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特養ホーム、加算取得・利用率向上・大規模化が経営安定化の重要ポイント―福祉医療機構

2020.1.9.(木)

特別養護老人ホームの経営好転に向け、「施設内の体制整備と各種加算の取得」→「利用者のQOL向上」→「利用率の向上」という好循環を生み出す必要がある。さらに「大規模化」が安定経営に向けた極めて重要なポイントである―。

福祉医療機構(WAM)が12月27日に公表した、2018年度の「特別養護老人ホームの経営状況について」から、こういった点が明らかになりました(WAMのサイトはこちら)(前年度の記事はこちら)。

特養ホームにおいても「施設の大規模化」が経営上の重要ポイント

2018年度に行われた介護報酬改定の改定率は全体でプラス0.54%となり、特養ホーム(介護老人福祉施設)については基本報酬の引き上げ(要介護5では、従来型個室814単位から829単位へ、ユニット型個室894単位から910単位へ、など)などが行われました。これが特養ホームの経営状況にどういった影響を与えているのか。WAMでは、貸付先から提出されたデータに基づいて、開設から1年以上が経過している特養ホーム4771施設(従来型1764施設、個室ユニット型3007施設)の経営状況を分析しました。

まず赤字施設の割合を見ると、従来型では33.8%(前年度に比べて0.1ポイント減)、個室ユニット型では29.1%(同じく2.6ポイント増)となり、およそ3分の1程度の特養ホームでは赤字経営となっているものの、若干の「好転」状況が伺えます。介護報酬プラス改定の効果が出ていると見ることができるでしょう。

2017年度から18年度にかけて、特養ホーム経営状況は全体として好転している(2018年度特養ホーム経営状況1 191227)



施設の規模別に赤字施設の割合を見てみると、従来型では▼29人以下:29.3%(前年度に比べて9.4ポイント減)▼30-49人:42.0%(同3.1ポイント増)▼50-59人:41.5%▼60-79人:32.2%▼80-99人:28.6%(同3.5ポイント減)▼100人以上:25.2%(同0.1ポイント増)―、個室ユニット型では▼29人以下:39.5%(同4.5ポイント減)▼30-49人:22.5(同1.3ポイント減)▼50-59人:27.0%▼60-79人:28.5%▼▼80-99人:22.2(同2.4ポイント減)▼100人以上:18.6(同0.9ポイント減)―となっており、「小規模施設で経営状況が厳しく、大規模施設で比較的経営状況が良い」状況が再確認できます。

最大のコストとなる「人件費」の比率を見ると、従来型では▼29人以下:65.8%(同0.7ポイント減)▼30-49人:68.2%(同2.2ポイント増)▼50-59人:66.3%▼60-79人:65.3%▼80-99人:64.3%(同0.7ポイント減)▼100人以上:64.7%(同0.2ポイント減)―、個室ユニット型では▼29人以下:64.2%(同0.7ポイント減)▼30-49人:62.7%(同0.1ポイント減)▼50-59人:62.6%▼60-79人:62.6%▼80-99人:61.2%(同0.4ポイント減)▼100人以上:60.4%(同0.5ポイント減)―となっており、「大規模になるほど効率的な経営が可能となっている」ことが改めて把握できます。また利用者10人当たりの従事者数も規模と比例しており、このことを裏付けていると言えるでしょう。

一方、従事者1人当たりの人件費を見ると、従来型では▼29人以下:3906円(同249円増)▼30-49人:4100円(同107円増)▼50-59人:4213円▼60-79人:4286円▼80-99人:4321円(同72円減)▼100人以上:4510円(同8円増)―、個室ユニット型では▼29人以下:3707円(同102円増)▼30-49人:3789円(同156円増)▼50-59人:3919円▼60-79人:3982円▼80-99人:4050円(同62円減)▼100人以上:4275円(同5円減)―となっており、規模が大きいほど「給与水準が高い」ことが伺えます。

従来型・個室ユニット型ともに、定員規模が大きいほど赤字施設割合が少ない(2018年度特養ホーム経営状況2 191227)



WAMでは、「小規模施設は人材確保面でも厳しい環境に置かれ、2019年10月からの介護職員等特定処遇改善加算についても、小規模施設・法人の方が算定割合が低い。小規模施設の置かれる環境は今後さらに厳しさを増すことが懸念される」と見ています。

介護保険制度の見直しについて議論をしてきた社会保障審議会・介護保険部会では「介護の経営の大規模化・協働化により人材や資源を有効に活用することが重要である」との見解も取りまとめており(介護保険部会取りまとめの記事はこちら)、今後、特養ホーム経営を考えるうえで「大規模化」は極めて重要な視点となることが確実と言えるでしょう。

利用率のアップ、加算取得が経営の好転につながる

次に赤字施設と黒字施設の違いを詳しく見ていきましょう。

従来型・個室ユニット型ともに、黒字施設では▼定員数が多い(つまり規模が大きい)▼入所利用率が高い―ことが改めて確認できます。大規模化へのハードルは大きなことから、まず「赤字施設の経営改善に向けた第一歩は、施設全体の利用率向上にある」ことは間違いありません。地域のケアマネジャーや居宅介護サービス事業所はもとより、医療機関(病院、診療所)との連携を深め(「待つ」のではなく、自ら「赴く」ことが重要)、自施設の認知度向上、利用者紹介の依頼などを行えるような関係を構築することが必要でしょう。

赤字施設と黒字施設とを比較すると、定員や利用利用に大きな違いのあることが分かる(2018年度特養ホーム経営状況3 191227)



Gem Medで繰り返しお伝えしていますが、急性期の病院はもちろん、慢性期の病院(医療療養)においても「在院日数の短縮」が重要なテーマとなっており(診療報酬改定でも「より多くの重症患者を入院させる」旨の要件が厳格化されてきている)、「状態の安定した患者の早期退院」が求められています。ここで特養ホーム側が「状態の安定した要介護3以上の高齢者」を積極的に受け入れる体制を十分に整えられれば、病院にとっては「退院先の確保」に、特養ホームについては「入所者の確保」につながります(win-winの関係となる)。特養ホーム経営においては、診療報酬改定をはじめとする医療制度の動きについてもポイントを把握し、急性期も含めた病院との緊密な連携関係を構築することが重要です。

WAMでは「まず施設の利用率が低い原因を分析し、稼働状況の改善等によって収益面の強化を図り、人件費に見合った収益を確保する」ことを経営改善に向けた第1ステップに位置付けています。



また、とくに個室ユニット型では、黒字施設において▼栄養マネジメント加算▼個別機能訓練加算▼口腔衛生管理体制加算▼日常生活継続支援加算―などの各種加算の取得割合が高く、さらに、これら加算の取得率が高い施設では「利用率も高い」ことも改めて分かります。
 
加算取得には「収益の増加」という直接的な効果があることはもちろん、さらに「利用者のQOLが向上し、利用者に選ばれる施設になる」という間接的な効果もあります。「施設内の体制等の整備」→「加算の取得による収益増」→「利用者のQOL向上」→「利用者の増加」→「収益の増加」→「さらなる人材確保」→「さらなる体制整備の充実」→「利用者のQOLのさらなる向上」という正のスパイラルが生まれるのです。

各種加算の取得要件を細かく確認するとともに、自施設の状況を洗い直し、加算算定に向けた工程表(ロードマップ)を作成することが期待されます。その上で「人材配置」(必要に応じた増員も)など施設内の体制を整備し、早期に加算を取得し、「利用者に選ばれる施設」を目指すことが重要です。

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