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GemMed塾 ミニウェビナー DPC委員会のありかたとは?

我が国の平均在院日数短縮は限界を迎えているのか—中医協・基本小委

2017.7.5.(水)

 2018 年度のDPC制度改革に向けて、▼3つの医療機関群は維持するが、名称の見直しを検討する▼機能評価係数IIについて当初からの6項目は維持し、後発医薬品係数と重症度係数については別の評価方法に見直す▼激変緩和措置について、医療機関別係数の変動要因に応じた新たな対応を検討する—。

 このような見直し方針が、5日に開催された中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会に報告されました。中医協委員からは特段の異論は出ていませんが、いくつかの注文が付いており、今後、DPC評価分科会で議論を詰めていくことが確認されました。

 なお、在院日数について「短縮していない」とする支払側と「短縮は限界」とする診療側で意見の対立がありました。今後、医療内容も勘案した議論が待たれます。

7月5日に開催された、「第185回 中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会」

7月5日に開催された、「第185回 中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会」

DPC医療機関群の名称、見直すべきか、I・II・III群を維持すべきか

 2018年度の診療報酬改定では、DPC制度改革も行われます。中医協の下部組織である診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会では、これまでに次のような見直し方向を固めています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

▼3つの医療機関群を維持するが、名称を見直す

▼機能評価係数IIについて、当初からの6係数(保険診療、効率性、複雑性、カバー率、救急医療、地域医療)を維持し、「後発医薬品係数を機能評価係数Iへ置き換える」「重症度係数を別の手法で対応する」などの見直しを行う

▼機能評価係数IIについて、I群・II群では重み付けを変えることが可能か検討する

▼II群の要件を満たす病院が、III群を選択することなどができないか検討する

▼暫定調整係数の機能評価係数IIへの置き換えの完了に伴い、別途、新たな激変緩和措置(医療機関別係数の変動要因に応じた対応)を検討する

 5日の基本小委では、DPC評価分科会の小山信彌分科会長(東邦大学医学部特任教授)から、こうした見直し方向が報告され、中医協委員からは特段の反論は出ませんでした。今後、DPC評価分科会で詳細な検討を行い、改革案を具体化していくことになります。

 もっとも医療機関群の名称については、中川俊男委員(日本医師会副会長)から「どのように見直しても国民からは分かりにくく、名称見直しが本質ではない。現在のI群・II群・III群のままでよいのではないか」旨の指摘が出された一方で、万代恭嗣委員(日本病院会副会長)は「I・II・IIIという数字は序列を連想させるので避けるべき(機能に応じた名称に見直すべき)」旨の意見も出され、診療側の中でもさまざまな見解があることが分かりました。

また万代委員は、II群の要件「▼診療密度▼医師研修の実施▼高度な医療技術の実施(外保連指数や特定内科診療に着目)▼重症患者に対する診療実施(複雑性指数を補正)―のそれぞれについて、I群(大学病院本院)の最低値よりも高いこと」について「分かりにくい。継続した検討を行ってほしい」とDPC評価分科会や厚生労働省に要望しています。

在院日数の短縮、DPC分科会の小山分科会長も「限界」との見解

5日の基本小委には、厚生労働省から2015年度の「退院患者調査」結果も報告されました。DPC評価分科会には、すでに今年(2017年)2月に報告されている内容です(関連記事はこちら)。

この調査は、DPCへの参加によって包括支払い制度に付随しがちな「粗診粗療」が生じていないかをチェックするために毎年度実施されているもので、▼在院日数▼病床利用率▼救急搬送の状況▼他院からの紹介状況▼退院時の転帰▼再入院率▼再転棟率—などを経年的に比較しています。

その中で支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は在院日数に着目し、「2011年度から15年度までの5年間で各群ともに1日程度しか短縮しておらず、短縮が不十分なのではないか」と指摘しました。

2015年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」から、在院日数の動向を抜粋(上段の表)

2015年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」から、在院日数の動向を抜粋(上段の表)

 
これに対し中川委員は「我が国において在院日数の短縮は限界を超えている。在院日数の無理な短縮は医療をゆがめ、患者や家族に不利益を強いている」と反論。また小山DPC評価分科会長も「I群の大学病院本院では、2003年度のDPC導入時には在院日数が30日程度であったが、導入によって急速に短縮し、現在はプラトーに達しつつあると考えられる。さらに短くするためには医療のシステムそのものを見直さなければならないのではないか。例えば欧米では平均在院日数が5日、6日という水準だが、患者はオペ後に、病院に近接するホテルに滞在し、ドレーンをぶら下げながら通院している状況があるという。我が国では10日程度が限界になるのではないか」と冷静にコメントしました。

 一般病床の平均在院日数については、医療施設動態調査からも「2016年以降、短縮傾向に歯止めがかかっている」状況が伺え(関連記事はこちら)、また中医協や入院医療等の調査・評価分科会にも「7対1・10対1病棟では平均在院日数が横ばいになっている」とのデータが示されています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。我が国の医療制度において、平均在院日数短縮が「限界」を迎えているのか、医療内容も勘案した詳細な分析が待たれます。

  
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