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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

2018年度DPC改革、体制評価指数や保険診療指数の具体的見直し内容固まる―DPC評価分科会

2017.10.25.(水)

機能評価係数IIの地域医療係数(体制評価指数)について、例えばがん医療について「がん地域連携」と「がん拠点病院」を統合し、前者(がん地域連携)では【がん治療連携計画策定料】の算定割合をもとに最大0.5ポイントで評価し、後者(拠点病院)では、II群では「都道府県がん診療連携拠点病院などに指定されれば0.5ポイント、地域がん診療連携拠点病院の指定であれば0.25ポイント」として評価する—。

 10月25日に開催された診療報酬調査専門組織「DPC評価分科会」では、こうした方針が了承されました。2018年度の次期診療報酬改定に向けて、DPC制度改革の内容が分科会レベルで固まりつつあります。

10月25日に開催された、「平成29年度 第6回 診療報酬調査専門組織 DPC評価分科会」

10月25日に開催された、「平成29年度 第6回 診療報酬調査専門組織 DPC評価分科会」

I群は大学病院本院群、II群はDPC特定病院群、III群はDPC標準病院群に

 これまでのDPC評価分科会の議論で、2018年度には、(1)3つの医療機関群を維持するが、名称を見直す(2)機能評価係数IIについて大幅な見直しを行う(3)暫定調整係数の機能評価係数IIへの置き換えが完了することを踏まえて現在の激変緩和措置は終了となるが、新たな「1年限りの激変緩和措置」を設定する—といったDPC制度改革方針が固められています。

今回のDPC評価分科会では、医療機関群の名称について▼I群→大学病院本院群▼II群→DPC特定病院群▼III群→DPC標準病院群―とすることが了承されました。各群の機能や特性を踏まえた名称とされています。

保険診療指数の減算・加算規定を整理、I・II群に特化した減算は廃止

(2)の機能評価係数IIについては、「後発医薬品係数を機能評価係数Iに置き換える」「重症度係数を廃止する」「保険診療係数において未コード化傷病名割合に基づく減算規定を厳格化する」などの見直し方針がすでに固まっています。今回のDPC評価分科会では、これまでに積み残しとなっていた部分について厚労省から見直し内容が提案され、ほぼ原案どおり了承されました。既に決定している部分も含めて、見直し内容を眺めてみましょう。

【保険診療係数】

 これまでに、適切なデータ作成を進めるため、▼部位不明・詳細不明コード使用に係る減算(0.05点)規定について、使用割合の基準値を現在の【20%以上】から【10%以上】に厳格化する▼未コード化傷病名使用に係る減算(0.05点)規定について、使用割合の基準値を現在の【20%以上】から【2%以上】に厳格化する—ことが固まっています(関連記事はこちら)。このうち未コード化傷病名の評価対象を「様式1に記載されているすべての病名」とすることが新たに決まりました。ただし2018年度の係数設定では従前どおり「入院医療分レセプト記載の傷病名」が評価対象とされます。

またI群病院において設けられている「指導医療官の派遣実績に基づく加算」(0.05点)は廃止することがすでに決まっています。ただし「適切な保険診療への貢献自体は評価すべきではないか」との指摘を受け、現在、大学病院(I群病院)が実施している▽保険診療の理解を深めるための研修▽医師と医事職員との診療報酬請求に関する共同研修―などの考え方を検討して、「2019年度の係数」に反映させることを目指して対応することになりました。この点について井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)からは「医師と医事職員との共同研修などは素晴らしい取り組みであり、II群も対象に含め、さらに段階的にIII群へも広めていってはどうか」と要望されましたが、▼2019年度に向けた検討はI群に絞る▼拡大は将来的に検討する—こととなりそうです。

さらに「分院の機能を下回る、あるいは機能の低い(外れ値)I群病院」「精神科病床などのないI群・II群病院」については、現在、減算(0.05点)が行われていますが、▼大学病院本院の機能評価は「保険診療の質向上」を目指す保険診療係数の趣旨と合わない▼精神科診療については地域医療係数で評価する—ことを勘案し、「2018年度改定で廃止する」ことが確認されました。

また各病院が自主的に行う「病院情報公表」の加算(0.05点)については、「項目の整理を行う」こと、「医療機関ごとの実績を一覧で公表する」ことなどが検討されています。今回、前者の項目については厚労省が進める「医療の質の評価・公表等推進事業」における『共通指標セット』(患者満足度、職員満足度、医療安全、がん、急性心筋梗塞、脳卒中、抗菌薬、チーム医療など23項目)を参考に、さらに練っていくことが確認されました。新項目を設定し、各病院が「自院に適した情報」を選択し、公表していく形になります。なお現在の7項目▽年齢階級別退院患者数▽初発5大がんの病期分類と再発患者数―などは維持される見込みです。

後者の「医療機関ごとの実績を一覧で公表する」件については、住民・患者目線に立てば極めて重要かつ有用です(医療機関選択の重要資料となる)が、公表方法や具体的評価手法をさらに詰める必要があり、「2018年度以降、引き続き検討する」ことで落ち着きました。

なお、こうした改革を踏まえて「保険診療係数」という名称の見直しも検討されます。厚労省からは「医療の質向上係数」という案が提示されましたが、委員からは「保険診療向上係数としてはどうか」「現行のままでよいのではないか」との意見が出され、結論は持ち越しとなっています。

体制評価指数の内容固まる、「満点評価」の基準が宿題に

【地域医療指数】

 地域医療係数のうち、5疾病5事業など地域医療への取り組み状況を評価する体制評価指数については、「2項目で評価されている『がん』『脳卒中』などを統合する」「新医療計画を睨んだ評価軸の見直しを行う」方向がすでに固まっています(関連記事はこちら)。この方向に沿って、厚労省は具体的な見直し案を提示し、了承されました。体制評価指数の項目は現在の12項目から8項目に縮減され、満点評価(現在はI・II群では10ポイント、III群では8ポイントで満点)をどのように設定するのかが宿題として残っています。

新たな体制評価指数の姿(その1)※がん診療連携拠点病院等の評価におけるI・II群のポイント数はメディ・ウォッチ編集部で図表を修正済

新たな体制評価指数の姿(その1)※がん診療連携拠点病院等の評価におけるI・II群のポイント数はメディ・ウォッチ編集部で図表を修正済

新たな体制評価指数の姿(その2)

新たな体制評価指数の姿(その2)

 
 例えば「がん医療」について見てみると、現行から次のように見直されます。

▼現行
▽がん地域連携:I・II群では【がん治療計画連携計画策定料】の算定実績に応じて0ポイントから1ポイントの間で傾斜的に評価、III群では【がん治療計画連携計画策定料】などの取得で1ポイントとして評価

▽がん拠点病院:I・II群では都道府県拠点病院・小児がん拠点病院の指定で1ポイント、地域がん診療連携拠点病院の指定で0.5ポイント、III群ではいずれかの指定で1ポイント


▼見直し後
▽がん地域連携:医療機関群に関わらず【がん治療計画連携計画策定料】の算定実績に応じて0ポイントから0.5ポイントの間で傾斜的に評価

▽がん拠点病院:I・II群では都道府県拠点病院・小児がん拠点病院の指定で0.5ポイント、地域がん診療連携拠点病院の指定で0.25ポイント、III群ではいずれかの指定で0.5ポイント

 
また「脳卒中」については、現行の▽脳卒中地域連携(連携実績に応じて0-1ポイントの間で傾斜的に評価)▽24時間t-PA体制(【超急性期脳卒中加算】算定で1ポイントとして評価)―となっていますが、両者を統合し、さらにより高度な「血管内治療実績」も加味した段階的評価(t-PAの実施にとどまれば0.25ポイント、【超急性期脳卒中加算】算定または血管内治療実績があれば0.5ポイント、両者を兼ね備えていれば1ポイント)が行われます。

救急医療係数、【救急医療管理加算2】の算定患者では指標値を減算

【救急医療係数】

現在、【救急医療管理加算】などの算定患者について、入院から2日間までの「出来高実績」と「DPC点数」との差額をベースに評価されており、この考え方そのものは維持されることになりました(関連記事はこちら)。

ただし、【救急医療管理加算】は、症状が明示された加算1(900点)と「加算1に準じた状態」とやや曖昧に定義された加算2(300点)とに細分化されており、2018年度からは「加算2該当患者は指標値を減算する」ことになります。さらい、「暦月ごとの【救急医療管理加算】の施設基準の有無」を考慮して計算されることになり、現状の「10月1日時点で加算取得していなかったために不利になる」点が解消される見込みです。

収入変動に着目した、改定年1年限りの【激変緩和係数】を新設

(3)の「1年限りの新たな激変緩和措置」については、これまでの「医療機関別の調整」(対象病院名は非公表)から、【激変緩和係数】とされることになりました。対象病院名も公表される(医療機関別係数の1係数として告示される)見込みです(関連記事はこちらこちら)。

【激変緩和係数】の対象は、診療報酬改定の前後で推計診療報酬収入が2%を超えて増減する病院で、該当病院の医療機関別係数は「▼基礎係数▼機能評価係数I▼機能評価係数II▼激変緩和係数—の和」として計算されることになります。

なお、新規にDPCに参加する病院については、「改定後の推計診療報酬収入」と「改定前の『該当する医療機関群の医療機関別係数』を用いて推計した診療報酬収入」とを比較し、変動が「2%を超えて【減少】する」場合のみ、激変緩和係数の対象となります(収入変動がマイナス2%となるように係数設定される)。改定前の「出来高収入」と比較したのでは、かつての「調整係数」と同様の弊害が出てしまうためです。

 
このほか、▼退院患者調査について現行の課題解消に向けた見直し(簡素化、Kコードの見直し、転棟患者の動向反映など)を行う▼退院患者調査結果について、新たに「薬剤耐性菌対策」「後発品使用実態」などの公開を検討する▼ICD-10(2013年版)コードの付与に係る追加データを提出していない病院について、厚労省で機械的な対応が困難な部分は「診療実績なし」として扱う—方針が固められました。

医療機関ごとのカルバペネム系抗菌剤の使用状況、患者構成の違いも考慮しなければならないが、一定のバラつきがあることが分かる

医療機関ごとのカルバペネム系抗菌剤の使用状況、患者構成の違いも考慮しなければならないが、一定のバラつきがあることが分かる

 
ICD-10(2013年版)に関する追加データを提出していない病院では、診療内容にもよりますが「カバー率係数」などへ影響が出る(診療実績なしと判断されるため、低く設定されることも)可能性もあります。

 
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