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ケアマネ事業所管理者の主任ケアマネ要件、猶予規定を2027年まで延長し、山間部等での例外措置も創設―厚労省

2020.6.9.(火)

2021年4月以降、ケアマネ事業所(居宅介護支援事業所)の管理者は「主任ケアマネジャー」(主任介護支援専門員)であることを原則とする―。

ただし「2021年3月末時点で主任ケアマネ以外のケアマネが管理者であり続ける場合には、2027年3月まで原則の適用を猶予する―。

また、中山間地域の事業所や、主任ケアマネが病気などで不在となるなど、「やむを得ない」と判断される場合には、原則の適用を免除することができる―。

厚生労働省は6月5日に通知「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準及び指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令の一部を改正する省令の公布等について」を発出し、ケアマネ事業所(居宅介護支援事業所)等に留意を求めています。1月24日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会で承認された事項を、法令に落とし込んだものです(関連記事はこちら)。

サービスの質向上に向け、ケアマネ事業所の管理者は「主任ケアマネ」が原則

公的介護保険サービスでは、ケアマネジャー(介護支援専門員)が利用者の心身状況や希望等を踏まえて「どういった介護サービスをどの程度提供するか」を選定し、ケアプラン(介護サービス計画書)を作成。このプランに沿ったサービス提供がなされます。このためケアマネには、利用者の状態等を正確に把握する能力や、各介護サービスの特徴や効果に関する知識等が求められるとともに、その能力・知識等を常に磨き続けることが求められます。

これを制度的に担保するために、2006年に「主任ケアマネ」制度が創設されました。ケアマネ経験5年以上のケアマネが必要な研修を受け、都道府県から認定されることで「主任ケアマネ」資格が得られます。2018年度の前回介護報酬改定では、この制度を重視し、「ケアマネ事業所の管理者は、必要な研修を受講した『主任ケアマネ』であること」との要件が設けられました。

ただし主任ケアマネ確保にはハードルもある(研修受講には時間と費用がかかり、受講機関も限定されている)ことから、「2021年3月末までは主任ケアマネ配置要件の適用を猶予する」との経過措置(3年間)が設けられました。この3年の間に、自事業所のケアマネに必要な研修を受けさせるなどし、主任ケアマネ配置に努めることが求められたのです。

しかし、2018年度介護報酬改定の効果・影響を厚労省が調べたところ、▼2021年3月までに、10.1%・3197か所のケアマネ事業所で主任ケアマネ配置が行えない▼2024年3月までに1.6%・505か所のケアマネ事業所で主任ケアマネ配置が行えない―などの状況が分かりました。主任ケアマネ資格取得の前提として「5年以上のケアマネ経験」という要件があることから、経験の浅いケアマネでは主任ケアマネ資格を取得できないのです。

これを放置すれば、相当数のケアマネ事業所が「廃業」せざるを得ないこととなってしまうため、介護給付費分科会では次のような「主任ケアマネ要件の猶予期間延長」等を決定。今般、この決定を踏まえて関係法令が改正されたものです。

●原則(変更なし)
2021年4月1日以降、「ケアマネ事業所(居宅介護支援事業所)の管理者となる者は、いずれの事業所であっても主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)である」こととする

●猶予措置(延長)
「2021年3月31日時点で主任ケアマネでない者が管理者である事業所」では、当該者が管理者である限り、主任ケアマネ要件の適用を2027年3月31日まで猶予する(新設する事業所、管理者が2021年4月以降に一度、主任ケアマネとなった事業所などでは、本猶予措置は適用されない)

●例外措置(新設)
【主任ケアマネ確保が著しく困難であるなど、やむを得ない理由がある場合には、主任ケアマネ以外のケアマネを管理者とすることができる(厚労省令:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準)】を踏まえた通知改正

▽特別地域居宅介護支援加算または中山間地域等における小規模事業所加算を取得できる事業所では、「管理者を主任ケアマネとしない」取扱いも可能とする

▽2021年4月1日以降、不測の事態(主任ケアマネ取得者の▼死亡、長期療養など健康上の問題が発生した場合▼急な退職や転居などによる場合―などが想定されるが、個別に判断する)によって、主任ケアマネを管理者とできなくなってしまった事業所については、「理由」と「改善計画書」を保険者に届け出れば、主任ケアマネ要件の適用を1年間猶予する。さらに、当該地域に他に居宅介護支援事業所がない場合など、利用者保護の観点から特に必要と認められる場合には、保険者の判断で猶予期間の延長も認める

主任ケアマネを確保できない場合には、その理由と対応策を保険者(市町村)に提出する必要がある



なお、例外措置(1)(中山間地域の事業所では主任ケアマネ配置をしなくともよい)を悪用すると、「中山間地域の事業所に勤務する主任ケアマネを、都市部の事業所に管理者に配置換えする」ケースなども起こり得ます。この点、「ヘッドハンティング」を禁止することはできませんが、「同一法人内で上記の異動を行うことなどは認められない」(中山間地域の事業所においてもともと主任ケアマネを配置できていた事業所であり、「やむを得ない事情」が認められない)旨が1月24日の介護給付費分科会で厚労省老健局振興課の尾崎守正課長から示されています。



また、主任ケアマネの育成・確保を推進するため、「研修プログラムに対する地域医療介護総合確保基金の活用推進」などが期待されています。



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