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機能評価係数IIの体制評価指数、新医療計画に沿った見直し—DPC評価分科会(1)

2017.9.28.(木)

 DPC機能評価係数IIについて、地域医療指数では「5疾病5事業を評価する項目はそれぞれ1つ」に整理しなおす、保険診療指数では「未コード化傷病名割合が大きな場合の減算」基準値を「2%以上」に厳格化する、各係数の分散に対して行っている統計学的処理は廃止する—。

 9月28日に開催された診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会で、こういった方向が固まりました。

また激変緩和措置のプラス緩和(診療報酬改定後に大きく収入が増加するDPC病院の係数を一定程度に抑える仕組み)について、厚労省から見直し方針が示されており、別途お伝えします。

9月28日に開催された、「平成29年度 第5回 診療報酬調査専門組織 DPC評価分科会」

9月28日に開催された、「平成29年度 第5回 診療報酬調査専門組織 DPC評価分科会」

がん・脳卒中・災害医療は現在2項目で評価しているが、統合して1項目で評価

DPC制度は、各病院の特性・機能を評価するために(1)保険診療(2)効率性(3)複雑性(4)カバー率(5)救急医療(6)地域医療(7)後発品(8)重症度—という8項目の機能評価係数IIが設定されており、それぞれ見直し内容が徐々に固められてきています(例えば「(7)の後発品係数は機能評価係数Iに置き換える」など)(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

このうち(6)の地域医療係数(指数)は、▼5疾病5事業など地域医療への貢献度合いを評価する体制評価指数▼地域における患者のシェア状況(地域住民にどれだけ信頼されているか)を評価する定量評価指数―の2つを合算するものです。ところで、前者の体制評価指数を眺めると、例えば「がん医療」への貢献度合いは▼がん地域連携▼がん拠点病院—の2項目で評価されるのに対し、「へき地医療」は1項目だけでしか評価されていません。これでは「へき地医療」に力を入れる病院の評価が、「がん医療」に力を入れる病院よりも低くなってしまいます。そこで厚労省は、【がん】【脳卒中】【災害医療】の評価項目を1つに整理しなおす考えを示しています。

また2018年度から新たな医療計画(第7次医療計画)がスタートしますが、そこでは、例えば【脳卒中】の急性期医療について▼t-PA療法にとどまらず、血管内治療なども提供する「専門的医療を包括的に行う施設」▼t-PA療法を初め一般的な診療を提供する「専門的治療を行う施設」―に分類し、両者が適切に連携していく体制を地域で構築する考えなどが示されました。8月4日のDPC評価分科会では、こうした新たな医療計画の方向性に沿って体制評価指数の項目を見直す方針も了承されています(関連記事はこちら)。

脳卒中における「新たな急性期医療提供体制」のイメージ

脳卒中における「新たな急性期医療提供体制」のイメージ

 
前述の評価項目整理と併せると、次のように見直されることになります。

◆【がん】医療の評価
▽現在の「がん地域連携」と「がん拠点病院」の2項目を統合し、1つの評価項目とする
▽現在のB005-6-2【がん治療連携指導料】は「他院での計画に基づく診療」でも算定可能なため、急性期入院医療の評価軸として不適切な可能性もあり、評価項目から削除する
▽将来的に「診療ガイドラインに基づく治療実施割合」などの評価も検討する

◆【脳卒中】医療の評価
▽現在の「脳卒中地域連携」と「24時間t-PA体制」の2項目を統合し、1つの評価項目とする
▽「専門的医療を包括的に行う施設」と「専門的医療を行う施設」が段階的な評価となるようにする

◆【心筋梗塞などの心血管疾患】医療の評価
▽対象疾患を「心筋梗塞などの心血管疾患」とする(第7次医療計画に沿う)
▽現在の評価軸(PCIなどの実績)に加えて、「急性大動脈解離の手術実績」も評価軸とする
▽「専門的医療を包括的に行う施設」と「専門的医療を行う施設」が段階的な評価となるようにする

心血管疾患における「新たな急性期医療提供体制」のイメージ

心血管疾患における「新たな急性期医療提供体制」のイメージ

 
◆【精神疾患】医療の評価
▽現在の評価軸(A230-3【精神科身体合併症管理加算】またはA311-3【精神科救急・合併症入院料】の施設基準取得)を維持するが、より重篤な診療実態のある後者【精神科救急・合併症入院料】を高く評価する

◆【災害時における医療】の評価
▽現在の「災害時における医療」と「EMIS」の2項目を統合し、1つの評価項目とする
▽評価軸として、現在の「災害拠点病院」「DMAT指定」「EMIS参加」に加えて、「BCP(事業継続計画:Business Continue Plan)策定」も評価軸とする
▽引き続き「新型インフルエンザ等対策に係る指定地方公共機関の指定」の評価軸化を検討する

診療実績を「実数」で評価すべきか、病床規模などに応じた補正を行うべきか

 具体的な評価軸は今後の議論を待つ必要がありますが、例えば、がん医療では「体制」と「診療事績」との両側面を勘案したものとなるでしょう。この見直し方向に対し異論は出ていませんが、「『実績』を十分に評価してほしい」といった注文が福岡敏雄委員(倉敷中央病院総合診療科主任部長)や石川広己委員(千葉県勤労者医療協会理事長)などから付きました。ただし、「実数を評価軸とすると、小規模医療機関で十分な評価がなされない可能性がある」(金田道弘委員:社会医療法人緑壮会理事長)、「一部医療機関では異常な数のインターベンション治療を行っており、ガイドラインに沿っていない患者にも実施している可能性がある。実数だけの評価には危険も伴う」(石川委員)といった指摘も出ており、今後の「具体的な評価軸設定」に注目が集まります。

 もっとも、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンと米国メイヨ―クリニックとの共同研究では、「症例数と医療の質には一定の相関がある」(つまり症例数の多い医療機関ほど医療の質が高い)ことが分かっており(関連記事はこちらこちら)、「実数による評価」にも相当の合理性があると考えられます。なお、福岡委員や池田俊也委員(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)からは「アウトカム」を加味した評価軸の検討要請も出ており、将来的な検討課題となりそうです。

抗菌剤の適正使用に向け、医療機関間の使用状況データを公表できないか検討

 機能評価係数IIの(1)保険診療指数については、8月4日のDPC評価分科会で(a)適切なデータ作成を進めるため、「部位不明・詳細不明コード使用」「未コード化傷病名使用」に係る減算規定を厳格化する(b)病院情報の公表内容を見直していく(c)I群の「指導医療官の派遣による加算」、I・II群の「精神科未設置による減算」は廃止する—といった方向が示されていました(関連記事はこちら)。しかし、委員から「さらなる検討が必要」との指摘があり、厚労省は今般、次のような見直し方針を改めて提示しています。

(a1)「未コード化傷病名使用」に係る減算規定について基準値を、実態を踏まえて、現在の「20%以上」から「2%以上」に厳格化する(従前の提案どおり)

(b1)「病院情報の公表」について、▼項目の追加(例えば「特定抗菌剤の使用実態」)などを検討する▼公表方法の整理(病院間比較が可能なように「項目ごとに公開データとする」ことなども含めて)―などを検討する

(c1)I群病院(大学病院本院)による「保険診療への貢献」は重要であり、「効果的に保険診療への取り組みを促すような研修への参加」の評価を検討する

 このうち(b1)では、病院の患者構成などに配慮した上で、「耐性菌の発生が懸念され、漫然とした使用の抑制が求められている抗菌剤」の使用状況を、地域の医療機関間で比較可能なように公表することなどが検討されます。福岡委員は「重要である。各病院に方向性を示すような形で実施すべき」旨を強調しています。漫然とした抗菌剤使用は医療安全をも脅かす可能性があり、「患者が各医療機関の状況を確認する」こととあわせて、医療機関自らが「自院は他院と比べてどのような違いがあるのか」(より適正な使用が可能ではないか)という点を意識することにつながると期待できます。

医療機関ごとのカルバペネム系抗菌剤の使用状況、患者構成の違いも考慮しなければならないが、一定のバラつきがあることが分かる

医療機関ごとのカルバペネム系抗菌剤の使用状況、患者構成の違いも考慮しなければならないが、一定のバラつきがあることが分かる

 
また(a1)について井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)は「各病院できちんと取り組めば未コード化病名の使用割合は確実に減らせる。どのように取り組めばよいのかを広報することが重要」と指摘しました。DPC制度では、診断群分類ごとに診療内容などを収集・分析するため、「適切なコーディング」が極めて重要となります。優れたコーディングをしている病院の取り組みなどを参考に、横展開していくことなども有用でしょう。

なお、保険診療指数については「名称の見直し」も検討課題の1つにあげられています。

機能評価係数IIの各項目は独立、「統計学的な分散の補正処理」は行わない

 ところで、2016年度の前回診療報酬改定では、「機能評価係数IIの各係数・指数で、引き上げるために必要な努力の度合いが異なる」(例えば後発品指数は比較的容易に上げられるが、複雑性・カバー率指数は難しいなど)との指摘があり、「各指数の散らばり具合を揃える」統計学的処理が導入されました(関連記事はこちらこちらこちら)。

2016年度の前回診療報酬改定で、機能評価係数IIの「各項目」で散らばり具合(分散)が一定になるような統計学的処理が導入された

2016年度の前回診療報酬改定で、機能評価係数IIの「各項目」で散らばり具合(分散)が一定になるような統計学的処理が導入された

 
しかし、2018年度改定に向けたDPC評価分科会の議論では「各係数は独立したものである」という点が再確認されています。例えば、「専門病院であればカバー率を上げることは難しいが、効率性は上げやすい」「大規模な総合病院は効率性の向上は大変であるが、カバー率は確保しやすい」と指摘されるように、「病院の機能・特性に応じて、各係数・指数で評価する」することが適切、という共通認識が再醸成されたと言えます。「現時点で、機能評価係数IIの個別項目に重み付けは行わない」とのDPC評価部分科会認識(つまり各係数・指数ともに重要性は変わらない)とも合致するものです(関連記事はこちら)。

このため、「各指数の散らばり具合を揃える」ことはかえって不適切な評価にもつながりかねず、2018年度改定で「統計学的処理」は廃止されることになりました。

専門病院に配慮したカバー率指数の下限値設定、他係数と同様にすべきか

また、現在、III群では「カバー率指数の下限値設定」(診療科の少ない専門病院などに配慮し、III群病院ではカバー率指数の最低値を「全体の30パーセンタイル値」とする)がなされています。しかし例えば、重症患者を多く受け入れることが期待される特定機能病院などで、「在院日数短縮に困難が伴うので、効率性指数に特別の配慮を行う」といった仕組みは設けられていません。これでは、上記の「各係数が独立している」との再認識と矛盾しかねないため、厚労省は「カバー率係数・指数の下限値・最小値も、他と同様の対応(下限値はゼロとする)としてはどうか」との提案を行いました。

井原委員や金田委員は「目指すべき方向である」と賛意を示しましたが、美原盤委員(脳血管研究所美原記念病院長)は「反対」を明言しており、今後、調整が行われます。

カバー率の「配慮」を継続するのであれば、上述のように「他の係数・指数にも配慮を行う」のが筋と考えられますが、それはあまりに複雑で、また「配慮について、係数間で公平性を確保しなければならない」というほぼ実現不可能な課題が新たに生じます。このため、カバー率のみの配慮は、将来的には廃止する方向で検討すべきではないでしょうか。

 

 

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