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2019年10月予定の消費税率引き上げに伴い、介護報酬の基本単位数を引き上げ―介護給付費分科会(2)

2019.2.14.(木)

 お伝えしているとおり、社会保障審議会・介護給付費分科会が2月13日に、根本匠厚生労働大臣に宛てて、2019年10月予定の消費税対応改定(あわせて新たな【特定処遇改善加算】の新設)に関する答申を行いました(正確には、親組織である社会保障審議会に報告し、そこから根本厚労相へ答申)。

 【特定処遇改善加算】については、既に別稿でお伝えしており、ここでは消費税対応改定について見ていきます。

2月13日に開催された、「第168回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

2月13日に開催された、「第168回 社会保障審議会 介護給付費分科会」

 

介護事業所等における消費税負担増を過不足なく賄うように、基本単位数を引き上げ

 公的介護保険サービスについても、保険医療と同じく、消費税非課税とされています。介護サービス事業所・介護保険施設(以下、介護事業所等)が物品購入等の際に支払った消費税は、利用者・保険者に転嫁することはできず(通常の消費取り引きでは最終消費者が消費税を負担する)、介護事業所等が最終負担者となっているのです(控除対象外消費税)。

 2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられる予定で、これにより介護事業者等の消費税負担が増加してしまうため、特別の介護報酬プラス改定(以下、消費税改定対応)により補填を行うこととなりました。

 消費税対応改定の考え方のベースは、「介護事業所等の消費税負担増」を把握し(護事業者等の支出のうち、人件費など消費税が課税されない部分を除いた「課税対象費用」をサービス種類ごとに把握する)、これが過不足なく補填されるように「基本単位数等を引き上げる」というものです。ただし、介護老人保健施設における【所定疾患施設療養費】(入所者に肺炎治療などを行った場合の加算)、【緊急時施設療養費】(入所者が意識障害などに陥り、緊急治療を行った場合の加算)など、「課税費用の割合が大きいと考えられる加算」についても引き上げ(上乗せ)が行われます(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

 引き上げ対象となる基本単位数は膨大ですが、いくつかピックアップすると、次のようになります。2019年10月の消費税率引き上げに合わせて、新単位数が適用されます(告示・関連通知等の発出は、今年度(2018年度)中に行われる見込み)。

●新単位数の全体像はこちら(厚労省サイト、介護給付費分科会の資料)

【訪問介護】
●身体介護中心
・20分未満:166単位(現行から1単位アップ)
・20分以上30分未満:249単位(現行から1単位アップ)
・30分以上1時間未満:395単位(現行から1単位アップ)
・1時間以上:577単位(現行から2単位アップ)+30分ごとに83単位(増減なし)を加算
●生活援助中心
・20分以上45分未満:182単位(現行から1単位アップ)
・45分以上:224単位(現行から1単位アップ)

【訪問看護】
●訪問看護ステーション
・20分未満:312単位(現行から1単位アップ)
・30分未満:469単位(現行から2単位アップ)
・30分以上1時間未満:819単位(現行から3単位アップ)
・1時間以上1時間30分未満:1122単位(現行から4単位アップ)
・理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による訪問:297単位(現行から1単位アップ)
●病院・診療所
・20分未満:264単位(現行から1単位アップ)
・30分未満:397単位(現行から1単位アップ)
・30分以上1時間未満:571単位(現行から2単位アップ)
・1時間以上1時間30分未満:839単位(現行から3単位アップ)
●定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と連携する場合:2945単位(現行から10単位アップ)

【通所介護】(通常規模)
●3時間以上4時間未満
・要介護1:364単位(現行から2単位アップ)
・要介護2:417単位(現行から2単位アップ)
・要介護3:472単位(現行から2単位アップ)
・要介護4:525単位(現行から3単位アップ)
・要介護5:579単位(現行から3単位アップ)
●4間以上5時間未満
・要介護1:382単位(現行から2単位アップ)
・要介護2:438単位(現行から2単位アップ)
・要介護3:495単位(現行から2単位アップ)
・要介護4:551単位(現行から3単位アップ)
・要介護5:608単位(現行から3単位アップ)
●5時間以上6時間未満
・要介護1:561単位(現行から3単位アップ)
・要介護2:663単位(現行から3単位アップ)
・要介護3:765単位(現行から4単位アップ)
・要介護4:867単位(現行から4単位アップ)
・要介護5:969単位(現行から5単位アップ)
●6時間以上7時間未満
・要介護1:575単位(現行から3単位アップ)
・要介護2:679単位(現行から3単位アップ)
・要介護3:784単位(現行から4単位アップ)
・要介護4:888単位(現行から4単位アップ)
・要介護5:993単位(現行から5単位アップ)
●7時間以上8時間未満
・要介護1:648単位(現行から3単位アップ)
・要介護2:765単位(現行から4単位アップ)
・要介護3:887単位(現行から4単位アップ)
・要介護4:1008単位(現行から5単位アップ)
・要介護5:1130単位(現行から6単位アップ)
●8時間以上9時間未満の場合
・要介護1:659単位(現行から3単位アップ)
・要介護2:779単位(現行から4単位アップ)
・要介護3:902単位(現行から4単位アップ)
・要介護4:1026単位(現行から5単位アップ)
・要介護5:1150単位(現行から6単位アップ)

【通所リハビリ】(通常型)
●1時間以上2時間未満
・要介護1:331単位(現行から2単位アップ)
・要介護2:360単位(現行から2単位アップ)
・要介護3:390単位(現行から2単位アップ)
・要介護4:419単位(現行から2単位アップ)
・要介護5:450単位(現行から2単位アップ)
●2時間以上3時間未満
・要介護1:345単位(現行から2単位アップ)
・要介護2:400単位(現行から2単位アップ)
・要介護3:457単位(現行から2単位アップ)
・要介護4:513単位(現行から3単位アップ)
・要介護5:569単位(現行から3単位アップ)
●3時間以上4時間未満
・要介護1:446単位(現行から2単位アップ)
・要介護2:523単位(現行から3単位アップ)
・要介護3:599単位(現行から3単位アップ)
・要介護4:697単位(現行から4単位アップ)
・要介護5:793単位(現行から4単位アップ)
●4時間以上5時間未満
・要介護1:511単位(現行から3単位アップ)
・要介護2:598単位(現行から3単位アップ)
・要介護3:684単位(現行から3単位アップ)
・要介護4:795単位(現行から4単位アップ)
・要介護5:905単位(現行から5単位アップ)
●5時間以上6時間未満
・要介護1:579単位(現行から3単位アップ)
・要介護2:692単位(現行から4単位アップ)
・要介護3:803単位(現行から4単位アップ)
・要介護4:935単位(現行から5単位アップ)
・要介護5:1065単位(現行から5単位アップ)
●6時間以上7時間未満
・要介護1:670単位(現行から3単位アップ)
・要介護2:801単位(現行から4単位アップ)
・要介護3:929単位(現行から5単位アップ)
・要介護4:1081単位(現行から5単位アップ)
・要介護5:1231単位(現行から6単位アップ)
●7時間以上8時間未満
・要介護1:716単位(現行から4単位アップ)
・要介護2:853単位(現行から4単位アップ)
・要介護3:993単位(現行から5単位アップ)
・要介護4:1157単位(現行から6単位アップ)
・要介護5:1317単位(現行から7単位アップ)

【短期入所生活介護】(ユニット型(I))
・要介護1:725単位(現行から2単位アップ)
・要介護2:792単位(現行から2単位アップ)
・要介護3:866単位(現行から3単位アップ)
・要介護4:933単位(現行から3単位アップ)
・要介護5:1000単位(現行から3単位アップ)

【特別養護老人ホーム】
●従来型個室(介護福祉施設サービス費(1)の(I))
・要介護1:559単位(現行から2単位アップ)
・要介護2:627単位(現行から2単位アップ)
・要介護3:697単位(現行から2単位アップ)
・要介護4:765単位(現行から2単位アップ)
・要介護5:832単位(現行から3単位アップ)
●ユニット型個室(ユニット型介護福祉施設サービス費(1)の(I))
・要介護1:638単位(現行から2単位アップ)
・要介護2:705単位(現行から2単位アップ)
・要介護3:778単位(現行から2単位アップ)
・要介護4:846単位(現行から3単位アップ)
・要介護5:913単位(現行から3単位アップ)

【老人保健施設】
●在宅強化型(介護保健施設サービス費(I)の(iv))
・要介護1:822単位(現行から4単位アップ)
・要介護2:896単位(現行から4単位アップ)
・要介護3:959単位(現行から5単位アップ)
・要介護4:1015単位(現行から5単位アップ)
・要介護5:1070単位(現行から5単位アップ)
●基本型(介護保健施設サービス費(I)の(iii))
・要介護1:775単位(現行から4単位アップ)
・要介護2:823単位(現行から4単位アップ)
・要介護3:884単位(現行から4単位アップ)
・要介護4:935単位(現行から4単位アップ)
・要介護5:989単位(現行から4単位アップ)
●緊急時施設診療費(緊急時治療管理):518単位(現行から7単位アップ)

【介護医療院】
●療養機能強化型A相当(I型介護医療院サービス費(I)の(ii))
・要介護1:808単位(現行から5単位アップ)
・要介護2:916単位(現行から5単位アップ)
・要介護3:1151単位(現行から6単位アップ)
・要介護4:1250単位(現行から7単位アップ)
・要介護5:1340単位(現行から8単位アップ)
●療養機能強化型B相当(Ⅰ型介護医療院サービス費(II)の(ii))
・要介護1:796単位(現行から5単位アップ)
・要介護2:903単位(現行から5単位アップ)
・要介護3:1134単位(現行から7単位アップ)
・要介護4:1231単位(現行から7単位アップ)
・要介護5:1320単位(現行から8単位アップ)

 
 基本単位数の引き上げに伴い、区分支給限度基準額も次のように引き上げられました。これまでと同じ量のサービスを保険内で受けられるようにするためです。
・要支援1:5万320円(現行から290円アップ)
・要支援2:10万5310円(現行から580円アップ)
・要介護1:16万7650円(現行から730円アップ)
・要介護2:19万7050円(現行から890円アップ)
・要介護3:27万480円(現行から1170円アップ)
・要介護4:30万9380円(現行から1320円アップ)
・要介護5:36万2170円(現行から1520円アップ)

 
また、食材料などの費用上昇に鑑み、介護保険施設における食費や居住費の基準費用額も下表のように引き上げられます。ただし、入所者の負担限度額は変わらず、差分は「補足給付」の引き上げによって対応されます。
介護給付費分科会(2) 190213の図表
 

介護医療院への理解を自治体に促す会議を全国で開催中、転換へのハードル下げる

 また2月13日の介護給付費分科会では、2018年度の前回介護報酬改定の効果・影響を検証するために、2019年度に次の7項目の調査を行う方針も固められました。2021年度の次期介護報酬改定に向けた重要な基礎資料となり、今年(2019年)9月を目途に調査を実施し、来年(2020年)3月頃に結果が報告されます。通常よりも1か月半ほど前倒しで調査が行われることとなり、「回収率の向上などが期待」できます(2018年度に実施されている調査に関する記事はこちら)。
▼介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査
▼介護サービスにおける機能訓練の状況等に係る調査
▼介護ロボットの効果実証に関する調査
▼訪問看護サービスおよび看護小規模多機能型居宅介護サービスの提供の在り方に関する調査
▼福祉用具貸与価格の適正化に関する調査
▼定期巡回・随時対応型訪問介護看護におけるオペレーター兼務などの要件緩和の影響に関する調査
▼医療提供を目的とした介護保険施設におけるサービス提供実態等に関する調査

 
さらに、2021年度の次期介護報酬改定に向けた「介護事業経営概況調査」(2017年度・18年度の経営状況を調べる)の内容も了承されています。回答者には厚労省から「経営指標」に関するサービス提供が受けられるというメリットがあり、積極的な調査協力を期待したいところです(関連記事はこちら)。

 
なお、介護医療院への転換促進に向けて、厚労省老健局老人保健課の眞鍋馨課長は「介護医療院への理解を促すためのブロック会議(いわば勉強会)を全国で実施中である」ことが報告されています。自治体によっては、介護費上昇による介護保険料アップを懸念して、「医療療養などから介護医療院への転換」にストップをかけている(認めていない)ところもあります。眞鍋老人保健課長は、ブロック会議において「自治体の介護医療院への理解」を促進し、転換のハードルを下げたい考えを示しています。

 
 

 

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