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急性期1は7対1時代よりも経営改善、急性期2は若干苦戦するが、地ケア病棟の活用で経営改善も―福祉医療機構

2020.1.24.(金)

2018年度の病院経営状況を見ると、急性期一般病棟入院料1(急性期1)では従前の7対1時代に比べて経営状況が改善している―

また急性期一般病棟入院料2(急性期2)では7対1時代に比べて経営が悪化しているが、小規模病院では地域包括ケア病棟入院料1を取得し、「急性期病棟の安定」「地域包括ケア病棟単独での収益増」による経営改善を実現しているケースもある―

福祉医療機構(WAM)が1月21日に公表したリサーチレポート「2018年度 病院の経営状況について」から、こういった点が浮かび上がってきています(WAMのサイトはこちら)。

2018年度改定で急性期1-7を新設、7対1から急性期2以下への移行はわずか

リサーチレポートはWAMが貸し付けを行っている1372病院について、財務諸表データに基づく分析結果をまとめたものです。分析対象の内訳は、▼一般病院(一般病床が全病床の50%超):689施設▼療養型病院(療養病床が全病床の50%超):441施設▼精神科病院(精神病床が全病床の80%超):242施設―となっています。本稿では一般病の経営状況を眺めてみましょう。

一般病院を病床規模別に見ると、▼100床未満:25.1%▼100-199床:41.4%▼200-299:13.6%▼300床以上:19.9%―となっています。

また一般病院の取得入院基本料を見てみると、▼急性期1:45.4%(2017年度の7対1から1.4ポイント減)▼急性期2:1.2%(2018年度改定で新設)▼急性期4:9.4%▼急性期5:6.4%▼急性期6:3.0%▼急性期7:1.8%―などとなっています。急性期2から急性期7を合計すると21.8%で、2017年度の10対1に比べて0.3ポイント増加しています。「7対1(急性期1)から10対1(急性期2以下)への移行が進んでいるのか」は、今後の調査分析も見ていく必要があるでしょう。

一般病院、精神病院や療養型病院に比べて経営環境が苦しい

次に病院の収支状況を見てみましょう。

病院の収益性を表す「医業収益対医業利益率」は、一般病院では1.8%で、前年度に比べて0.6ポイント向上しました。しかし、療養型病院の5.2%(前年度から0.5ポイント向上)、精神科病院の2.8%(同0.9ポイント向上)に比べて「低い水準」となっています。

また一般病院における赤字病院割合は36.6%で、前年度から横ばい(0.1ポイント減少)。療養型病院の24.0%(前年度から1.9ポイント増加)、精神科病院の27.7(同1.8ポイント減少)に比べて「赤字病院の割合が高い」ことが分かります。WAMでは「これまでかろうじて黒字であった病院の一定数が赤字に転落した」と分析しています。

2018年度、一般病院経営環境は精神科病院や療養型病院に比べて厳しいようだ(WAM2018年度病院経営動向1 200121)

これまでかろうじて黒字であった一般病院が赤字にシフトしている状況がうかがえる(WAM2018年度病院経営動向2 200121)



さらに、一般病院における1床当たりの収支状況を見てみると、▼医業収益は前年度から2.8%増加▼医業費用は同じく2.3%増加―となり、医業利益は32.5%の大幅増となりました。この背景には、2018年度の薬価改正(引き下げ)があります。一般病院の「医業収益に対する医業費用の割合」を見ると、▼全体:98.1%(前年度比0.4ポイント低下)▼人件費:52.6%(同0.0ポイントのわずかな低下)▼医療材料費(薬剤や医療材料):20.8%(同0.4ポイント低下)▼入院患者1人1日当たりの給食材料費:1174円(同19円上昇)▼経費:18.3%(同0.2ポイント上昇)▼減価償却費:4.8%(同0.2ポイント低下)―となっており、薬価・材料価格の引き下げによるコストダウンが伺えます。

なお給食材料費についてWAMでは「昨今の物価上昇、委託費の上昇(委託業者側での調理員確保難などによる)により、病院経営への影響も徐々に大きくなっていく」と予測しています。

急性期1、7対1時代よりも若干の経営好転

次に急性期1を取得する184施設、急性期2を取得する5施設の経営状況を少し詳しく見てみましょう。

急性期1の医業収益対医業利益率は2.0%となりました。同一病院について2017年度の状況をみると1.4%であったことから、0.6ポイント改善している計算です。

この背景についてWAMでは、▼在院日数の短縮▼診療報酬改定(医師事務作業補助体制加算、 急性期看護補助体制加算などの拡充等)―により入院単価が2288円上昇したことが大きいと見ています。これにより、人件費増(従事者1人当たり人件費・従事者数の増加)をカバーできています。

一方、急性期2の医業収益対医業利益率はマイナス5.1%で、同一病院の2017年度状況と比べて0.7ポイント悪化してしまいました。急性期1に比べて▼病床利用率が低い▼入院単価が低い―状況にあり、WAMでは「利用率の向上」が必要とアドバイスしています。もっとも、サンプルが5病院であり「急性期1に比べて急性期2の経営状況が悪い」などの判断はできない点に留意が必要です。

急性期2は、看護配置が10対1で良く、例えば「看護師確保が難しく7対1の維持が困難である」病院が、看護配置を9対1などにすることが可能です。この場合、「看護職員の人件費」と「診療報酬点数」とを比較すると、急性期2のほうが急性期1よりも「効率的な経営」が可能であり、今後の動向を注意深く見守ることが重要でしょう。

急性期1・急性期2の経営動向(WAM2018年度病院経営動向3 200121)



なおWAMでは、調査対象全体の中では「200床未満の急性期2病院」において、「地域包括ケア病棟入院料1」を取得し、▼急性期病棟の入院単価向上(急性期2→地ケア病棟への転棟による在院日数短縮)▼地域包括ケア病棟1における点数の引き上げ(在宅医療等提供実績が要件)―によって医業利益率向上を実現している施設もあることを紹介しています。

地域包括ケア病棟、急性期病棟よりも医療療養との組み合わせで経営安定

また地域包括ケア病棟についてWAMは、急性期一般病棟入院基本料などとの「組み合わせ」に関する特徴を分析しています。それによると、地ケア病棟と入院基本料との組み合わせによって、医業収益対医業利益率や赤字病院割合に大きな差の出ることが分かりました。

具体的には下表に示すとおりですが、「医療療養+地ケア病棟」に比べて「急性期+地ケア病棟」では赤字病院の割合が高く、医業収益対医業利益率も低い状況にあります。地ケア病棟の活用方法の1つとして「急性期病棟で重症度、医療・看護必要度を満たさなくなった患者を地ケア病棟に転棟させ、急性期病棟の重症患者割合を高め、在院日数の短縮を図る」ことがあげられますが、2020年度の診療報酬改定では、この方法に一定の制限がかかることとなり、今後、地ケア病棟をどう活用するのか、これまで以上に知恵を絞る必要が出てくるでしょう。

地ケア病棟と入院基本料の組み合わせより経営状況に差が出てくる(WAM2018年度病院経営動向4 200121)

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中医協・基本小委、支払側が「看護必要度や地域包括ケア病棟などの厳格化」を強く要望
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入院で実施されていない「免疫抑制剤の内服」「膀胱脱手術」など、看護必要度の評価対象から除くべきか―入院医療分科会(1)
回復期リハビリ病棟から退棟後の医療提供、どのように評価し推進すべきか―入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟の実績評価要件、在宅医療提供の内容に大きな偏り―入院医療分科会(2)
点数が「DPC<地域包括ケア」時点にDPC病棟からの転棟が集中、健全なのか―入院医療分科会(1)
療養病棟に入院する医療区分3の患者、退院患者の8割弱が「死亡」退院―入院医療分科会(2)
入退院支援加算1の「病棟への入退院支援スタッフ配置」要件、緩和すべきか―入院医療分科会(1)
介護医療院の整備など進め、患者・家族の「退院後の介護不安」解消を図るべき―入院医療分科会(2)
急性期一般1では小規模病院ほど認知症入院患者が多いが、看護必要度への影響は―入院医療分科会(1)
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7対1から急性期2・3への移行は3%強にとどまる、看護必要度IIの採用は2割弱―入院医療分科会(1)
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