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I群・II群の機能評価係数、重み付け見直しは行わず、等分評価を維持―DPC評価分科会(2)

2017.9.1.(金)

 DPCのI群病院(大学病院本院)とII群病院について、機能評価係数IIのうち複雑性や効率性、カバー率などの重み付けを変え、評価軸を増やしてはどうかという論点があるが、2018年度のDPC改革では重み付けの見直しは行わず、等分評価を維持する—。

9月1日に開催された診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会では、こういった見解がまとまりました(関連記事はこちら)。

I群では効率性、II群ではカバー率を重く評価し、弱み克服を促してはと厚労省提案

 I群・II群の病院には「重症症例(複雑性の高い、つまり包括点数の高い)の積極的な受け入れ」が求められており、こうした機能をより積極的に発揮しているI群・II群病院をより高い係数で評価することなどができないかが検討されています。これまでに、(1)I群・II群のそれぞれが既に果たしている機能をより高める方向での重み付け(秀でている部分を更に高く評価し、より秀でた機能となるように誘導する)(2)I群・II群のそれぞれで若干弱い部分を高める方向での重み付け(弱い部分を高く評価し、そこに力を入れるよう誘導する)―という2つの方法が浮上し、それぞれについて厚労省がDPCデータに基づいた分析を行いました(関連記事はこちらこちらこちら)。

 まず(1)の秀でた機能を更に高める方向については、I群では「カバー率」、II群では「効率性」に重みを付ける(より高く評価する)ことが考えられます。それぞれ他の医療機関群よりも高い指数となっており、「秀でている」ことが明確だからです。しかし、I群は大学病院本院ゆえカバー率(様々な疾患に対応できる総合的な体制を評価する)が高いことは当然とも言え、II群で効率性(在院日数短縮の努力を評価する)が高いことも、II群要件に照らして当然とも思えます(II群要件の1つである診療密度を高めるためには、資源投入量を増やすのではなく、在院日数を短縮する方向に動くべきである)。厚労省はI群のカバー率、II群の効率性について「既に一定以上の機能を果たしている」と評価しており、これを更に評価する考えは持っていないようです。

一方(2)の弱みを克服する方向については、I群では「効率性」、II群では「カバー率」に重みを付けることが考えられます。厚労省は、この2点について重み付けを行ってはどうかと提案しました。

I群の在院日数は、2003年度のDPC導入時から大きく短縮し、バラつきも減っています(標準化が進んでいる)が、II群やDPC全体に比べて長くなっています。この点、「重篤な症例を扱うため、同じ疾病であってもI群では在院日数が必然的に長くなる」との指摘もありますが、厚労省は「さらなる在院日数の短縮に力を入れてほしい」と考えているようです。

効率性指数を医療機関群別に見ると、II群で高いことが分かる(II群の多くはI群・III群の中央値よりも高い)

効率性指数を医療機関群別に見ると、II群で高いことが分かる(II群の多くはI群・III群の中央値よりも高い)

I群病院について、例えば「肺がん・手術あり」症例の在院日数(平均)を見ると、DPC参加時点の2003年では29.55日であったが、2016年度には11.26日と大幅に短縮し、バラつきも少なくなっていることが分かる。ただし、II群(9.98日)、DPC全体(11.12日)と比べて、在院日数は長いことが分かる。

I群病院について、例えば「肺がん・手術あり」症例の在院日数(平均)を見ると、DPC参加時点の2003年では29.55日であったが、2016年度には11.26日と大幅に短縮し、バラつきも少なくなっていることが分かる。ただし、II群(9.98日)、DPC全体(11.12日)と比べて、在院日数は長いことが分かる。

 
またII群のカバー率指数は、「I群よりも低く、III群よりも高い」傾向にありますが、II群の中に「極めてカバー率が低い」病院が、III群の中に「II群の中央値よりもカバー率が高い」病院が存在することから、厚労省は「より総合的な体制の構築に向けて努力してほしい」と考えているようです。
カバー率指数を医療機関群別に見ると、I群>II群>III群の順で高いことが分かる(I群の多くはII群の中央値よりも高い)

カバー率指数を医療機関群別に見ると、I群>II群>III群の順で高いことが分かる(I群の多くはII群の中央値よりも高い)

 

II群のカバー率評価は、機能分化に逆行するなどの指摘

しかし委員からは、厚労省提案に疑問の声が多数でました。まずI群の効率性については猪口貞樹委員(東海大学医学部付属病院高度救命救急センター所長)が、「大学病院では、比較的軽症の症例については市中病院に紹介し、重篤な患者を中心に診ている。効率性係数を重く評価すれば、こうした軽症患者を自院で見て在院日数を見かけ上短縮するところも出るかもしれないが、本来の趣旨と異なるのではないか」と指摘。また川瀬弘一委員(聖マリアンナ医科大学小児外科教授)は、「同じ診断群分類においてI群とII群とで在院日数が1日程度異なる(I群で長い)が、これは重篤な患者の受け入れに起因していると考えられる」と述べ、いわば「さらなる在院日数の短縮に向けた圧力」に疑問を呈しています。ただし美原盤委員(脳血管研究所美原記念病院長)は、「大学病院が重篤な患者を受け入れているために在院日数が長い、という点についてエビデンスが必要」と指摘している点には留意する必要があるでしょう。

山本修一分科会長(千葉大学医学部附属病院長)も、「在院日数は地域性にも影響される」と指摘。都市部では後方病院が多数あるため早期の転院が可能(つまり機能分化により在院日数を短縮できる)ですが、地方で大学病院本院が地域医療全体をカバーしなければいけないところではどうしても在院日数が長くなりがちであり、山本分科会長はこうした点への配慮が必要と強調しています。

 
またII群のカバー率については、藤森研司分科会長代理(東北大学大学院医学系研究科公共健康医学講座医療管理学分野教授)や池田俊也委員(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)らは、「機能分化に逆行するのではないか」と指摘しています。例えば、地域にII群病院が複数ある場合、心臓血管治療はA病院、がん医療はB病院といった機能分化をすることで、1病院当たりの症例数を増やし、また人的・物的資源も集中させることで、医療の質が高まると期待されています。しかし、カバー率の評価を高くし、すべてのII群病院が多くの診療科を用意し、そこに一定の症例数を確保しようと動けば、こうした機能分化(ひいては医療の質向上)に逆行するのではないかと藤森分科会長らは懸念しているのです。

 さらに小林弘祐委員(北里研究所理事長)は、いわば「弱点を克服する」ことを目指す厚労省案について「I群・II群・III群の特徴を失わせるものではないか」と指摘。井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)は「どの程度の重み付けをするのかで委員の意見も変わってくる。現在と大きく変わらないフラットなものとするのであれば意味はなく、大きな見直しを行うのであれば激変緩和が必要になる」との見解を示しました。

このように、I群の効率性、II群のカバー率ともに重み付けを見直すことに多くの委員が難色を示しており、山本分科会長は「2018年度には機能評価係数IIの重み付け見直しを行わない」ことを確認しました。機能評価係数IIは、従前の6項目(保険診療、カバー率、効率性、複雑性、救急医療、地域医療)となり、等分評価が継続されることが固まったと言えます。

 

 

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