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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

保険診療上の【オンライン診療料】、実施指針よりも厳格に運用―疑義解釈1【2018年度診療報酬改定】(3)

2018.4.2.(月)

お伝えしているように、厚生労働省は3月30日に2018年度診療報酬改定の疑義解釈(その1)を公表しました(厚労省のサイトはこちら)。

 今回は、新設された【オンライン診療料】等に関するQ&Aに焦点を合わせてみます。

 【急性期一般入院基本料】【入退院支援加算】のQ&Aに関する記事はこちら。【医療安全対策加算】【感染防止対策加算】のQ&Aに関する記事はこちら

連続して6か月以上、対面診療で特定疾患管理料などを算定することが最低限必要

 オンライン診療料等は、「通院の時間を確保できない生活習慣病等患者について、治療からのドロップアウトを防止する」「比較的状態の安定した在宅療養患者について、医師の訪問負担を軽減する」ことなどの重要性を踏まえ、「直接の対面診療の補完」として、2018年度改定で導入されました(関連記事はこちら)。

オンライン診療料の概要

オンライン診療料の概要

オンライン医学管理料の概要

オンライン医学管理料の概要

オンライン在宅管理料の概要

オンライン在宅管理料の概要

 
 「直接の対面診療の補完」という位置づけゆえ、初診からオンライン診療料等を算定することはできません。対象管理料等(特定疾患療養管理料、小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、糖尿病透析予防指導管理料、地域包括診療料、認知症地域包括診療料、生活習慣病管理料、在宅時医学総合管理料、精神科在宅患者支援管理料)を継続して一定期間、毎月算定していることが原則要件となります。具体的には、次の(1)(2)いずれかを満たしている必要があります。
(1)対象管理料を初めて算定した月から6か月以上、オンライン診察を行う医師と同一の医師が、毎月対面診療を行っている
(2)対象管理料等の初回算定から6か月以上経過している場合は、直近12か月以内に6回以上、同一医師と対面診療を行っていればよい

この(1)について、今般の疑義解釈では「6か月間の中で、管理料等が混在してもよい」ことを明らかにしました。例えば、1-3月は糖尿病透析予防指導管理料を算定していた患者が、4-6月は地域包括診療料の算定に変わったとしても、同一の医師が6か月以上、毎月対面診療を行っていれば、上記のオンライン診療料の要件を満たすことになります。

また、6か月間の対面診療において、毎月「上記の対象管理料等を算定していなければならない」ことも確認されました。例えば、6か月間、毎月対面診療を行ってはいるものの、1-5月は「通常の再診料」、6月から「地域包括診療料」であった場合には、要件は満たしません。地域包括診療料の算定を開始してから6か月間の経過(毎月の算定)が必要となります。

なお、「連続する6か月間、毎月、対象管理料等を算定する」ことが原則で、「1-3月に算定、5-7月に算定」というケースでは「連続した6か月間の対面診療」となっていないため、オンライン診療料の要件は満たしません。もっとも、(2)の要件に該当しれていれば、「連続の対面診療」でなくともオンライン診療料は算定可能となります。

また、患者が複数の医療機関にかかっており、それぞれの医療機関でオンライン診察料の要件を満たしていれば、それぞれでオンライン診療料の算定が可能であることも明確にされました(従前の在宅患者訪問診療料のような「1医療機関でのみ算定可能」との縛りはない)。

診療計画にない疾患のオンライン診察は不可、まず対面診療を

オンライン診療料は、上記のように「継続的に対面診療を行っている患者について、効率的かつ質の高い医療を提供する」ために創設されたものです。それゆえ「計画的に実施される」必要があり、患者の同意を得た上で、「対面診療とオンライン診察を組み合わせた診療計画(対面診療の間隔は3か月以内)を作成し、これに沿って行われることが必要となります。

この点について今般の疑義解釈では、▼診療計画に含まれていない疾患については対面診療が必要▼複数の継続的な医学管理が必要な慢性疾患を計画に含めてもよい—という点が明確にされました。したがって、A疾患について継続的な診療を行った(上記管理料等を算定することが必要)上で、オンラインを組み合わせた診療計画を策定し、対面診療とオンライン診療を行っていたとします。その改定で、B疾患が判明した際には、対面診療を行って、診療計画に「B疾患を追加する」ことが必要であることが分かります。継続的に対面診療を行うことが前提となるため、その際に、診療計画の見直し等を行えばよく、ハードルは低いと考えられます。

オンライン診療、処方料等の算定も可能だが、処方料等の「加算」算定は不可

 オンライン診療の中で、薬剤の処方が必要なケースも出てくるでしょう。このため処方料・処方箋料が別途算定可能であることが明確にされています。その際、「薬剤料」の算定も可能ですが、処方料等に係る加算(例えば一般名処方加算など)は算定できません。

保険診療のオンライン診療、医師は医療機関で診察を行わなければならない

 オンライン診療の実態を考えると、例えば「医師と患者がスマートフォンを用いて、音声とテレビ画像を用いて、問診や指導を行う」ことなどが想定されます。

 この点、オンライン診療全般を行う際の指針(オンライン診療の適切な実施に関する指針)では、医師は「必ずしも医療機関でオンライン診療を行う必要はない」(ただし緊急時には対面受診のために医療機関に駆け付けられることなどが必要)旨が示されていますが、保険診療(診療報酬)上は、「オンライン診察は、当該保険医療機関内において行う」ことが求められます。したがって、例えば、医師が学会等で出張せざるを得ず、その際「宿泊しているホテルの一室」等でスマートフォンを利用して、患者にオンライン診療を提供することは可能ですが、診療報酬上の【オンライン診療料】は算定できない、ことになります(自由診療となる)(関連記事はこちら)。

 今般の疑義解釈では、この点を再確認し、例えば「情報通信機器を医療機関に設置した上 で、医師の自宅などへ画像情報等を転送する」方式では、【オンライン診療料】は算定できないことを明確にしました。

 また、オンライン診療を行う医療機関には「オンライン診療料の算定を行う患者について、緊急時に概ね30分以内に当該医療機関が対面による診察が可能な体制を有している」ことが求められます(施設基準)。「概ね30分」という時間はおおよその目安であり、この趣旨は「例えば、東京の医師が、北海道や九州など、遠方に居住する患者にオンライン診療を行うことは好ましくない(有り得ない)」という点を明確にするものと説明されています。

 この点について疑義解釈では、▼当該医療機関において、オンライン診察を行う医師と同一の医師による対面診察が可能である体制が必要である▼夜間や休日なども含めた緊急時に連絡を受け、概ね30分以内に、当該医療機関で対面診療が可能な体制が必要で、「救急病院などを文書等で案内する」ことでは足らない―ことを示しました。オンライン診療全般を行う際の指針(オンライン診療の適切な実施に関する指針)では、「必ずしも同一の医師でなくともよい」旨が厚労省から説明されており、「保険診療におけるオンライン診療の方が厳格な規定が置かれている」ことが、ここからも伺えます(関連記事はこちら)。

 また、医師が常駐していない離島やへき地では、この「緊急時に概ね30分以内に当該医療機関による対面診察が可能な体制」を敷くことは難しそうです。この点、厚労省は「離島・へき地においても、オンライン診療料を算定する場合には、原則として当該施設基準を満たす必要がある」ことを明確にした上で、「ただし、離島・へき地において緊急時も当該医療機関が対応することとなっている場合は、30分を超えても、施設基準を満たす」との考えも併せて示しました。上述のように、この施設基準の趣旨は「あまりに遠方の患者にオンライン診療を行うことは好ましくない(有り得ない)」という点にあるためです。

オンライン診療を行う場合の、情報通信機器等の運用費用は患者に請求可能

 またオンライン診療全般を行う際の指針(オンライン診療の適切な実施に関する指針)では、通信環境等について守るべき事項を示しており、例えば、【オンライン診療システムと、電子カルテ等の医療情報システムとを接続しない場合】には、比較的簡便なシステムでオンライン診療が行えるが、その際にもセキュリティを確保する(患者情報の漏えい防止など)ために、適切な対策を講じているオンライン診療システムを活用するよう推奨しています(一般に無料で使用可能となっているビデオ電話サービスなどは、患者の同意があれば可能)(関連記事はこちら)。

 この場合、民間事業者などに「オンライン診療システム」の使用料を医療機関が支払うケースが多いと思われ、厚労省は「情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる」(選定療養)ことを明確にしています。今般の疑義解釈では、「社会通念上、適切な額」の徴収とするほか、「サービスの内容や料金等について明確かつ懇切に説明する」ことなどが求められます。

 
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