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「入院前」からの外来で行う退院支援、診療報酬で評価―中医協総会 第377回(1)

2017.12.8.(金)

 予定入院患者について、外来の相談・連携担当者が「入院前から行う支援」を診療報酬で新たに評価する。その際、「中小病院では外来の相談・連携担当者を配置せず、看護職員が相談支援の役割を担っている」ことも踏まえる—。

12月8日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった方向が了承されました(関連記事はこちらこちら)。入院サポートセンターなどを設置している先進的な病院の取り組みを参照したものと言えます(関連記事はこちらこちら)。

12月8日に開催された、「第377回 中央社会保険医療協議会 総会」

12月8日に開催された、「第377回 中央社会保険医療協議会 総会」

中小病院限定で「外来の相談・連携担当者以外」による退院支援も評価

患者のQOL向上(ADL低下の防止や感染リスクの低減など)、医療費の適正化といった観点から、「早期の退院を支援する」取り組みが重視されています。

診療報酬でも、院内に退院支援の専門部署を設置し、退院困難者に対して入院早期から支援を行うことを評価するA246【退院支援加算】、退院後の患者に在宅医療を提供する医療機関などと入院医療機関とが共同して在宅療養での留意点などを退院前に説明・指導することを評価するB004【退院時共同指導料1】・B005【退院時共同指導料2】、退院前に医師・看護師・ケアマネジャーらが共同で退院後の介護サービスを説明することなどを評価するB005-1-2【介護支援連携指導料】などが準備されています。

退院支援に向けた取り組みを評価する主な診療報酬、いずれも「入院患者」が対象である

退院支援に向けた取り組みを評価する主な診療報酬、いずれも「入院患者」が対象である

 
これらはいずれも「入院中の患者」に対して、積極的な退院支援を行うことを評価する報酬です。現在、A246【退院支援加算1】では入院から3日以内、A246【退院支援加算2】では入院から7日以内に、▼がん▼要介護認定未申請▼排泄で介助が必要—などの退院困難患者を抽出し、患者・家族との面談、多職種カンファレンスなどに基づく退院支援を行うことが求められます。

ところで、現在の7対1病棟では「平均在院日数18日以内」という施設基準が設定され、急性期病院の中では「平均在院日数が10日を切る」ところも決して珍しくありません。翻って、例えば要介護認定結果が出るまでには「申請から1か月程度」の期間がかかるため、「入院後から退院支援を始めたのでは遅い」ケースもままあります。

そこで一部の病院では、「入院が予定されている患者に対し、入院する前から積極的な支援を行う」ことで、より早期の退院を可能にしています。予定患者であれば、外来において▽入院生活のオリエンテーション▽持参薬の確認▽リスクアセスメント、退院支援スクリーニング―などを行うことが可能で、より計画的な退院支援が可能となります。患者にとっても事前に入院生活などをイメージでき、安心感が増します。また余談になりますが、DPC病院では「必要な検査などが確実に外来で実施されたか」などの確認が入院前に可能となり、収益的にも好ましい取り組みと言えます。

現行の退院支援(入院患者に対する退院支援、上段)と、入院前からの退院支援強化のイメージ(下段)

現行の退院支援(入院患者に対する退院支援、上段)と、入院前からの退院支援強化のイメージ(下段)

 
厚生労働省の調査によれば、7対1病棟・療養病棟の2割程度、10対1病棟・回復期リハビリ病棟の3割程度、13対1・15対1病棟の4割程度、地域包括ケア病棟の5割弱の患者について、入院前から担当ケアマネがおり、病院の半数超で「ケアマネからの情報提供が有用であった」と感じていることが分かりました。
入院前にケアマネジャーとの連携を行っている病院があるが、病棟の種別によって連携状況はまちまちである

入院前にケアマネジャーとの連携を行っている病院があるが、病棟の種別によって連携状況はまちまちである

入院前のケアマネとの情報連携について、半数超の病院は「有用」と捉えている

入院前のケアマネとの情報連携について、半数超の病院は「有用」と捉えている

 
厚労省保険局医療課の迫井正深医療課長は、こうした状況を踏まえ「外来における相談・連携担当者が、入院が決まっている患者に対して、『入院前』からさまざまな支援を行う」取り組みを診療報酬で評価してはどうかと提案しています。より早期からの「入退院支援」を行うことが、患者満足度はもちろん、医療の質を高め、かつ効率的な医療提供につながっていくでしょう。

グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)では、かねてからこの点に着目し「入院サポートセンター」の創設を提唱し、すでに導入している病院もあります。導入時点では診療報酬での評価はありませんが、円滑な在宅復帰はもとより、▼病棟看護師の負担軽減▼患者満足度の向上―などとともに、「収益向上」という目に見える成果も出ています(関連記事はこちらこちら)。2018年度からこの取り組みが診療報酬でも評価されることになり、より多くの病院で取り組みが広まることが期待されます。

入院サポートセンター設置で期待できる効果、何よりも患者満足度の向上が極めて重要である

入院サポートセンター設置で期待できる効果、何よりも患者満足度の向上が極めて重要である

 
ただし、中小規模の病院では、こうした部署を外来に設置することが難しいかもしれません。厚労省の調査では、入院前の連携担当部署を設置している病院は63.5%にとどまり、未設置の34.6%の病院では、看護職員などが調整を行っています。
入院前の相談支援について、6割強の病院では担当部署が決まっており、3割強の病院では担当部署はなく、主に看護職員がその役割を担っている

入院前の相談支援について、6割強の病院では担当部署が決まっており、3割強の病院では担当部署はなく、主に看護職員がその役割を担っている

 
また病床規模別に見ると、400床以上では98%が退院支援部門を設置していますが、200床未満では80%強、100床未満では50%弱の設置にとどまっています。
400床以上の大規模病院ではほとんどが退院支援部門を設置しているが、規模が小さくなるにつれて未設置病院も多くなり、100床未満の病院では約半数にとどまる

400床以上の大規模病院ではほとんどが退院支援部門を設置しているが、規模が小さくなるにつれて未設置病院も多くなり、100床未満の病院では約半数にとどまる

 
さらに小規模になるほど「退院支援部門に専従・専任する職員」の数は少なくなります。
病床規模の小さな病院では、退院支援部門の専従・専任担当職員が少ない(100床未満の病院では、専従・専任担当者いないケースも少なくない)

病床規模の小さな病院では、退院支援部門の専従・専任担当職員が少ない(100床未満の病院では、専従・専任担当者いないケースも少なくない)

 
迫井医療課長は、この点に配慮し「中小病院を主な対象とした(入院前からの退院支援に対する)評価」も設置する考えです。例えば、中小病院に限り「相談・連携の専従・専任でない看護職員が、入院前からの退院支援を実施した場合でも、その取り組みを診療報酬で評価する」といった仕組みが考えられそうで、より柔軟な体制で、退院支援に積極的に取り組むことが期待されます。

 
両提案は、12月8日の中医協総会で了承されており、年明けに具体的な点数・基準設計(退院支援を行う担当者の要件、中小病院の定義など)の議論が行われます。

なお、「入院前から」の退院支援が重要となることに鑑み、A246【退院支援加算】の名称は【入退院支援加算】に見直されます。

 

 

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看護必要度該当患者割合、7対1と10対1で異なっている活用方法をどう考える—入院医療分科会(1)
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回復期リハ病棟、「退院後のリハビリ提供」の評価を検討—入院医療分科会(2)
地域包括ケア病棟、「自宅からの入棟患者」割合に応じた評価軸などが浮上—入院医療分科会(1)
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看護必要度割合は7対1病院の7割で25-30%、3割の病院で30%以上—入院医療分科会(1)
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