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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

DPCのEF統合ファイル用いる看護必要度II、選択可能な病院の条件を提示―厚労省

2018.3.5.(月)

 3月5日に厚生労働省が、2018年度診療報酬改定の説明会を開催しました。医科、歯科、調剤等の報酬に関する告示・解釈通知の内容を明らかにするとともに、算定上、とくに留意すべき点などを詳細に説明しています。

 説明会冒頭で挨拶した厚労省保険局の鈴木俊彦局長は、「改定に魂を入れるためには、その考え方を医療を受ける国民、医療を提供する医療従事者とが正確に共有することが欠かせない」と述べ、改定の内容だけでなく、その「趣旨」の正しい理解が必要であると強調しました。点数表や施設基準の文面のみを見た、過度な「抜け道」探しに警鐘を鳴らすものです。

3月5日に開催された2018年度の診療報酬改定説明会で、冒頭に挨拶を行った厚生労働省保険局の鈴木俊彦局長

3月5日に開催された2018年度の診療報酬改定説明会で、冒頭に挨拶を行った厚生労働省保険局の鈴木俊彦局長

 
 メディ・ウォッチでは順次、説明会の模様や告示・通知内容をお伝えします。今回は、まず急性期入院医療のうち「看護必要度」に関連する、説明会で新たに明らかにされた点をご紹介しましょう。

「看護必要度II-看護必要度I<プラス0.04」であれば、看護必要度IIを選択できる

 急性期入院医療については、7対1・10対1一般病棟入院料を7種類の「急性期一般入院料」に再編・統合しています。7種類全体は「急性期一般入院基本料」、個別項目「急性期一般入院料1-7」となります。

7対1・10対1一般病棟入院料を重症患者割合を実績評価指標として再編・統合する。中間的評価となる急性期一般入院料2・3は、現行7対1相当の急性期一般入院料1などからしか転換できない

7対1・10対1一般病棟入院料を重症患者割合を実績評価指標として再編・統合する。中間的評価となる急性期一般入院料2・3は、現行7対1相当の急性期一般入院料1などからしか転換できない

改定説明会1の1 180305 
 
 急性期一般入院料基本料は、「看護配置10対1をベースとする基本部分」と「重症患者割合に基づく実績部分(段階的評価部分)とを組み合わせたものです。

 重症患者割合については、従前どおりの「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)評価票に基づく計算方法【看護必要度I】と、DPCのEF統合ファイルデータに基づく計算方法【看護必要度II】のいずれかで計算します。

 いずれを選択するかは各病院の判断に委ねられますが、看護必要度IIを選択できる病院は、「看護必要度IIの重症患者割合」-「看護必要度Iの重症患者割合」が0.04以下であるところに限定されます。
改定説明会1の3 180305

 
例えば、A病院の重症患者割合が看護必要度Iで25%、看護必要度IIで30%であった場合、「30-25」=5%(0.05)となるため、この病院では看護必要度IIを選択することはできません。また別のB病院では、看護必要度Iで29%、看護必要度IIで25%であった場合、「25-29」=マイナス4%(マイナス0.04)となるため、この病院では看護必要度IIを選択できます。

もっとも、多くの病院では「看護必要度IIの重症患者割合のほうが、看護必要度Iの重症患者割合よりも低くなる」ため、看護必要度IIを選択できることになるでしょう。厚労省では「重症患者割合について、看護必要度IIのほうが、看護必要度Iよりも4%を超えて大きくなることは、明らかにおかしい」とコメントしています。この場合、7対1と10対1の中間的評価である「急性期一般入院料2または3」を算定できなくなるのか、このあたりは別稿でお伝えしましょう。

また、看護必要度Iと看護必要度IIの選択は、「4月」または「10月」の年2回となり、各病院で半年毎に切り替えることが規定上は可能となります。この場合、切り替える月の10日までに変更届出を行うことが必要です。

総合入院体制加算、重症患者に「危険行動」などの患者も含めることに

 2018年度には、看護必要度の項目(定義)について次の2点の見直しが行われました。

▼「A項目1点以上かつB項目3点以上」(現在は重症患者に非該当)のうち、「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」のいずれかに該当すれば、「重症患者に該当」と扱う

▼C項目の開腹手術(現在は5日間)について、所定日数4日に短縮する
改定説明会1の2 180305
 
 急性期一般入院料(7対1・10対1一般入院基本料)については、この見直しを踏まえるとともに、さらに中央社会保険医療協議会・総会で「厳格化」を求める声が支払側から強く示されたことを受けて、例えば現行7対1相当の急性期一般入院料1の重症患者割合は現在の「25%以上」から「30%以上」(看護必要度Iの場合)に引き上げられました。

 一方、特定機能病院の7対1入院基本料は、今般の体系見直し(再編・統合)から除外されており、上記2点の見直しのみを考慮した重症患者割合の引き上げが行われました。現在の「25%以上」が、看護必要度Iでは「28%以上」、看護必要度IIでは「23%以上」に設定されています。

なお、ここで留意しなければならないのが「総合入院体制加算」の重症患者割合です。2016年度の前回診療報酬改定で、総合入院体制加算にも重症患者割合の要件が導入され、総合入院体制加算1・2では「30%以上」、総合入院体制加算3では「27%以上」に設定されました。

この総合入院体制加算の重症患者割合については、次の2点の見直しが行われています。

(1)重症患者割合を加算1・2では「30%以上」から「35%以上」(看護必要度I)に引き上げる(看護必要度IIを用いた場合は30%以上)
(2)重症患者の定義として、現在の「A項目2点以上」「C項目1点以上」に、上記の定義見直しに沿って「『A項目1点以上かつB項目3点以上』で、『診療・療養上の指示が通じる』『危険行動』のいずれかに該当する」を追加する
改定説明会1の4 180305
 
 2月7日の答申時点では(1)部分しか明らかにされず、「総合入院体制加算については大きな厳格化が行われるのか?」と注目されましたが、今般(2)が明らかにされ、「厳格化は行われず、看護必要度の定義見直しに沿った引き上げのみが行われる」ことが分かりました。とはいえ、入院患者の構成によっては「厳格化」となる病院もあるでしょう。総合入院体制加算は点数も高く設定され、経営上のインパクトも大きいので、事前に、新定義に基づいた重症患者割合を試算しておくことが必要です。この点、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)が開発した病院ダッシュボードχの「看護必要度分析」を用いれば、新定義に基づいた試算を簡便に行うことができます。

 
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