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退院支援加算、「単身高齢者などへの退院支援」ルールを求める声—入院医療分科会(3)

2017.6.8.(木)

退院支援に向けたハードルとして、急性期から慢性期のいずれの病棟であっても「患者・家族と面会日などを調整することが難しい」点が最多となっている。しかし、独居の高齢者が入院するケースも増えてきており、そうした場合の退院支援ルールを考えておく必要があるのではないか—。

7日に開催された診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」では、こういった議論が行われました。病院・病床の機能分化を進めるためには、「退院支援の充実」が鍵の1つであり、2018年度の次期診療報酬改定に向けた重要論点となりそうです。

6月7日に開催された、「平成29年度 第2回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」

6月7日に開催された、「平成29年度 第2回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」

遠方の家族への面会、「スマートフォンによるテレビ会議を認めては」との指摘も

お伝えしているとおり、7日に開かれた「入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)では、2016年度の前回診療報酬改定が入院医療に及ぼした影響の調査結果(2016年度調査)速報が厚生労働省から報告されています(一般病棟についてはこちら 、地域包括ケア病棟・療養病棟についてはこちら)。今回は「退院支援」の状況を眺めてみましょう。

2016年度の前回診療報酬改定では、従前の「退院調整加算」の施設基準を厳格化し、大幅に組み替えた「退院支援加算」として整理しなおしました。より積極的に「退院困難な患者の抽出」や「地域の医療機関や介護施設との顔の見える連携」を行える体制を敷くことを求めています(関連記事はこちらこちらこちら)。このうち新設された「退院支援加算1」(一般病棟などでは600点、療養病棟などでは1200点)を届け出るには、次のような施設基準を満たす必要があります。

(1)退院支援部門を設置し、「専従の社会福祉士1名以上+専任の看護師」または「専従の看護師1名以上+専任の社会福祉士」を配置する

(2)病棟に、「退院支援および地域連携業務に専従する看護師または社会福祉士」を専任で配置する(1人につき2病棟、120床まで)

(3)20以上の医療機関や介護サービス事業所などと連携し、(1)(2)の職員と連携先の職員が年3回以上の頻度で面会し、情報共有などを行う

(4)過去1年間の介護支援連携指導料の算定回数が、「一般病棟の病床数の15%」+「療養病棟の病床数の10%」を上回る

退院支援加算1・2の施設基準・算定要件の概要。加算1を届け出るためには病棟に退院支援業務等専従の看護職員・社会福祉士の配置などが必要となる

退院支援加算1・2の施設基準・算定要件の概要。加算1を届け出るためには病棟に退院支援業務等専従の看護職員・社会福祉士の配置などが必要となる

 
この退院支援加算1と加算2(従前の退院調整加算)の算定状況を、医療機関の病床規模別に見ると、「退院支援加算1を算定する医療機関では、500床以上の大病院が占める割合が大きい」ことが分かりました。上記の要件を満たすためには、やはり一定程度の体力が求められるのかもしれません。
退院支援加算1のほうが、500床以上大病院で算定する割合が高い

退院支援加算1のほうが、500床以上大病院で算定する割合が高い

 
また今般の調査では、加算届け出の有無を問わず施設横断的(▼7対1・10対1の急性期▼地域包括ケア・回復期リハなどの回復期▼療養病棟▼障害者施設—の4類型)に「退院支援に向けた課題」などを調べています。そこからは、次のような状況が明らかになりました。

▼退院困難な患者を抽出する基準は、急性期病院では7割弱で整備されているが、回復期では半数弱、療養では4分の1、障害者施設でも4割弱にとどまる

退院困難患者の抽出基準について、急性期では作成が進んでいるが、回復期や慢性期では遅れている

退院困難患者の抽出基準について、急性期では作成が進んでいるが、回復期や慢性期では遅れている

 
▼退院支援部門の設置は、急性期病院では8割強、回復期では7割弱にのぼるが、療養では半数弱にとどまる
退院支援部門の設置は急性期や回復期では一定程度進んでいるが、慢性期ではまだまだ遅れている

退院支援部門の設置は急性期や回復期では一定程度進んでいるが、慢性期ではまだまだ遅れている

 
▼病棟に専従・専任の退院支援職員を配置している割合は、急性期では55.2%、療養では36.8%、障害者施設では16.7%だが、回復期では71.3%にのぼる

▼病棟への専従・専任の退院支援職員配置により、いずれの施設類型でも「より早期の患者抽出・関与が可能になる」「患者・家族への説明・面会の頻度を増やせる」といった効果を感じている

急性期、療養などに比べ、回復期では退院支援に向けた専従・専任職員の病棟配置が進んでいるようだ

急性期、療養などに比べ、回復期では退院支援に向けた専従・専任職員の病棟配置が進んでいるようだ

 
▼退院支援に向けた取り組みへの障壁として、施設類型で若干の差はあるものの「担当患者数が多く、1人当たりの退院支援に十分な時間を割けない」「職員数が確保できず、十分な退院調整ができない」「患者・家族との面会日程の調整が難しい」といった事項が多い
病棟の種別に関わらず、退院支援に向けたハードルとして「患者数が多く、職員数が少ないために十分な退院支援が行えない」「患者・家族との面会日程調整が困難」といった点があげられている

病棟の種別に関わらず、退院支援に向けたハードルとして「患者数が多く、職員数が少ないために十分な退院支援が行えない」「患者・家族との面会日程調整が困難」といった点があげられている

 
これらの結果から「専従・専任の退院支援職員を配置できず、退院支援を行う職員が不足してしまい、結果として十分な退院調整ができない」という状況に陥っていることなどが伺えます。2016年度における「退院支援加算」創設のポイントは、「より積極的な退院困難患者の抽出」と「地域との顔の見える連携関係の構築」にあると言え、これを実現する手法の1つとして「病棟に専従・専任の退院支援職員を配置」が設けられました。次期改定に向けた重要課題の1つとなるでしょう。

一方で委員の多くは、患者・家族側に内在する退院支援への障壁を問題視しています。

例えば退院支援加算1を算定するためには、「一般病棟などでは原則7日以内、療養病棟などでは原則14日以内に『患者および家族』と病状や退院後の生活も含めた話合い」を行い、退院支援計画を作成・交付することなどが求められます。この点、筒井孝子委員(兵庫県立大学大学院経営研究科教授)は、「これから単身の高齢者がますます増え、家族との面会が困難なケースが増加する。単身世帯への対応を考えておく必要があるのではないか」と指摘。池端幸彦委員(医療法人池慶会理事長)も「家族がいても遠方に居住しているケースもある。何らかの対策が必要である」と述べ、筒井委員の指摘に賛同しています。

高齢者にとっては「一人暮らし」であることそのものが「退院を困難とさせる要素」になるため、こちらも今後の重要論点の1つとなりそうです。この点、家族が遠方にいる場合などへの対応策の1つとして田宮菜奈子委員(筑波大学医学医療系教授)は「スマートフォンなどを活用したテレビ会議によった場合でも、家族との面会などを認めてはどうか」と提案しています。すでに外来医療や医療・介護連携ではICTの活用が話題になっていますが、退院支援の場面でもICT活用による効率化が求められるかもしれません。

なお神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長)は、「働き方改革で残業が問題となっている。退院支援にはソーシャルワーカーなどが関わるケースが多いが『時間外対応への評価』を検討しておく必要があるのではないか」と指摘しています。

 

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