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看護必要度II、一覧に記載された薬剤の「類似薬」も評価対象に―疑義解釈5【2018年度診療報酬改定】

2018.7.13.(金)

 2018年度の診療報酬改定で新たに設けられた、DPCデータのEF統合ファイルを用いる「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度II」について、厚生労働省が公開している「レセプト電算処理システム用コード一覧」に記載されている薬剤の「類似薬」を用いた場合、記載薬剤に準じて評価してよい―。

 厚生労働省は7月10日に「疑義解釈資料の送付について(その5)」を公表し、こういった点を明確にしました(厚労省のサイトはこちら)(関連記事はこちら(疑義解釈4)こちら(疑義解釈3)こちら(疑義解釈2)こちら(疑義解釈1の3)こちら(疑義解釈1の2)こちら(疑義解釈1の1))。

看護必要度IIにおけるA項目の対象薬剤、一覧の「類似薬」も評価対象

 お伝えしているように、2018年度の診療報酬改定は、入院基本料等の再編・統合という歴史的大改定となりました。従前の7対1・10対1一般病棟入院基本料を、7種類の急性期一般病棟入院基本料(急性期一般病棟入院料1-7)に再編・統合し、従前の7対1(急性期一般1)から10対1(急性期一般2や3)へ移行しやすい環境を整備するなどしています(関連記事はこちら)。
改定説明会1の1 180305
 
 あわせて急性期病棟において「重症の患者をどれだけ受け入れているか」を評価する指標と言える「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)についても、次のような大きな見直しが行われました(関連記事はこちらこちら)。

(1)看護必要度の定義を一部見直し、▼「A項目1点以上かつB項目3点以上」(現在は重症患者に非該当)のうち、「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」のいずれかに該当すれば、「重症患者に該当」と扱う▼C項目の開腹手術(現在は5日間)について、所定日数4日に短縮する―
(2)従前からの看護必要度評価票に基づく重症患者割合の計算方法を「看護必要度I」、新たにDPCのEF統合ファイルに基づく計算方法を「看護必要度II」とし、それぞれで重症患者割合の基準値を設定する(例えば、【急性期一般1】では看護必要度Iで30%以上、看護必要度IIで25%以上)
(3)看護必要度I・看護必要度IIのいずれを用いた場合でも、重症患者割合は「3か月の平均」とし、これまでに「1割以内・3か月以内変動の救済ルール」は廃止する
改定説明会1の2 180305
改定説明会1の3 180305
 
このうち(2)の「看護必要度II」について、今般の疑義解釈では次のような点が明確にされました。

▼看護必要度ⅡでA項目の評価を行う場合、「レセプト電算処理システム用コード一覧」に記載のない「記載された薬剤の類似薬」を用いた場合でも、「記載された薬剤」に準じて評価して差し支えない。ここで言う「類似薬」とは、例えば「類似薬効比較方式で薬価算定された医薬品の場合、算定根拠となった類似薬」を指す

▼看護必要度IIを用いるには、「届け出前3か月において『看護必要度IIの重症患者割合-看護必要度Iの重症患者割合』<0.04」との基準を満たす必要があるが、これは届け出時のみの確認でよく、継続して看護必要度IIを用いる場合には、「看護必要度Iによる評価」は必要ない

前者においては、各医療機関で使用する薬剤の「類似薬」が、一覧に含まれていないか適切に確認する必要があります。薬剤部門との緊密な連携が不可欠でしょう。後発品の出現によって、従前から(看護必要度IIに限らず)、A項目に該当する薬剤を病棟で使用しているにもかかわらず、例えば担当看護師が「当該銘柄がA項目の評価対象となっていることを把握しておらず、評価していなかった(チェック漏れ)」という事例が少なくないことがグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの調べで明らかになっています。薬剤部門と連携し、各医療現場で使用している薬剤について再チェックすること、新たな薬剤を採用する場合にも必ず確認を行うことが重要です。

 
 なお、従前の7対1一般病棟に相当する【急性期一般入院料1】では、在宅復帰率について、実態に合わせて名称を「在宅復帰・病床機能連携率」に見直されています。この点について、「同一の敷地内にある介護老人保健施設」も自宅等退院に含めてよいことを確認しています。

現行7対1の施設基準である「在宅復帰率」について、急性期一般入院料1への見直しに伴い「在宅復帰・病床機能連携率」に再生!地域包括ケア病棟・回復期リハビリ病棟の「在宅復帰率」とは峻別!

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電話再診、システム管理料の実費徴収は「経過措置患者」を除いて不可

 2018年度改定では、「オンラインによる診療の評価」を新設するとともに、「電話再診」について「定期的な医学管理を前提として行われる場合は算定できない」ことが明確にされました。そもそも「電話再診」は患者や家族からの緊急の問い合わせに応じることを評価する診療報酬項目であることを明確にするものです。

 もっとも、激変を避けるために、2018年3月31日以前から「3か月以上継続して定期的に、電話、テレビ画像等による再診料(電話再診)を算定していた患者」については、当該医学管理に係る一連の診療が終了するまでは電話再診を算定できるとの経過措置が設けられています。ただし、この場合▼時間外加算▼休日加算▼深夜加算▼夜間・早朝等加算—は算定できません。

今般の疑義解釈では、電話再診について次のような取扱いを明確にしています。

▼「リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(ビデオ通話)が可能な情報通信機器を用いて行う」場合でも、緊急性のある診療については電話再診に含めてよい(新設されたオンライン診療料等は、計画的な診療であり、電話再診とは異なる)

▼電話再診において、「電話やテレビ画像等の送受信に係る費用(通話料等)」は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として、社会通念上妥当適切な額の実費を患者から別途徴収できる

▼電話再診において、「計画的な医学管理のための予約や受診等に係る総合的なシステムの利用に要する費用(システム利用料)」を患者から徴収することはできない(電話再診は「計画的な診療」ではない。オンライン診療料等ではシステム利用料を患者から徴収することができる)

▼ただし、上記の経過措置の電話再診患者(2018年年3月31日以前に、3か月以上継続して定期的に、電話再診料を算定した患者)については、「当該医学管理に係る一連の診療が終了するまで」に限り、システム利用料として、社会通念上妥当な額の実費を患者から別途徴収できる(オンライン診療料等と同様)

オンライン診療後に、同一月に対面診療を行った場合、オンライン診療料の算定は不可

 電話再診が緊急的な予定外の診療であるのに対し、2018年度改定で新設されたオンライン診療料は、「診療計画に基づき対面診療と組み合わせて、計画的に行う診療」です。今般の疑義解釈では、次のような点が明確にされました(関連記事はこちら)。

▼「同一月に対面診療とオンライン診察を行った」場合は、両者の前後関係にかかわらず、オンライン診療料は算定できない(オンライン診療の後に、患者の状態が悪化するなどして対面診療を行った場合には、遡ってオンライン診療料は算定できなくなる)。ただし、オンライン診療で投薬を行った場合には、オンライン診療料が算定できずとも処方料、処方箋料、薬剤料を算定できる(処方料等に係る加算・減算は適用されない)

▼オンライン診察時で被保険者証の確認が必要な場合は、「画面上への呈示と確認」でよい

▼難病患者へのオンライン診療において、管理票(特定医療費自己負担上限額管理票)への医療費記載・押印は、次回の「対面診療」時に行えばよい

 なお、初・再診について2018年度改定では、▼かかりつけ医機能を持つ医療機関において、初診時の患者情報把握に関する負担を考慮し、「機能強化加算」(80点)を新設する▼妊婦に対して診療・薬剤処方等を行う場合の「特別の配慮」に関する負担を考慮し、初・再診料等に「妊婦加算」(初診時75点、再診時38点など)を新設する―といった見直しも行われました。

 これらについて今般の疑義解釈では、次のような点を改めて明確にしました。

▼妊婦加算は、妊婦の外来診療について妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価するものであり、診療時に「異所性妊娠」「稽留流産」「不全流産」「胞状奇胎の患者」であることが分かっている場合には、算定できない

▼機能強化加算は、「地域包括診療加算、地域包括診療料、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料の算定を行っている患者」に限定されない(いわば外来版の体制加算である)

▼地域包括診療加算・地域包括診療料の施設基準の1つに「慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師」の配置があるが、座学研修は「DVDを用いたもの」(出退管理を行うこと)でもよく、2回目の研修においては一定のe-ラーニングを可能とする

入退院支援加算1、届け出時点では「連携機関との年3回以上面会」を満たさずともよい

 このほか、今般の疑義解釈では次のような点も明らかにされました。

▼【入退院支援加算1】を届け出るためには、「20以上の連携医療機関等と年3回以上の面会等」を行うことが必要であるが、新たに届け出る場合には、過去1年間の面会実績を届け出なければならない。ただし届け出時点では「20以上の連携機関と年3回以上の面会」を行っていなくともよい(届出後は年3回以上の面会が必要)

▼【抗菌薬適正使用支援加算】(院内のチームで、感染症治療の早期モニタリングとフィードバック、微生物検査・臨床検査の利用の適正化、抗菌薬適正使用に係る評価などを行うことを評価する)で求められる抗菌薬適正使用支援チームには、「3年以上の病院勤務経験を持つ微生物検査にかかわる専任の臨床検査技師」配置が必要だが、院内に細菌検査室がなく、微生物検査を外注している病院では、微生物検査の外注管理を行っている院内の臨床検査技師が、該当すると考えてよい

▼【在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料】は、「半固形栄養剤」等を在宅での療養を行っている患者自らが安全に使用するために行う指導を評価するものであり、「胃瘻により体内に投与後、胃液等により液体状から半固形状に変化する栄養剤等」や「市販時に液体状の栄養剤等を半固形化させるものを加え、半固形状に調整した栄養剤等」は、算定の対象とならない

▼【小児鎮静下MRI撮影加算】について、上肢と下肢(四肢軟部)をそれぞれ撮影した場合は、1回で複数の領域を一連で撮影したものとして算定できる。ただし、上肢・下肢ともに、「両側で1部位」とする
 
 
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