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地域包括ケア病棟、初期加算を活用し「自宅からの入院患者」の手厚い評価へ—入院医療分科会(2)

2017.8.25.(金)

 地域包括ケア病棟では、6割強の入院患者に対して【救急・在宅等支援病床初期加算】が算定されており、現在は「自宅などからの入院患者」でも「急性期病棟からの転院・転棟患者」でも算定可能となっている。しかし、両者では患者の医学的状態や検査実施状況などに違いがあり、これをどう考えていくべきか—。

24日に開催された診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)では、こういったテーマでも議論が行われました(関連記事はこちら)。

8月24日に開催された、「平成29年度 第6回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」

8月24日に開催された、「平成29年度 第6回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」

自宅などからの入院患者のほうが、急性期後の転院患者よりも状態が不安定

 2018年度の次期診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会や入院医療分科会では「地域包括ケア病棟の機能分化」が論点の1つとなっています。主に「急性期病棟からの転院・転棟患者」を受け入れている病棟(post acute機能)と、「自宅などからの入院患者」も積極的に受け入れている病棟(sub acute機能)とがあり、後者のほうが「状態が不安定」な傾向があることから、報酬上でも両者を分ける必要があるのではないか、という議論です(関連記事はこちらこちらこちら)。

24日の入院医療分科会では、厚生労働省から新たに次のようなデータが示されました。急性期後患者を「自院における転棟患者」と「他院からの転院患者」に分けてみています。

▼患者の主傷病を見ると、骨折の割合が、「自院の7対1などからの転棟患者」(26.0%)では、「他院の7対1などからの転院患者」(16.5%)、「自宅などからの入院患者」(16.1%)に比べて高い

自院の急性期からの転棟患者では、他院の急性期からの転棟患者・自宅などからの患者に比べて、「骨折」の割合が高い

自院の急性期からの転棟患者では、他院の急性期からの転棟患者・自宅などからの患者に比べて、「骨折」の割合が高い

 
▼患者の医療的な状態を見ると、「安定している」患者の割合が、「自宅などからの入院患者」(67.1%)では、「自院の7対1などからの転棟患者」(76.2%)、「他院の7対1などからの転院患者」(70.7%)より低い
自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者よりも「状態が安定している患者」の割合が若干低い

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者よりも「状態が安定している患者」の割合が若干低い

 
▼医学的な要因以外で退院できない患者の割合を見ると、「自院の7対1などからの転棟患者」(17.3%)では、「他院の7対1などからの転院患者」(10.6%)、「自宅などからの入院患者」(8.2%)に比べて高い
自院の急性期病棟からの転院患者では、他院の急性期病棟からの転棟患者や自宅などからの入院患者に比べて、「医学的な要因」以外で退院できない患者の割合が高い

自院の急性期病棟からの転院患者では、他院の急性期病棟からの転棟患者や自宅などからの入院患者に比べて、「医学的な要因」以外で退院できない患者の割合が高い

 
▼状態が不安定で急性期治療を行っているので退院できない患者の割合を見ると、「自宅などからの入院患者」(26.7%)では、「自院の7対1などからの転棟患者」(8.6%)、「他院の7対1などからの転院患者」(3.2%)よりも高い
自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、「状態が不安定で急性期治療を行っており、退院できない」患者の割合が高い

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、「状態が不安定で急性期治療を行っており、退院できない」患者の割合が高い

 
▼検体検査や生体検査、X線撮影などの実施状況を見ると、「自宅などからの入院患者」(生体検査では13.4%)では、「自院の7対1などからの転棟患者」(6.0%)、「他院の7対1などからの転院患者」(7.7%)よりも高い
自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その1)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その1)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その2)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その2)

 
 改めて「自宅などからの入院患者」では、「急性期病棟からの転院・転棟患者」よりも状態が不安定で、医療の必要性が高いことが伺えます。牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)は、こうした状況を踏まえ「自宅などからの入院患者を多くい受け入れれば、それだけ病院には負荷がかかることになる。加算などで評価してはどうか」と提案しています。

「自宅などからの入院患者」の評価、初期加算の算定対象限定という手法も

 では、具体的にどういった評価方法が考えられるのでしょう。例えば、▼外形に着目し7対1病棟などを持つ病院の地域包括ケア病棟では、入院料の減額などを行う(逆に、7対1などを併設していなければ入院料の増点や加算新設などを行う)▼入院患者に着目し、「自宅などからの入院患者」割合が一定以上の地域包括ケア病棟では、入院料の増点や加算新設などを行う(逆に、「急性期後患者」が一定割合以上の地域包括ケア病棟では、入院料の減額などを行う)―ことなどが思い浮かびます。

 この点について厚労省は【救急・在宅等支援病床初期加算】(以下、初期加算)に注目しているようです。この初期加算は、(1)急性期を担う他院の一般病棟(2)自宅・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど(3)急性期を担う自院の一般病棟—からの患者について、14日まで、1日150点が入院料に上乗せされるものです。2016年6月のレセプトからは、件数ベースで63%、回数ベースで36%の患者に初期加算が算定されています。

初期加算を件数ベースで63%、回数ベースで36%の患者に算定しているが、ここには「自宅などからの入院患者」と「急性期後の転院・転棟患者」とが混在している

初期加算を件数ベースで63%、回数ベースで36%の患者に算定しているが、ここには「自宅などからの入院患者」と「急性期後の転院・転棟患者」とが混在している

 
 この初期加算の算定対象を、例えば(2)の「自宅などからの入院患者」に限定すれば、患者1人当たり最大2100点(2万1000円、150点×14日)の格差を設けることができます。また、上記の案では、「外形だけでは入院患者の状況を適切に反映できない」「自宅などからの入院患者割合などは変動するため、基準をどう設定するかが難しい」などの課題がありますが、初期加算を活用すれば、こうした課題はそもそも生じず、報酬体系上の「簡素で分かりやすい」と言えます。厚労省は「初期加算を活用する」といったコメントはしていませんが、有力候補の1つと言えそうです。

 
 なお、地域包括ケア病棟の患者像をより適切に把握するために、武井純子委員(社会医療法人財団慈泉会相澤東病院看護部長)や筒井孝子委員(兵庫県立大学大学院経営研究科教授)は「重症度、医療・看護必要度におけるB項目」(患者の状況等、いわばADLを評価)の導入を提案しています。

  

 
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