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DPCのI群・II群、複雑性係数やカバー率係数への重みづけを検討へ—DPC評価分科会

2017.3.31.(金)

 DPCのI群・II群の病院は、要件に鑑みれば「多数の診療科を有し、難度の高い疾病を受け入れる」ことが期待されている。このため、これらを評価するカバー率係数や複雑性係数の重みづけを高くし(逆に効率性係数や地域医療係数の重みづけを低くする)、そうした機能に重きを置いている病院が有利になるようにしてはどうか―。

 31日に開催された診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会では、2018年度の次期診療報酬改定に向け、こういった検討をしていく方向が示されました。仮に上記の仕組みが導入された場合、効率性や地域医療に強みを持つ病院では係数が低くなってしまうため、「III群を選択可能とする」道も検討される見込みです(関連記事はこちらこちら)。

3月31日に開催された、「平成28年度 第5回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会」

3月31日に開催された、「平成28年度 第5回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会」

I群・II群・III群の体系は維持するが、群の名称を機能を表すものに見直し

 31日の分科会では、2月9日の前回会合に引き続き「DPCの医療機関別係数」を議題としました。

 まず基礎係数・医療機関群については、▼現在の3つの医療機関群を維持する▼I群・II群・III群という名称は、各群の機能などを表すものに見直す▼医療機関群の「選択」について引き続き検討する―という方向が概ね固まりました。

 このうち名称について厚生労働省は、「I・II・IIIが格付けを想起させてしまう」との指摘を踏まえ、I群を「大学病院本院群」、III群をDPC制度の基本であることを明確にした「標準群」などとしてはどうかと提案。この考え方に多くの委員は賛意を示しており、石川広己委員(日本医師会常任理事)は、「I群とII群は、標準であるIII群から飛び抜けているので、特定DPC病院群I・IIなどとしてはどうか」との見解を示しました。また井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)は「そもそもの群分けは、『一定の要件を設定し、それに該当した病院の資源投入量から基礎係数を設定することが合理的』との考えに基づいたもので、『要件に該当している病院群』であることが明確な名称にすべき」という点を強調しています。

 「医療機関群の選択」については、機能評価係数IIに関する部分で説明します。

重症度係数、機能評価係数以外の「他の評価手法」へ移管する方向

 次に機能評価係数IIについては、▼保険診療・効率性・地域医療・複雑性・救急医療・カバー率—の6項目は維持し、後発品・重症度は再整理する▼各係数への財源配分(重みづけ)について検討する―方向が厚労省から示されました。

 前者の「再整理」のうち、後発品係数については「機能評価係数I」へ移管してはどうかとの提案が改めて行われました。後発医薬品指数・係数は、多くの病院で上限に張り付いており「機能評価係数IIとしての役割を終えたのではないか」と判断による提案ですが、石川委員は「梯子を外された」ことにならないよう、機能評価係数IIとしての存続を要望しています。なお、後発品係数が機能評価係数IIからIに置き換えられた場合、その分の財源(2017年度では最大0.00949)が他の地域医療係数や救急医療係数などに振り分けられます。したがって「後発医薬品使用体制加算1の42点は機能評価係数Iに換算すると0.0011程度にすぎず、大幅な係数のマイナスになる」というわけではありません(もちろん後発品係数のみが高く、他の係数が低い病院では評価減になる可能性もある)。

 後者の重症度係数について厚労省は、「係数設定の目的や趣旨に沿った『他の評価手法』の設定が可能かを検討する」方針を示しており、機能評価係数IIとは異なる「何らかの重症患者受け入れ評価」が検討される可能性があります。山本修一委員(千葉大学医学部附属病院長)は、「1年間、効率化に取り組んだところ、2017年度はしっかり重症度係数が低くなった」と述べ、重症度係数のロジックに問題があることを強調しています。

 このほか、▼保険診療指数について、本来の趣旨(診療の透明化)に沿った再整理▼地域医療係数について、今後の医療計画の見直しの方向に沿った見直し―が行われる模様です。

III群の細分化は行わず、II群病院がIII群を選択できる方向はさらに検討

 機能評価係数IIの見直し項目「後者」にある「重みづけ」について、厚労省保険局医療課の担当者は「III群では重みづけを変えることは難しい」とした上で、「I群・II群、とくにII群では診療密度や複雑性などの要件が設定され、複雑性やカバー率の高い病院で構成されるグループである。このため、これらの重みを高くすることで、そうした機能を持つ病院をより的確に評価できるのではないか」との考えを示しました。多くの診療科を有し、各科でDPC点数の高い疾患の患者(一般に難易度の高い疾患に罹患している患者)を多く受け入れている病院では、大幅に係数評価が上がることになります。

 一方で、複雑性などの重みづけを上げることは、効率性などの重みづけを下げることを意味します。すると、効率性や地域医療に力を入れ、複雑性やカバー率がそれほどでもないII群病院では係数評価が下がることになるでしょう。この場合、経営面を考えて「III群を選択できる」道を用意すべきではないかと井原委員は提案します。一方で、美原盤委員(公益財団法人脳血管研究所附属美原記念病院長)は、「機能に応じて群分けをするのであるから、群を選択するという考え方はおかしいのではないか」と疑問を呈しており、さらなる検討が続けられます。

 なお内示された係数を見て「II群よりもIII群のほうが高いのでIII群を選択する」ことが可能になれば、選択後に改めて係数の計算をし直さなければいけません(例えば基礎係数は群内の資源投入量がベースになるため)。そこで厚労省は、仮に「選択」を可能とする場合でも「改定の前年(例えば10月の定例報告時)に、『II群に該当したとしてもIII群を選択する』といった意思表示が必要になる」との考えも示しています。

 

 ところで2月9日の前回会合では、「III群を機能に応じてグルーピングし、係数の重みづけを行う」ことが議論されました(関連記事はこちら)。しかし、例えば「救急医療に力を入れているグループ」を作ったとした場合、「III群全体の中では救急医療に注力していると評価されていたA病院だが、救急医療に特化したグループの中では相対的に注力の度合いが低い」と判断され、相対評価である係数は逆に低くなるケースがでてきます。誤解を恐れずに言うならば、「A君は100人中10位の成績で優秀と判断されていたが、上位10人だけをピックアップしたグループを作れば、その中では最下位となってしまう」というイメージです。

特定の診療科に特化している専門病院は、全体で評価した場合(赤のレーダーチャート)には特化した部分が高く評価されているが、専門病院だけで群分けすると、相対評価のため特化した部分の評価が逆に低くなってしまう

特定の診療科に特化している専門病院は、全体で評価した場合(赤のレーダーチャート)には特化した部分が高く評価されているが、専門病院だけで群分けすると、相対評価のため特化した部分の評価が逆に低くなってしまう

 

 このため、厚労省は「III群のグルーピングは困難」と考えています。なお、かねてからIII群細分化の検討を求めていた美原委員は、31日の会合では「細分化すれば、DPC制度がますます複雑になってしまう。分類するのであれば基礎係数も分けなければいけない」とコメントしています。

2018年度に調整係数の置き換えは完了、新たな「係数変動を緩和する措置」を検討

 調整係数(暫定調整係数)については、2018年度改定で機能評価係数IIおよび基礎係数に置き換えを完了する方針が確認されました。これに伴い、現行の激変緩和措置も終了となります。

 もっとも、激変緩和が必要な病院について、さらに詳細な分析を行い、「係数の著しい変動を緩和するための何らかの措置」が引き続き検討されます。例えば、「濃密な医療が必要な重症患者」を極めて多く受け入れている病院があるとすれば、DPC制度の下ではなんらかの手当てが必要となるでしょう。2016年度の前回改定では、この点を考慮して「重症度係数」が導入されましたが、その計算方法から「効率化・標準化を進めれば係数が下がってしまう」という課題のあることは前述の通りです。

 ところで31日の会合で、厚労省は「現在の激変緩和措置に、複数回対象となった病院は、診療報酬改定を経るごとに推計診療報酬変動(改定前の請求内容をベースに、改定後の点数設定で推計したものと、改定前の状況との比較)が大きくなっている」との資料を提示しています。言わば「改定の度に、激変緩和措置という下駄をはく(つまり下駄の歯がどんどん高くなっていく)が、診療内容に大きな変化がないために、乖離(下駄の歯)がどんどん大きくなってしまっている」と考えられます。ここからも、現在の激変緩和措置はその役割を終えていると考えられ、さらに「本当に激変緩和措置という救済措置が必要な病院が、激変緩和措置の対象になっているのか」詳しく分析する必要がありそうです。

連続して激変緩和の対象となっている病院では、改定の度に、推計診療報酬変動率が高くなっていく傾向にある

連続して激変緩和の対象となっている病院では、改定の度に、推計診療報酬変動率が高くなっていく傾向にある

  

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