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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

2017年度機能評価係数II、I群0.0636、II群0.0730、III群0.0675が上位25%ライン—DPC評価分科会(2)

2017.5.25.(木)

 本年度(2017年度)のDPC機能評価係数IIについて、I群の中央値は0.0582、II群の中央値は0.0668、III群の中央値は0.0589となった。また上位25%を意味する75%tile値は、I群では0.0636、II群では0.0730、III群では0.0675となっている—。

このような状況が24日に開催された診療報酬調査専門組織のDPC分科会で報告されました。この日は、メディ・ウォッチでお伝えしているとおり「2018年度診療報酬改定に向けた医療機関別係数見直しの方向」について中間報告をまとめたほか、DPC病院の合併に関する手続きの見直し案を固めています。

5月24日に開催された、「平成29年度 第1回 診療報酬調査専門組織 DPC評価分科会」

5月24日に開催された、「平成29年度 第1回 診療報酬調査専門組織 DPC評価分科会」

I群は0.0401-0.0832、II群は0.0453-0.0997、III群は0.0242-0.1032で分布

DPC病院の包括部分点数は、大まかに言えば「日当点(DPC点数表)×医療機関別係数×入院日数」という式で計算されます。このうち、医療機関別係数は▼基礎係数(医療機関群ごとに設定)▼機能評価係数I(出来高の加算などを係数化)▼機能評価係数II▼暫定調整係数—の和となります。

機能評価係数IIは、言わば「各病院がどれだけ頑張っているか」を評価するもので、前々年の10月から前年9月までの実績(2017年度係数では2015年10月-2016年9月の実績)をもとに毎年見直されます。24日のDPC分科会には、2017年度における機能評価係数IIの内訳が詳しく報告されました(個別医療機関の機能評価係数II設定については、すでにメディ・ウォッチでもお伝えしています)。

まず機能評価係数IIの合計値を見てみると、I群(大学病院本院群)・II群(大学病院本院に準ずる病院群)・III群(その他の病院群)のそれぞれについて次のように分布しています。

▼I群(0.0401-0.0832):中央値0.0582、上位25%(75%tile値)0.0636

▼II群(0.0453-0.0997):中央値0.0668、上位25%(同)0.0730

▼III群(0.0242-0.1032):中央値0.0589、上位25%(同)0.0675

 I・II群とIII群で機能評価係数IIの定義・計算方法が異なるため単純比較には意味がありませんが、「最高値ではII群よりもIII群のほうが勝っている」にもかかわらず、「中央値、上位25%の値などではII群のほうがIII群よりも勝っている」ことから、やはりII群において係数の高い病院が多いことが分かります。

 自院の係数と、上記数値を比較し(「中央値より勝っているか」「上位25%に入っているか」など)、自院の機能を見つめなおすことができます。

2017年度の機能評価係数IIの分布状況(その2)

2017年度の機能評価係数IIの分布状況(その2)

2017年度の機能評価係数IIの分布状況(その1)

2017年度の機能評価係数IIの分布状況(その1)

 
 また機能評価係数IIは現在、(1)保険診療(2)効率性(3)複雑性(4)カバー率(5)地域医療(6)救急医療(7)後発医薬品(8)重症度—の8係数で構成されており、病院別の内訳も公表されました(厚労省のサイトはこちら(機能評価係数II全体のPDFファイル)こちら(地域医療指数・体制評価指数の内訳に関するPDFファイル)、Excelファイルをダウンロードする場合はこちらから(下にスクロールすると参考資料))。

重症患者(DPC点数の高い診断群の症例)受入れ状況を見る(3)の複雑性については、I群の中央値が0.00798、II群の中央値が0.00793、III群の中央値が0.00827、上位25%の値がI群で0.00987、II群で0.00991、III群で0.01047という分布になっています。数字からは「III群のほうが、II群よりも重症患者受け入れに積極的な病院の割合が高い」ように見えます。今後、より詳しい分析が待たれます。

複雑性係数の分布を見ると、II群(赤い棒グラフ)でやや中央よりも低い部分に峰がある点が気になる

複雑性係数の分布を見ると、II群(赤い棒グラフ)でやや中央よりも低い部分に峰がある点が気になる

 
また(4)のカバー率(総合的な体制の評価)については、I群の中央値が0.00767、II群の中央値が0.00768、III群の中央値が0.00466、上位25%の値がI群で0.00904、II群で0.00871、III群で0.00799という分布になりました。I群(大学病院本院)は当然ですが、やはりII群で総合的な診療体制が整っていることが分かります。
カバー率係数の分布をみると、I群・II群で、III群よりも高いエリアに分布していることが分かる

カバー率係数の分布をみると、I群・II群で、III群よりも高いエリアに分布していることが分かる

 
一方、(7)の後発品では、ほとんどの病院が上限(2017年度では0.00949)に達していることが改めて確認できます。このため「機能評価係数IIとしての役割を終えた」と判断され、2018年度改定において「機能評価係数Iへの置き換え」方針が固まっています。
後発医薬品係数は、ほとんどの病院で上限値に達している

後発医薬品係数は、ほとんどの病院で上限値に達している

 
さらに、(8)の重症度については、「係数0」「係数が中ほど」「係数が最大値」の3峰性の分布を示しています。「効率性を進める病院ほど、重症度係数が低くなってしまう」との批判が医療現場から強く、2018年度改定に向けて「別手法での評価方法」を検討することになっています。
病院数の多いIII群で顕著だが、重症度係数は「ゼロ」「上限」「中央」の三峰性に分布している

病院数の多いIII群で顕著だが、重症度係数は「ゼロ」「上限」「中央」の三峰性に分布している

 
 2018年度の診療報酬改定で機能評価係数IIのシェアが大きくなります。このため、機能の高い病院ではより機能評価係数IIが高くなり、より収益が安定しますが、一方でバラつきも大きくなることが予想されます(機能評価係数II、つまり医療機関別係数が低くなる病院も出てくる)。次期改定までに改めて自院の機能を見つめなおし、他院の状況・地域の状況も勘案しながら、今後の病院運営などを考える必要があるでしょう(関連記事はこちら)。

単純増床でも大規模な場合には事前申請が必要に、小規模な合併では申請不要

 24日のDPC評価分科会では、「DPC病院の合併・分割手続き」の見直しに向けた議論も行われました。

 DPC病院となるためには、▼10対1入院基本料以上▼データ/病床比が1か月当たり0.875以上—などの基準をクリアするとともに、「継続した適時・適切なデータ提出が可能である」といった要件を満たす必要があります。DPC病院が他の病院と合併する場合に、こうした要件を満たせなければ、DPC制度への参加を継続することは認められません。そこで中央社会保険医療協議会で「DPC病院が合併・分割をする場合には、その6か月前までに厚生労働省に申請を行う」ことが必要です。申請が行われた場合、中医協で審査を行い(具体的な審査はDPC合併・退出等審査会が行う)、DPC参加継続の可否が判断されます。

 ところでDPC病院が単純な増床・減床を行う場合には、現在、上記の手続きは不要ですが、大規模な増床・減床をする場合には、やはり「上記の基準をクリアできるのか」といった点が気になります。

 また、大規模なDPC病院が中小の出来高病院を吸収合併するような場合には、「実質的な単純増床に近いのではないか」とも考えられ、手続きにアンバランスが生じています。

 そこで厚労省は、合併・分割・単純増床・単純減床の手続きを次のように再整理してはどうかと提案し、了承されました。近く中医協で審議されます(関連記事はこちら)。

(A)DPC病院同士の合併・分割(DPC×DPC)
→医療機関別係数の変更などが必要なので、従前どおり「6か月前までに厚労省への申請」を求め、中医協で審査する

(B)(A)以外の合併(DPC×出来高など)、単純増床、単純減少

(B-1)年度内に病床数が200床を超えて増減する、あるいは2倍以上もしくは2分の1以下となる場合
→機能が変化する可能性などを考慮し、「6か月前までに厚労省への申請」を求め、中医協で審査する

(B-2)(B-1)以外の場合
→申請は不要

このうち(1)の基準値(200床や2倍・2分の1)設定について厚労省保険局医療課の担当者は、過去の合併・退出事例をもとに、「200床以内、2倍・2分の1未満の増減であれば、機能の維持に大きな影響がないことが分かってきたため」と説明しています。

今後、地域医療構想の実現に向けた動きが加速化し、また平均在院日数短縮などに伴う地域での競争激化、さらに公立病院改革の要請などによって、一般病床のダウンサイジングや病院の統合・合併が進んでいくと予想されます。その際、ダウンサイジングや統合・合併がどのパターンに該当するのか、抑えておく必要があります。

  
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