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定期巡回・随時対応で13.7%、看多機で10.2%の新たな介護職員処遇改善加算を創設―社保審・介護給付費分科会

2017.1.19.(木)

 2017年度に行われる臨時の介護報酬改定(介護職員の処遇改善)の全容が、18日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会で明らかにされました。今後、パブリックコメントを経て、4月から適用されることになります(届け出期限は4月に入る可能性)(関連記事はこちらこちら)。

 介護職員処遇改善加算に新たな区分(新加算I)を設けるもので、加算率は▼訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護などが13.7%▼通所介護などが5.9%▼認知症対応型通所介護が10.4%▼小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護が10.2%▼認知症対応型共同生活介護が11.1%▼介護老人福祉施設などが8.3%▼介護老人保健施設などが3.9%▼介護療養型医療施設などが2.6%―といった具合です。

 また、改定率は1.14%で、在宅分が0.72%、施設分が0.42%となっています。

1月18日に開催された、「第135回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

1月18日に開催された、「第135回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

2017年度に実施される臨時介護報酬改定の概要、新たに介護職員処遇改善加算の上位区分を設ける

2017年度に実施される臨時介護報酬改定の概要、新たに介護職員処遇改善加算の上位区分を設ける

経験や資格、人事評価などに基づく定期的な昇給を内容とするキャリアパス要件IIIを設定

 安倍晋三内閣が昨年(2016年)6月2日に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」などでは、「介護人材の処遇について、2017年度からキャリアアップの仕組みを構築し、月額平均1万円相当の改善を行う」との方針が打ち出されました。

 厚生労働省はこの方針に沿って、「2017年度に介護職員の処遇改善に向けた臨時の介護報酬改定を行う」ことを決定。塩崎恭久厚生労働大臣は18日の介護給付費分科会に、現行の介護職員処遇改善加算(I、II、III、IV)の上に、新たな区分を設ける(新区分が加算Iとなり、他の区分は準備I→II、II→III、III→IV、IV→Vとなる見込み)ことを諮問し、了承されました。

来年度(2017年度)の臨時介護報酬改定によって、月額3万7000円相当の賃金アップや、新たなキャリアパス要件IIIなどを要件とする介護職員処遇改善加算の新区分を創設する

来年度(2017年度)の臨時介護報酬改定によって、月額3万7000円相当の賃金アップや、新たなキャリアパス要件IIIなどを要件とする介護職員処遇改善加算の新区分を創設する

 新加算Iの具体的な要件は次のとおりとなっています。

▼「月額3万7000円相当」の処遇改善を行う

▼現在の加算I(17年度から加算IIとなる)の要件である、▽キャリアパス要件I(介護職員の任用要件や賃金体系を定め、すべての介護職員に周知するなど)▽キャリアパス要件II(介護職員の資質向上計画を定め、また研修実施などを行うとともに、これらをすべての介護職員に周知するなど)▽職場環境要件(2015年4月以降の賃金改善実績の職員への周知)―のすべてを満たす

▼新たに、事業所内で(1)経験年数(2)資格(3)事業所内での評価―のいずれか(組み合わせも可能)に応じた昇給(基本給、手当、賞与などを問わない)の仕組みを設け、これを就業規則等の明確な根拠規定の書面での整備・全ての介護職員への周知している(キャリアパス要件III)

 

 なお、新たなキャリアパス要件IIIの内容について、厚生労働省老健局老人保健課の鈴木健彦課長は、これまでに次のような考え方を示しています。

▽経験に応じて昇給する仕組み:勤続年数、経験年数などに応じて昇給する仕組みを想定

▽資格などに応じて昇給する仕組み:介護福祉士、実務者研修修了者などの資格に応じて昇給する仕組みを想定(ただし、介護福祉士資格を有して、当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みでなければならない)

▽一定の基準に基づき、定期的に昇給を判定する仕組み:実技試験、人事評価などの結果に基づき昇給する仕組みを想定(ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていなければならない)

 

 また加算率(基本報酬に上乗せ)については、▼訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護などが13.7%▼通所介護などが5.9%▼認知症対応型通所介護が10.4%▼小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護が10.2%▼認知症対応型共同生活介護が11.1%▼介護老人福祉施設などが8.3%▼介護老人保健施設などが3.9%▼介護療養型医療施設などが2.6%―などとすることも明らかにされました。「介護職員」の処遇を改善するものゆえ、各サービスにおける介護職員の比率に応じた加算率となっています。したがって介護職員勤務が想定されていない訪問看護や福祉用具貸与、居宅療養管理指導、居宅介護支援(ケアマネジメント)などでは加算率はゼロです。

 なお直近の数字に基づいて加算Iを創設したため、加算II(旧加算I)・III(旧加算II)についても若干の加算率見直しが行われています。

介護職員処遇改善加算の加算率、赤字部分が新設される「加算I」の加算率

介護職員処遇改善加算の加算率、赤字部分が新設される「加算I」の加算率

 改定率は1.14%で、在宅分が0.72%、施設分が0.42%となっています。

 こうした点について委員からは特段の反論は出ていませんが、伊藤彰久委員(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)は、「極論すれば、該当者がおらずとも、事業所でキャリアパス要件IIIに合致する規定を設け、周知すれば加算の届け出・算定が可能になってしまう点は問題である」と述べ、今後の改善を求めています。

 また鷲見よしみ委員(日本介護支援専門員協会会長加算は、「利用者負担につながるものであり、介護が必要な人へのサービス提供が阻害されていないか調査することが必要」とも指摘しました。

 今後、パブリックコメントを経て、改正内容に関する告示・通知が行われ4月から適用となる見込みです。なお、新加算Iの届け出期限については事業所・施設の準備期間なども踏まえて4月にずれ込むことが予想されます。

  
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