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200床以上病院の地域包括ケア病棟、「自院の一般病棟からの転棟」に上限設定―中医協総会(1)

2019.12.6.(金)

大病院の保有する地域包括ケア病棟について「自院の一般病棟(急性期病棟)から受け入れ患者」について一定の制限を設けてはどうか。また特に病床規模の大きな病院が地域包括ケア病棟を設置する場合には、「地域医療構想調整会議に意見を求める」こととしてはどうか―。

またDPC病棟(一般病棟)から地域包括ケア病棟へ転棟した患者について、「平均在院日数である期間IIまではDPC点数を継続して算定する」こととしてはどうか―。

12月6日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こういった議論が行われました(地ケア病棟に関するこれまでの中医協論議の記事はこちら)。

12月6日に開催された、「第439回 中央社会保険医療協議会 総会」

200床以上病院の地ケア病棟、「自院のpost acute患者受け入れ」に偏りすぎ

2020年度の次期診療報酬改定に向けて、中医協の個別テーマに関する議論は最終段階に差し掛かっています。12月6日に開催された中医協総会では、入院医療その4として▼地域包括ケア病棟▼回復期リハビリテーション病棟▼療養病棟▼短期滞在手術等基本料▼入院時食事療養費―を議題としました。本稿では「地域包括ケア病棟」に焦点を合わせます。

Gem Medで繰り返しお伝えしていますが、地域包括ケア病棟入院料(病室単位の入院医療管理料を含む)は、(1)急性期後患者の受け入れ(いわゆるpost acute)機能(2)在宅等で療養する患者が急変した場合等の受け入れ(いわゆるsub acute)機能(3)在宅復帰支援機能―の3つの機能を併せ持つ病棟・病室を評価する特定入院料として2014年度診療報酬改定で創設されました。



しかし、大規模病院の地域包括ケア病棟については「(1)のpost acute機能に偏りすぎている」との批判があります。厚生労働省の特別調査でも▼63.8%の病院では地域包括ケア病棟を「自院の急性期病棟からの転棟先」として活用している▼地域包括ケア病棟入棟患者の100%が「自院の急性期病棟からの転棟患者」という病棟が相当程度ある―ことなどが明らかとなり、「(1)のpost acute機能に偏りすぎている」病棟は依然として少なくありません。

自院の急性期病棟からの転棟患者が100%という地域包括ケア病棟もある(中医協総会(1)1 191128)



この点について「大病院においても(2)のsub acute患者受け入れを求める」(2018年度改定では(2)のsub acute患者受け入れ実績の高い200床未満病院の地域包括ケア病棟を高く評価する見直しを実施)手法も考えられますが、厚労省保険局医療課の森光敬子課長は、逆方向からアプローチし「200床以上の病院に設置した地域包括ケア病棟では、『自院の一般病棟からの転棟』割合に制限(上限)を設けてはどうか」との考えを示しました。上限を超過した場合、通常であれば超過分の転棟患者は「特別入院基本料」を算定することになり、経営的に大きなダメージとなります。

支払側委員がこの提案を「是」とした一方で、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は「方向は理解できるが、まず『400床以上病院の地域包括ケア病棟』から導入すべき」と注文をつけました。松本委員は「いきなり200床以上病院化導入すれば大きな混乱が生じる」「400床以上病院への導入は、200-399床病院へもメッセージとなり、3機能をバランスよく実施する方向へ行動が変容すると期待できる」と発言の趣旨を説明しています。

また制限(上限)の設定如何では、大病院の経営動向等に大きな影響が出るため、▼対象病院を200床以上とするのか、400床以上とするのか▼制限(上限)を何割に設定するのか―が重要論点となります。なお厚労省の調査では、自院の一般病棟からの転棟割合は、平均で▼200床未満病院:約3割(30.7%)▼200-399床病院:約6割(57.0%)▼400床以上病院:約7割(64.7%)―となっており、分布等も見て数字を探っていくことになるでしょう。

病院病床数別の、地域包括ケア病棟における入棟患者の状況(中医協総会(1)1 191206)

病院病床数別の、地域包括ケア病棟における入棟患者の状況(詳細)(中医協総会(1)1 191206)

400床以上の大病院、地ケア病棟設置にあたり地域医療構想調整会議の意見聴取を

ところで、許可病床数400床以上の大病院では、地域包括ケア病棟は1病棟のみ設置可能(従前より保有している場合はこの限りではない)という制限がかけられています。例えば「急性期一般1(旧7対1)の重症患者割合(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合、看護必要度Iでは30%以上)を満たすために、一部の病棟を地域包括ケア病棟に転換し、看護必要度を満たさなくなった患者をそちらに転棟させる」という動きがありますが、これが「過度に行われないように」という趣旨で設けられた制限と言えます。

森光医療課長は、この制限を維持したうえで、さらに「特に大規模な病院(許可病床数400床以上を想定)が地域包括ケア病棟を設置する場合には『地域包括医療構想調整会議に意見を求める』ことを要件とする」考えも示しました。地域医療構想調整会議は「地域の医療関係者や保険者代表などが集い、地域医療機関の機能分化や統合再編などを議論する」組織であり、「急性期病棟から地域包括ケア病棟への転棟」も機能分化の1つと考えられることから、そこでの「議論に供する」こととするものです。

この点、調整会議の成熟度は地域によってさまざまであることも踏まえ、「調整会議の合意や了承」ではなく「意見を求める」(その内容を届け出の際に合わせて提出する)にとどめている点に留意が必要です(調整会議で「転換を了解する」などの決定は不要で、議論に供することが必要となる)。診療側の松本委員は「調整会議の状況は地域で区々であるため、要件化は時期尚早」と、支払側の吉本俊和委員(全国健康保険協会理事)・幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「実効性があるのか疑問である」と指摘していますが、両側ともに提案内容を誤解している可能性(例えば「調整会議の合意・了解がなければ地域包括ケア病棟の設置ができない」などと誤解している可能性)があり、今後の調整が待たれます。

なお、診療側の松本委員は「許可病床数400床以上の大病院では、いっそ地域包括ケア病棟の設置を認めないこととしてはどうか」とも付言しており、真意がどこにあるのか、今後の動きに注目が集まります。

DPC病棟から地ケア病棟への転棟、「DPC点数」の算定継続を

また「(1)のpost acuteに偏りすぎる大病院」を助長しているのではないか、と指摘される仕組みとして「一般病棟(DPC病棟)から地域包括ケア病棟への転棟」ルールがあります。

「DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟」と「DPC点数と地域包括ケア病棟入院料点数」との関係を見ると、「DPC点数<地域包括ケア病棟入院医療管理料」となった時点で、「DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟が集中」していることが分かりました(しかもこういったケースが多い)。逆に「DPC点数>地域包括ケア病棟入院医療管理料」となっている診断群分類では、こうした集中は生じず「平均在院日数の時点での転棟」が多くなります。

DPCの点数<地域包括ケア病棟入院料となったタイミングでの転棟が極めて多い(中医協総会(1)2 191128)



「患者が回復し転棟できるようになったタイミング」と「点数の高低が入れ替わるタイミング」とがここまで一致するとは考えにくく、「DPCよりも地域包括ケア病棟の点数が高くなったタイミングで、患者の状態と関係なく転棟させている」可能性があります。これが「自院の急性期病棟(DPC病棟)に入院していた患者を、地域包括ケア病棟で受け入れる」ことを促進していると指摘されるのです(入院医療分科会における議論の記事はこちらこちら)。

この問題は従前の【亜急性期入院医療管理料】(病室単位)でも生じており、2014年度の診療報酬改定では「DPC病棟内の地域包括ケア病室に転室した場合には、DPC点数の算定を継続すること」というルールが設けられました。

森光医療課長は、このテーマについて地域包括ケア病棟においても、DPCの期間II(診断群分類ごとの平均在院日数)まで「DPC点数を継続算定する」仕組みを導入してはどうかと提案しています。この方向に異論は出ておらず、かねてからの懸案であった「点数の高低のみに着目した転棟」問題は2020年度改定で決着する見込みです。

なお、期間III(平均在院日数超過後)について、病棟単位の場合には【地域包括ケア病棟入院料】を、病室単位の場合には【DPC点数】を算定することになる模様です。平均在院日数を超過する入院では、入棟する病棟の本来の点数を算定する形で、次のようなイメージで整理できそうです。

▽DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟
→期間IIまではDPC点数、期間IIIは地域包括ケア病棟入院料を算定

▽DPC病棟内の地域包括ケア病室への転室
→期間IIまではDPC点数、期間IIIもDPC点数

200床未満病院の地ケア病棟、実績評価の内容を実態踏まえて見直し

200床未満の病院が保有する地域包括ケア病棟のうち、(2)のsub acute機能実績が高い病棟では、点数の高い【地域包括ケア病棟入院料1・3】を取得できます。2018年度の前回改定で3機能をバランスよく果たすことへの期待を込めたものです。



具体的には、▼自宅等からの入院患者受け入れ割合▼自宅等からの緊急入院患者数▼在宅医療等の提供実績▼ACP(患者が医療関係者や家族と人生の最終段階で受けたい医療・ケアの内容等について繰り返し話し合うこと)実施―が指標となり、それぞれ基準値が設けられていますが、厚労省の特別調査では「自宅等からの入院患者・緊急入院受け入れは基準値をはるかに超える実績を持つ病院が多い」「在宅医療等の提供については、実現が極めて難しい項目がある一方で、容易にクリアできてしまう項目もある」ことなどが判明しました。例えば、在宅医療提供の1選択項目である「開放型病院共同指導料」については「指導料2はそもそも地域包括ケア病棟では算定できない」ため、クリアがとても難しいと指摘されるのです。

そこで森光医療課長は、実績等要件の内容(項目や基準値)を1つ1つ現場実態に合わせて見直す考えを提示しました。大枠は下図表のとおりです。

200床未満病院における地域包括ケア病棟の実績評価の指標見直し方向(中医協総会(1)3 191206)



この点、診療側の松本委員は次のように具体的な注文を付けており、今後の詰めの検討において勘案されることになるでしょう。

▽自宅等から入棟した患者割合・緊急患者の受け入れ数に厳格化ついて、地域包括ケア病棟のベッド数が少ない場合には「現状維持」とすべき(空床確保が厳しくなってしまう)

▽在宅医療提供の「訪問診療」等要件について、地域包括ケア病棟自らの訪問診療推進は地域の医療介護連携等に影響を及ぼしかねず、大幅な基準値引き上げは控えるべき

▽介護サービス提供要件について、実績導入は理解するが、高すぎる基準値設定は好ましくない

▽ACP要件拡大は、地域包括ケア病棟の死亡退院が5%程度にとどまる点を踏まえて、「自主的な取り組み」を促すような要件設定とすべき

関連して吉川久美子専門委員(日本看護協会常任理事)は「在宅医療提供の『訪問看護』実績について、敷地内の訪問看護ステーション設置が難しいケースもある。隣接や近隣でのステーション設置も可能とすべき」と提案しました。

また在宅医療提供実績については、現在「4項目中2項目以上クリア」が必要ですが、開放型病院共同指導料項目が削除され(3項目となる)ため、クリア項目「2以上」を維持するべきかどうかも論点となってきます。今後、松本委員の注文等を踏まえて、具体的な基準値等を詰めていくことになります。



以上を整理すると、地域包括ケア病棟について2020年度改定で次のような見直しが行われる見込みです。

〇全体:DPC病棟からの転棟患者ではDPC点数を期間II(平均在院日数)まで算定する

〇200床未満病院:(2)のsub acute受け入れ実績の評価指標を見直す(項目により厳格化・緩和がある)

〇200床以上病院:「自院の一般病棟からの転棟割合に制限(上限)」を設ける(病床数要件に注文あり)

〇400床以上病院:「1病棟のみ設置」要件の上に、「地域医療構想調整会議の意見を求める」要件を追加する

 

 

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中医協・基本小委、支払側が「看護必要度や地域包括ケア病棟などの厳格化」を強く要望
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DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟、地ケア病棟入院料を算定すべきか、DPC点数を継続算定すべきか―入院医療分科会(1)
総合入院体制加算、地域医療構想の実現や病床機能分化を阻害していないか?―入院医療分科会(3)
救命救急1・3は救命救急2・4と患者像が全く異なる、看護必要度評価をどう考えるべきか―入院医療分科会(2)
「急性期一般2・3への移行」と「看護必要度IIの義務化」を分離して進めてはどうか―入院医療分科会(1)
【短期滞在手術等基本料3】、下肢静脈瘤手術などは外来実施が相当数を占める―入院医療分科会(4)
診療データ提出を小規模病院にも義務化し、急性期病棟にも要介護情報等提出を求めてはどうか―入院医療分科会(3)
資源投入量が少なく・在院日数も短いDPC病院、DPC制度を歪めている可能性―入院医療分科会(2)
看護必要度の「A1・B3のみ」等、急性期入院医療の評価指標として妥当か―入院医療分科会(1)
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2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会
2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料や看護必要度などを調査―入院医療分科会



妊産婦の診療に積極的な医師、適切な要件下で診療報酬での評価に期待―妊産婦保健医療検討会



2020年度診療報酬改定、「ネットで2%台半ば以上のマイナス、本体もマイナス」改定とせよ―財政審