1.(火)

 調剤薬局において「対物業務」から「対人業務」への移行が進められているが、依然として「対物業務」評価の代表格である調剤料のシェアが大きい。これまで「15日以降の調剤料」が引き下げられてきたことを踏まえ、2020年度の次期調剤報酬改定では「14日以内の調剤料」を引き下げ、その財源を「薬学管理料」へ振り替えてはどうか―。

 9月25日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった議論も行われました。

 病院・診療所をはじめとする医療機関サイドからは「院内調剤と院外処方の格差是正」「病院薬剤師業務の適正な評価」を求める声が強くでており、2020年度の次期診療報酬改定ではこうした点も重要テーマの1つとなるでしょう(関連記事は こちらこちら)。

9月25日に開催された、「第424回 中央社会保険医療協議会 総会」

 

調剤料のシェアが大きなことから、調剤薬局経営への影響も見極める必要あり

 調剤報酬は、大きく▼薬局の運営維持費を評価する「調剤基本料」▼医薬品調剤を行う際の技術を評価する「調剤料」▼患者への服薬指導などの薬剤師業務を評価する「薬学管理料」(かかりつけ薬剤師指導料や薬剤服用歴管理指導料など)▼薬剤料▼特定保険医療材料料―に分類できます。9月25日の中医協総会では、「調剤報酬(その1)」として「薬剤師の調剤業務の評価」(調剤料)を議題となりました。

 
 調剤料のうち、内服薬の調剤については「処方日数に応じた点数設定」が行われており、現在、次のように「14日までは日数に応じて点数が漸増し、15日以降は日数に応じた一定の評価」となっています。
▽14日分以下の場合
〇7日目以下の部分(1日分につき):5点
〇8日目以上の部分(1日分につき):4点
▽15日分以上21日分以下の場合:67点
▽22日分以上30日分以下の場合:78点
▽31日分以上の場合:86点

 
 ここに、▼【嚥下困難者用製剤加算】(患者の心身の特性に応じた剤形に製剤することを評価):80点▼【一包化加算】(2剤以上の内服薬・1剤で3種類以上の内服薬を服用時点ごとに一包化することを評価する):42日分以下では「投与日数が7またはその端数を増す」ごとに34点(2019年度の消費税対応改定で引き上げ)、43日分以上では240点(同)―などといった上乗せ評価が行われます。

 
 
 調剤料に関する最近の動向について、厚生労働省保険局医療課の田宮憲一管理官は次のように説明します。

▽対物業務から対人業務への移行を推進するため、「調剤料の引き下げ」(例えば15日以上21日以下分では、2018年度改定で70点から67点に引き下げ)、「薬学管理料の評価充実」を行っているが、「調剤料」の占める割合は技術料の50%超、「薬学管理料」の占める割合は20%程度にとどまっている

 
▽2010年度以降、「投与日数15日分以上」の点数を引き下げてきている

 
▽内服薬の投与日数は、全体の約45%が「14日分以下」である

 
 厚労省が2015年10月に取りまとめた「患者のための薬局ビジョン」では、「対物業務から対人業務への移行」を前面に打ち出しており、最近の動向もこれに沿うものと言えます。もっとも、言わば対物業務の代表である「調剤料」のシェアが依然として大きい状況に鑑みれば、さらに「調剤料を引き下げ、薬学管理料に振り替えていく」ことが求められるでしょう。

 この点、中医協では多くの委員から「調剤料の点数見直し」、とくに「14日以内の調剤料引き下げ」を検討すべきとの意見が複数出ています。これまでに「15日以降の点数引き下げ」が進められてきた点を踏まえた意見と言えます。

 もっとも有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は「対物業務から対人業務への移行を図るために、14日以内の調剤料について一定程度の見直しはすべき」としたうえで、「急激な見直しは好ましくない」と訴えています。上述のように調剤料のシェアは50%を超えているため、薬学管理料への振り替えが行われたとしても、調剤薬局の経営に大きな影響を与えてしまうためです。

 また、診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)や支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「一包化加算について、機械を用いて行う場合と、人が行う場合とでは区分けして評価を行うべきではないか」(機械を用いた場合の評価を引き下げる)と提案しています。ただし、田宮薬剤管理官は「機械を用いて一包化を行った場合でも、ヒト(薬剤師)がセットする薬剤が適正化、適正に一包化されたかなどの確認業務を行っている」と述べ、「機械による一包化=コストの縮小」という単純な構図ではないことを説明しています。

 
 
 また中医協では調剤報酬に関連して、「院内調剤の評価」と「院外処方の評価」との格差を問題視する声が多数出されました。診療側でも松本吉郎委員(日本医師会常任理事)から「院外処方にインセンティブをつけすぎている」との指摘が、支払側からは吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)が「医薬分業、院外処方に患者はメリットを感じていない」との指摘がなされ、猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は「院内調剤と院外処方について、現在の評価(点数)の比較を行う必要がある」と提案しています。

新医療機器2件、新臨床検査1件を保険適用

 なお、9月25日の中医協総会では、新たな医療機器2件、新たな臨床検査1件の保険適用を了承しています。新医療機器は今年(2019年)12月から、新臨床検査は同じく10月から保険適用されます。

【新たな医療機器の保険適用】(2019年12月に保険適用)
▽皮下の「外科的に作成したポケット」に植え込み、心臓内に留置する電極と接続して使用する植込み型心臓ペースメーカーである「メドトロニック Advisa MRI」(特定保険医療材料価格:79万2000円)

▽象牙細管の封鎖または歯質と修復物、補綴物等との界面の封鎖に用いる「ハイブリッドコートII」(特定保険医療材料としては設定せず、新規技術料(歯科点数表のI001【歯髄保護処置】の「3 間接歯髄保護処置」:30点)で評価)

 
【新たな臨床検査の保険適用】(2019年4月に保険適用)
▽FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の診断を補助するための「FGF23」測定(D007【血液学的検査】の「61 1,25-ジヒドロキシビタミンD3」:388 点と、「62 25-ヒドロキシビタミンD」:400点を合算した点数(788点)で評価する)

 
 
 

 

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