遠隔診療の取扱い明確化し、2018年度改定でICT活用した生活習慣病管理など評価せよ―規制改革会議
2017.5.24.(水)
メディ・ウォッチでお伝えしているとおり、規制改革会議が23日に第1次答申「規制改革推進に関する第1次答申―明日への扉を開く—」を取りまとめました(内閣府のサイトはこちら)(関連記事はこちら)。そこでは、「IT時代の遠隔診療」についても言及しています。
規制改革会議は、「遠隔診療に関する取扱いの明確化」と「診療報酬上の評価」の2点について具体的な要請を安倍晋三内閣総理大臣に行いました。
遠隔診療、「離島・へき地以外でも」「初診でも」可能な点など通知で明確化
診療の大原則は医師と患者が相対する「対面診療」です。しかしICT技術の飛躍的な向上が進む中、規制改革会議は「疾病に対して一応の診断を下し得る程度のものであれば、患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に勘案した上で、『対面診療と適切に組み合わせて行われるときは医師の判断で遠隔診療を行える』という取扱いを明確化する」よう安倍晋三内閣総理大臣に要請。
厚生労働省はこれを受けて、2015年8月10日に「遠隔診療を行える場合として掲げた離島、へき地の患者は、あくまで『例示』である」ことなどを明確化しました(関連記事はこちら)。
しかし規制改革会議は、「いまだ適切な法解釈がなされていない」とし、次のように遠隔診療の取扱いを明確化する改正通知を本年度(2017年度)中に発出するよう改めて要請しました。
▼「離島・へき地」以外でも可能である
▼初診時も可能である
▼医師の判断で実施可能な具体的な症例として、▽すべて遠隔で行う禁煙外来▽1回の診療で完結する疾病―が想定される
▼医師の判断で活用可能なツールとして、▽SNS▽画像と電子メールなどの組合せ—が想定される
2018年度診療報酬改定で、対面とオンラインを組み合わせた生活習慣病管理など評価
また現在、遠隔診療に関する診療報酬として、▼一定の施設基準を満たした医療機関で、遠隔画像診断を行った場合にE001【写真診断】、E004【基本的エックス線診断料】、E102【核医学診断】、E203【コンピューター断層診断】を算定できる▼一定の施設基準を満たした医療機関では、テレパソロジー(遠隔病理診断)を行った場合にN003【術中迅速病理組織標本作成】、N003-2【術中迅速細胞診】の診療報酬を算定できる▼在宅で体内植込式心臓ペースメーカーなどを使用している患者について、遠隔モニタリングを用いて療養上の必要な指導を行った場合には【遠隔モニタリング加算】を算定できる—といった評価項目があります。
しかし、規制改革会議は「不十分であり、より効果的・効率的な医療提供を可能にする必要がある」とし、例えば「糖尿病などの生活習慣病患者の効果的な指導・管理、血圧、血糖などの遠隔モニタリング活用など、対面とオンラインを組み合わせることで継続的な経過観察が可能になり重症化を防ぐ」といった点などについて、2018年度の次期診療報酬改定に向けて評価の在り方を検討するよう求めています。
中央社会保険医療協議会では、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)らが「ICT・AI技術の活用」を強く求めており(関連記事はこちらとこちら)、また、塩崎恭久厚生労働大臣が未来投資会議において「ICTを活用した遠隔診療に関する診療報酬上の評価」に言及(関連記事はこちら)。さらに自由民主党も同旨の提言を行っています(関連記事はこちら)。今般の規制改革会議の答申が、さらにこれを後押しすると考えられ、2018年度改定に関する議論にさらに注目が集まります。
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