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病棟群単位の届け出を行わない理由や、看取りガイドラインの活用状況など調査—中医協総会(2)

2017.5.18.(木)

 2017年度の「入院医療等の調査」においては、2016年度診療報酬改定で時限的に導入された「病棟群単位の入院基本料届け出」を行わない理由や、困難な要件はどこにあるのか、さらに看取りに向けた対応方針やガイドライン利用の状況がどうなっているのかを調べる—。

 17日に開催された中央社会保険医療協議会の総会では、こうした方針が了承されました。近く調査票を対象病院に送付し、秋以降、調査結果をもとに2018年度診療報酬改定に向けた具体的な議論が進められます。

5月17日に開催された、「第351回 中央社会保険医療協議会 総会」

5月17日に開催された、「第351回 中央社会保険医療協議会 総会」

2017年度の入院医療等調査、速報値を今秋に入院医療分科会に報告

 診療報酬改定に関する議論は、中医協総会を中心に行われますが、入院医療については下部組織である診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」(入院医療分科会)で詳細な調査データに基づく技術的な議論が平行して実施されます。

 入院医療分科会では2016年度の前回診療報酬改定の影響・効果について、2016年度と17年度の2回に分けて詳細に調査を実施。2016年度調査分については近く速報値が報告される予定で、2017年度調査分について調査内容が4月27日に固められました(関連記事はこちら)。

今般、入院分科会の意見を踏まえた調査票が、厚生労働省から中医協総会(および先立って開催された診療報酬基本問題小委員会)に報告され、了承が得られました。2017年度には、次の4項目の調査が行われます。

(1)一般病棟入院基本料・特定集中治療室管理料における「重症度、医療・看護必要度」などの施設基準見直しの影響(その2)【2016年度調査でも詳しく調べている】

(2)短期滞在手術等基本料・総合入院体制加算の評価の在り方

(3)救急患者の状態を踏まえた救急医療管理加算などの評価の在り方

(4)療養病棟入院基本料などの慢性期入院医療における評価の見直しの影響(その2)【2016年度調査でも詳しく調べている】

調査票を眺めてみると、(1)の看護必要度については、▼病棟群の届け出状況▼改定前後の入院料別のベッド数▼改定前後の看護必要度基準を満たす患者割合▼改定前後の平均在院日数▼改定前後の病棟・病床の利用率▼認知症高齢者の日常生活自立度—などを調べます。あっさりとした調査にも思えますが、厚労省は別途「看護必要度」に関する詳しい調査を行っているほか、DPCデータ・NDBデータを組み合わせて詳細な分析が行われます。

このうち「病棟群の届け出状況」については、入院医療分科会で委員から出された意見を踏まえて、届け出を行った理由や今後の届け出の意向のほか、「届け出を行わなかった理由」と「満たすことが難しい要件」についても聞くことにしています。

病棟群の届け出に関する調査では、「届け出ない理由」なども調べる

病棟群の届け出に関する調査では、「届け出ない理由」なども調べる

 
また(2)では、短期滞在手術等基本料について「基本料1・2・3それぞれの算定件数」を、総合入院体制加算について「要件となっている手術や化学療法などの実施件数」などを調べます。

(3)の救急医療に関しては、「二次救急医療体制」や「救急外来の体制」「救急車で搬送された患者数」などを聞くことになります。

さらに(4)の慢性期医療に関しては、入院患者の状況(要介護度や認知症高齢者の日常生活自立度、栄養の状況、トイレの支援レベルなど)を詳しく聞くほか、「看取り」への取り組みについて、「対応方針を決めているか」「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドラインを利用しているか」などを調べます。

看取りに関する調査では、「対応方針の有無」や「ガイドラン活用の有無」なども調べる

看取りに関する調査では、「対応方針の有無」や「ガイドラン活用の有無」なども調べる

 
なお、これらと併せて▼病院の給食部門における収支の状況▼2016年度改定に伴う経腸栄養製品の使用、食材費などの状況—についても調査が行われます。

潰瘍性大腸炎の病態把握や、肺がんへの抗がん剤適用など調べる検査を保険収載

17日の中医協総会では、次の3つの臨床検査を6月に保険収載することも了承されました。

(1)潰瘍性大腸炎の病態把握を補助するための「カルプロテクチン」量の測定(酵素免疫測定法:ELISA法)【276点に設定される予定】

(2)抗がん剤『クリゾチニブ』(販売名:ザーコリカプセル)の非小細胞肺がん患者への適応判定を補助するための「ROS1融合遺伝子」測定(Reverse Transcription PCR法)【2500点に設定される予定】

(3)敗血症患者において原因となった病原性細菌と関連する薬剤耐性遺伝子の同時検出(マイクロアレイ法)【1700点に設定される予定】

 
 なお、新たな患者申出療養として、▼難治性天疱瘡患者に対するリツキシマブ治療(慶應義塾大学病院が臨床研究中核病院となる)▼チオテパを用いた自家末梢血幹細胞移植療法(名古屋大学医学部附属要因が臨床研究中核病院となる)―の2件が、5月2日に告示されたことも報告されました(関連記事はこちら)。

難治性天疱瘡患者に対するリツキシマブ治療の概要

難治性天疱瘡患者に対するリツキシマブ治療の概要

チオテパを用いた自家抹消幹細胞移植療法の概要

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