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GemMed塾 看護モニタリング

DPC・II群要件の診療密度、薬剤料は「最も安い後発品」に置き換えて計算―中医協総会 第386回(3)

2018.1.25.(木)

 DPCのII群(DPC特定病院群)要件の1つとなる診療密度について、薬剤に関しては「もっとも安価な後発品」に置き換えて計算する—。

1月24日の中央社会保険医療協議会・総会に提示された「短冊」では、こうした点が明らかにされました(関連記事はこちらこちら)。「高価な先発品を使用して診療密度を高める」方策がとれなくなり、より公正にII群(DPC特定病院群)病院を選定することが可能となります。

1月24日に開催された、「第386回 中央社会保険医療協議会 総会」

1月24日に開催された、「第386回 中央社会保険医療協議会 総会」

後発品係数・重症度係数の廃止、地域医療係数の組み換えなど実施

2018年度の次期診療報酬改定におけるDPC制度改革の概要は、すでに中医協総会とDPC評価分科会で固められ、メディ・ウォッチでも都度、ご紹介してきました。お浚いをすると、次のような点がポイントと言えます(関連記事はこちら)。

▼3つの医療機関群を維持するが、名称を▽I群→大学病院本院群▽II群→DPC特定病院群▽III群→DPC標準病院群—と変更する

▼機能評価係数IIについて、▽保険診療係数の厳格化(未コード化傷病名の割合に基づく減算の基準値を10%から2%に厳格化する、など)▽地域医療係数の大幅組み換え(体制評価指数を医療計画の見直し内容を踏まえて組み替える、など)▽後発医薬品係数・重症度係数の廃止(後発品使用については、機能評価係数Iで評価)—などの見直しを行う

保険診療係数見直しの大枠

保険診療係数見直しの大枠

地域医療係数見直しの大枠

地域医療係数見直しの大枠

地域医療係数(体制評価指数)の見直し案(1/2)

地域医療係数(体制評価指数)の見直し案(1/2)

地域医療係数(体制評価指数)の見直し案(2/2)

地域医療係数(体制評価指数)の見直し案(2/2)

 
▼暫定調整係数から機能評価係数IIへの置き換えが完了することに伴い、現在の「激変緩和措置」は廃止するが、診療報酬改定に伴う個別病院の収益変動に対応するため、1年限りの新たな激変緩和措置(推計診療報酬変動率が2%程度を超えないようにする)を設定する

▼短期滞在手術等基本料2と3について、DPCでは算定不可とする(別途、DPCの点数設定D方式によって該当手術・検査のDPC点数を設定する、なおD方式そのものも一部拡大する)

①短期滞在手術等基本料3を、DPCでは点数設定D方式として取り扱う(新点数を設定)、あわせて②D方式の拡大を行う

①短期滞在手術等基本料3を、DPCでは点数設定D方式として取り扱う(新点数を設定)、あわせて②D方式の拡大を行う

▼再入院7日ルールについて、「再入院の契機傷病名が合併症の診断群分類(上6桁が180040)である」場合、「再入院の資源傷病名が前回の入院と同一である」場合も、一連の入院と扱うこととする(対象の拡大)

高価な先発品を用いて、恣意的に診療密度を上げる方策はもはや使えなくなる

1月24日の中医協総会では、II群(DPC特定病院群)要件の詳細が明らかにされました。大枠はこれまでと変わっておらず、(1)診療密度(2)初期臨床研修の実施(3)医療技術の実施(4)補正複雑性係数—のいずれもが、I群(大学病院本院群)の「外れ値を除外した最低値」以上であること。

2018年度、II群は、診療密度や医療技術などがI群の最低値(外れ値を除く)以上であるとの要件に変更はない

2018年度、II群は、診療密度や医療技術などがI群の最低値(外れ値を除く)以上であるとの要件に変更はない

 
このうち(1)の診療密度は、「1日当たりの包括範囲出来高平均点数」を全病院の患者構成で補正して計算する点に変わりはありませんが、2018年度からは「薬剤料について、もっとも安価な後発品に置き換えて計算する」ルールが導入されます。

診療密度は、いわば「どれだけ濃厚な医療行為を行っているか」を見る指標ですが、例えば「入院前に外来で実施しておくべき検査を、わざと入院後に実施する」「高価な先発品を用いる」などの手法によって引き上げることが可能です。もちろんこれらの手法は「コスト増」を招きますが、II群(DPC特定病院群)とIII群(DPC標準病院群)との係数の差に着目し「コスト増を伴っても、II群となったほうが病院の収益が良い」と考えるケースも一部にあるようです。今般の新ルール導入によって「高価な先発品」を用いても診療密度は上がらないこととなり、より公正にII群(DPC特定病院群)の選定が行われることになります(関連記事はこちら)。

また(3)の医療技術も大枠は変わっていませんが、外保連(外科系学会社会保険委員会連合)・内保連(内科系学会社会保険連合)の最新データを用いて計算されます。お浚いすると、外科系技術については、「外保連試案9.1版」を用いて▼手術1件あたりの外保連手術指数(外科医師数・手術時間補正後)▼DPC算定病床当たりの外保連手術指数(同)▼手術実施症例件数—を、内科系技術については、「特定内科診療2014年度版」を用いて▼症例割合▼DPC算定病床当たりの症例件数▼対象症例件数—を算出し、6項目中の5項目で、I群(大学病院本院群)の「外れ値を除外した最低値」以上であることが求められます。

なお、2016年度の前回改定で導入された「特定内科診療」の構築に当たり、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)が内保連に研究協力を行い、データの分析には次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」やDPC分析ツール「EVE」が活用されました(詳細は内保連グリーンブックに記載)(関連記事はこちら)。

I群病院と出来高病院、在院日数短縮によって、病床利用率も低下してしまっている

なお、1月24日の中医協総会には、2016年度のDPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果概要も報告されました。近く詳細なデータが公表されます。

平均在院日数を見ると、▼I群:13.12日(前年度から0.24日短縮)▼II群:11.80日(同0.10日短縮)▼III群:12.24日(同0.35日短縮)▼準備病院:13.13日(同0.13日短縮)▼出来高病院:13.71日(同0.07日短縮)—となり、すべてのグループで短縮しています。

また、病床利用率は、▼I群:82.2%(同0.2ポイント低下)▼II群:85.5%(同0.2ポイント向上)▼III群:81.1%(同0.7ポイント向上)▼準備病院:78.2%(同1.9ポイント向上)▼出来高病院:76.0%(同1.1ポイント低下)—となり、明暗が分かれた格好です。I群病院・出来高病院では「平均在院日数が減少し、利用率も下がっている」ことから、入院収益が減少している可能性もあり、早急に対策(新規の重症患者の獲得や、病床規模の見直しなど)を検討する必要があります。

在院日数と病床利用率の経年変化、II群・III群病院などでは在院日数の短縮と同時に利用率向上を達成しており、「新規入院患者の獲得」などがうまく進んでいることが伺える

在院日数と病床利用率の経年変化、II群・III群病院などでは在院日数の短縮と同時に利用率向上を達成しており、「新規入院患者の獲得」などがうまく進んでいることが伺える

 
さらに、医療の質を測定する指標として注目を集める「予期せぬ再入院」割合は、▼I群:3.0%(同増減なし)▼II群:3.6%(同増減なし)▼III群:4.3%(同増減なし)▼準備病院:4.4%(同0.1ポイント上昇)▼出来高病院:5.8%(同1.0ポイント上昇)—となり、準備病院・出来高病院で悪化しています。
再入院率の経年変化、医療の質を測定する指標である「予期せぬ再入院率」は、僅かながら上昇傾向にあり原因究明が待たれている

再入院率の経年変化、医療の質を測定する指標である「予期せぬ再入院率」は、僅かながら上昇傾向にあり原因究明が待たれている

 
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我が国の平均在院日数短縮は限界を迎えているのか—中医協・基本小委
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DPCの機能評価係数II、2018年度の次期改定で再整理―DPC評価分科会

診療密度の「境界線病院」の未来―鼎談 II群請負人(6)

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