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260122ミニセミナー診療報酬改定セミナー2026

2026年4月からの外来医師過多区域・重点医師偏在対策支援区域の医師偏在対策を了承、基準病床数削減方針も決定—社保審・医療部会(1)

2026.1.20.(火)

外来医師がとても多い地域(外来医師過多区域)で新規開業するクリニック(保険医療機関、以下同)に対し、地域で不足する機能(夜間救急の初期対応など)を果たすことを要請し、それに従わない場合に一定のペナルティをかける仕組み、医師確保を集中的・重点的に行う重点医師偏在対策支援区域を設定し、積極的な医師確保を進める仕組みなどを本年(2026年)4月からスタートする―。

病床数適正化支援事業(削減病床1床あたり410万4000円の補助金交付)による廃止された病床数については「地域の基準病床数」(地域の病床整備の上限数)からも削除し、復活を認めないこととする―。

1月19日に開催された社会保障審議会・医療部会で、こうした内容が了承されました。これを受け、本年(2026年)4月の施行に向けた準備(厚生労働省令改正や関連通知等の発出など)が急ピッチで進められます。

なお、同日には「医療安全対策」および「救命救急センターの充実段階評価見直し」についても了承しており、別稿で報じます。

1月19日に開催された「第123回 社会保障審議会 医療部会」

外来医師過多区域の取り組み、重点医師偏在対策支援区域での対応を了承

Gem Medで報じているとおり、医師偏在対策に向けた検討が進んでいます。

具体的には、▼一昨年(2024年末)に取りまとめられた「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」▼総合対策パッケージを踏まえた「医療法改正」—をベースに、「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」(以下、検討会)で具体的な検討を行っています。

医師偏在対策の大枠は、次のように整理できます(関連記事はこちら)。
(1)医師確保を集中的・重点的に行う「重点医師偏在対策支援区域」を定め、医師偏在是正プランを設けて、経済的インセンティブ付与とセットで、強力に医師確保を進める
(2)「医師少数区域等での勤務経験」を管理者(院長等)の要件とする対象医療機関を拡大する
(3)新たに「外来医師過多区域」を設け、その地域で新規のクリニック開業を希望する者へ「地域で必要な医療機能」の提供・実施を要請し、従わない場合にペナルティを課す
(4)保険医療機関の管理者(院長)として「病院に3年以上勤務」等の要件を課す
(5)全国的なマッチング(医師少数区域での勤務を希望する医師と、医師少数区域の医療機関とのマッチング)機能を支援する
(6)リカレント教育(中堅以降の医師を主な対象として「地域で働く上で必要とされる総合的な診療能力」を学び直すための教育)を支援する
(7)都道府県と大学病院等との連携パートナーシップ協定締結を推進する
(8)医師養成課程での取り組み(医学部の恒久定員内地域枠の拡充など)を推進する
(9)診療科偏在の是正に向けた取り組みを検討・推進する



このうち(1)(2)(3)の仕組みについては、本年(2026年)4月から施行されるため準備(関係省令の整備など)を進める必要があり、検討会で具体的な内容が詰められてきました。1月19日の医療部会には、この内容が報告されています。

(1)「重点医師偏在対策支援区域」における強力な医師確保(関連記事はこちらこちら
▽厚生労働省が提示する候補区域(各都道府県で医師偏在指標が最も低い2次医療圏など約100区域)を参考に、都道府県で地域の実情に応じて当該区域を選定し、支援対象医療機関・必要医師数・医師偏在是正に向けた取り組みなどを盛り込んだ【医師偏在是正プラン】を新たに作成し、強力に医師偏在対策を推進する

▽2026年度から「重点医師偏在対策支援区域への支援」が法律に基づく制度となり、2026年度予算案では▼重点医師偏在対策支援区域における診療所の継承・開設支援(重点医師偏在対策支援区域における診療所の継承・開設にあたり、施設整備・設備整備・一定期間の地域定着支援を行う)▼重点医師偏在対策支援区域の医療機関に医師派遣する派遣元医療機関の支援(特定機能病院からの医師派遣とは「別」に、中核病院等からの医師派遣により重点区域の医師を確保するため、派遣元医療機関に対し、医師派遣に要する費用を支援す)▼重点医師偏在対策支援区域における医師の勤務・生活改善のための代替医師確保支援(重点医師偏在対策支援区域で新たに勤務する医師を増やし、離職を減らすため「土日の代替医師確保への支援」を行う)—などの事業費用が盛り込まれている

重点医師偏在対策支援区域の候補(109地域)における2次救急病院数・クリニック数にはバラつきがあり(比較的医療機関の多い地域も含まれている)、「都道府県が優先して支援を行う対象医療機関」の考え方を国で一定程度示すが、支援対象となる医療機関の選定するにあたっては、地域医療対策協議会および保険者協議会で合意を得る

▽「重点医師偏在対策支援区域の中で、支援の対象となる医療機関」に関しては、都道府県が、経済的インセンティブに係る事業(上述の重点医師偏在対策支援区域における診療所の継承・開設支援事業、重点医師偏在対策支援区域の医療機関に医師派遣する派遣元医療機関の支援事業、重点医師偏在対策支援区域における医師の勤務・生活改善のための代替医師確保支援事業)ごとに設定できることとする(承継支援の対象とはならないが、代替医師確保支援の対象となる医療機関などが出てくる可能性あり)

▽重点医師偏在対策支援区域の医療機関に勤務する医師等には「特別の手当」を支給するが(医師手当事業)仕組みも改正医療法で創設されたが、これは「2028年度中に実施」する

医師手当事業の概要(地域医療構想・医療計画検討会(2)2 260116)



(2)「医師少数区域等での勤務経験」を管理者(院長等)要件とする対象医療機関の拡大(関連記事はこちら
管理者(院長等)要件として「医師少数区域等での勤務経験」を求める医療機関について、現行の「地域医療支援病院」(約700病院)に、「医療法第31条で医師の確保に関する事項の実施に協力することなどが求められている公的医療機関や国立病院機構・地域医療機能推進機構等の病院」を追加する(全体で約1600病院となる)

▽「医師少数区域等に所在する医療機関の管理者となる場合は対象から除外する」、「地域医療対策協議会で調整された医師派遣の期間、地域医療対策協議会で認められた管理者に求められる幅広い経験の機会となる期間(例えば大学病院等の医育機関で医療従事者等の指導等に従事した期間等)の一部を勤務経験期間として認める」などの緩和措置を設ける

▽勤務経験期間を「1年以上」に延長する(医師免許取得後9年以上の医師では「断続的な勤務日」の積み上げも可とする、9年未満医師では「最初の6か月以上の勤務は原則1か月以上の連続勤務の積み上げ、残りの期間は断続的な勤務日の積み上げ」も可とする)
・「6か月以上医師少数区域等で勤務する」との規定の中に、「医師少数区域等以外の区域の臨床研修病院等で指導医として勤務している場合も6か月以内に限りカウント可とする」

医師少数区域での勤務を認定する仕組みの拡充(地域医療構想・医療計画検討会(2)13 251212)



(3)「外来医師過多区域」における対応(関連記事はこちら
▽外来医師が極めて多い地域(外来医師過多区域)とは「外来医師偏在指標が全国平均値+標準偏差の1.5倍以上」かつ「可住地面積あたり診療所数が上位10%」の地域を基準とし、当該基準に該当する2次医療圏を国が候補区域として提示し、都道府県がその範囲で指定する
(外来医師過多区域の候補地:9医療圏)
・東京都 区中央部医療圏(千代田区、中央区、港区、文京区、台東区)
・東京都 区西部医療圏(新宿区、中野区、杉並区)
・東京都 区西南部医療圏(目黒区、世田谷区、渋谷区)
・東京都 区南部医療圏(品川区、大田区)
・東京都 区西北部医療圏(豊島区、北区、板橋区、練馬区)
・大阪府 大阪市医療圏(大阪市)
・京都府 京都・乙訓医療圏(京都市、向日市、長岡京市、大山崎町)
・兵庫県 神戸医療圏(神戸市)
・福岡県 福岡・糸島医療圏(福岡市、糸島市)

外来医師過多区域の候補(地域医療構想・医療計画検討会(2)1 260116)



▽都道府県は、地域で不足する機能(新規開業医に担うことを要請する機能)を事前に公表しておく(夜間や休日等における地域の初期救急医療の提供(夜間・休日等の診療、在宅当番医制度への参加、夜間休日急患センターへの出務、2次救急医療機関の救急外来への出務等)、在宅医療の提供、学校医・予防接種等の公衆衛生に係る医療、医師不足地域での医療の提供(土日の代替医師としての診療等)など)

▽外来医師過多区域で新規のクリニック開業を希望する医師には、「開業6か月前」に、提供する予定の医療機能等の届け出を求める

▽正当な理由なく当該機能の提供・実施を行わない場合には、届け出内容等を踏まえて、▼地域の「外来医療の協議の場」への参加を求める▼地域で不足する機能(上記)の提供・実施を要請する―

▽要請にも関わらず「地域で不足している医療機能提供」「医師不足地域での医療提供」を行わない開業者に対し、都道府県医療審議会での理由等説明を求めた上で、やむを得ない理由がない場合には都道府県が「勧告」「公表」を行うことを可能とする

▽開業前に要請された診療所が要請後に保険医療機関の指定を受けた場合は、保険医療機関の指定期間を6年でなく3年または2年に短縮する

▽都道府県医療審議会や外来医療の協議の場への毎年1回の参加を求めるとともに、要請・勧告を受けたことの公表、勧告に従わない医療機関の公表、保健所等による確認、診療報酬上のペナルティ、補助金の不交付等を行う

外来医師「過多」区域での、新規開業希望者に対する「地域で不足する機能」提供要望の仕組み(中医協総会1 251224)



こうした詳細な内容に対し、委員からは▼外来医師過多区域の設定、地域で不足する機能の明確化等にあたっては「地域の医師会」との協議を十分に重ねるようプロセスを明確化してほしい(角田徹委員:日本医師会副会長)▼管理者要件について「分かりやすい」広報を行うべき。また重点医師確保支援区域は「候補地以外の選定も可能」な旨を明確にしてほしい(望月泉委員:全国自治体病院協議会会長)—といった注文が付いています。

また、3年後の制度見直し(例えば外来医師過多区域で「廃止クリニック<新規開業クリニック」となる場合には、より強力な対策を打つなど)に向けて、▼医師偏在の是正に向けては「インセンティブ」と「規制」をセットで行う必要があり、今後「規制の強化」を検討していく必要がある(永井幸子委員:日本労働組合総連合会総合政策推進局長)▼外来医師過多区域について、検証を行いながら、さらなる拡大も含めて検討していくべき。また過多区域以外の地域(外来医師多数区域など)での新規開業是正にむけた方策の強化も検討すべき(米川孝委員:健康保険組合連合会副会長、伊藤伸一委員:日本医療法人協会会長)▼若手医師だけでなく「ベテラン医師」を対象とした取り組みもさらに強化すべき。また「病院勤務を辞め、開業に走る」ことを是正する方策を検討しなければいけない(山本修一部会長代理:地域医療機能推進機構理事長、山崎學委員:日本精神科病院協会会長)—といった意見も出ています。

ただし、いずれも上記見直しへの異論・反論ではなく、遠藤久夫部会長(学習院大学長)は「医療部会として見直し内容を了承する」考えを明確にしました。

今後、本年(2026年)4月の施行に向けた準備(厚生労働省令改正や関連通知等の発出など)が急ピッチで進められます。

病床数適正化事業で廃止した病床数は「基準病床数からの削減」も行う

ところで改正医療法等では、国会審議の中で「病床数の適正化に対する支援事業が追加され、また、当該事業により削減された病床については不可逆的措置として医療計画で定める基準病床数を削減する」とされました。

この点について厚生労働省医政局地域医療計画課の西嶋康浩課長は、次の点を明確にしてはどうかと提案しています。

▽▽総合確保法第7条の2を創設し、第2項に「都道府県は、医療機関が病床数適正化事業に基づき病床数を削減したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、医療計画において定める基準病床数を削減する」との規定が設けられる

▼「病床数の適正化に対する支援事業に係る不可逆的措置」について、具体的には「2次医療圏ごとに病床削減率(削減病床数÷既存病床数)を用いて基準病床数を削減」する
・例えば「基準病床数80床、既存病床数100床の地域で、病床数適正化事業により10床 を削減した場合、病床削減率が10%(削減10床÷既存100床)となり「基準病床数の削減が8床(基準80床の10%)」なるが、こうした場合には削減病床数と同数(10床)分を基準病床数から削減する
・例えば「基準病床数100床、既存病床数300床(大幅なオーバーベッド)の地域で、病床数適正化事業により150床を削減した場合、上記に倣えば「基準病床数がマイナス」(100-150)などになってしまうが、この場合には地域の医療提供体制に支障を来さないよう「基準病床数が削減後の既存病床数を超えない」範囲で都道府県で柔軟な運用を可能とする

病床数適正化支援事業に基づく病床削減の取り扱い2(社保審・医療部会(1)2 260119)



▼厚生労働省令で定める場合(基準病床数の削減を行わない場合)は、「急激な人口増加や新興感染症の発生、小児・周産期、救急医療等に関する病床」の削減や、「医療計画の公示後に地域医療連携推進法人の参加法人等から申請のあった病床や、国家戦略特区に関する認定を受けて申請された病床」の削減などとする(これらは基準病床数には組み込まれないため)

病床数適正化支援事業に基づく病床削減の取り扱い1(社保審・医療部会(1)1 260119)



これらの内容について異論・反論は出ていませんが、委員からは▼不可逆的な対応(基準病床数の削減)の必要性は理解するが、地域医療提供体制に支障が出ないように留意すべき(長島公之委員:日本医師会常任理事)▼病床数適正化事業については、地域によって取り組み状況や考え方に大きな温度差があり、是正が必要ではないか。また1病院あたり5床や10床の「削減+補助」では病院の機能も固定費も変わらない。中途半端な削減ではなく、「病棟単位」での削減+補助を行うべき(山本部会長代理、山崎委員)—といった注文が付いています。

病床数適正化事業では、削減病床1床あたり410万4000円の補助金(ただし休床病床を削減する場合は205万2000円)を行うもので、いわば「病床の買い上げ措置」であると指摘されています。 2025年度補正予算に基づく病床数適正化事業については、今後、交付要綱などが明らかにされますが、その中で上記の声がどう反映されるのか注目が集まります。

なお、病床数適正化事業は「新地域医療構想の開始前」までとされており、そこで「削減病床数」が固まり、基準病床数の見直しに反映される可能性が高いと思われます(現時点では地域で何床の病床削減が行われるのかは未定である)。



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新たな地域医療構想、「病床の必要量」推計は現行の考え方踏襲、「病床機能報告」で新たに「病院機能」報告求める—新地域医療構想検討会
新たな地域医療構想論議、「現行の考え方を延長する部分」と「新たな考え方を組み込む部分」を区分けして進めよ—社保審・医療部会(2)

新たな地域医療構想、患者減が進む中で地域の実情踏まえた統合・再編など「医療機関の経営維持」等も重要視点の1つ—新地域医療構想検討会
新たな地域医療構想は「2040年頃の医療提供体制ビジョン」、医療計画は「直近6年間の医療提供体制計画」との役割分担—新地域医療構想検討会
新たな地域医療構想、協議の旗振り役明確化、公民の垣根超えた議論、医療・介護全体見た改革推進が極めて重要—新地域医療構想検討会
医療・介護連携の強化が「医療提供体制改革、新地域医療構想」を考える上で必要な不可欠な要素—新地域医療構想検討会
2040年頃見据えた新地域医療構想、病院の主体的な動き(機能転換など)が必要な分野について「何が必要か」の深堀りを—新地域医療構想検討会
2040年頃見据えた新地域医療構想、在宅医療の強化、構想区域の見直し、「病院」機能明確化などですでに共通認識—新地域医療構想検討会
【ポスト地域医療構想】論議スタート、医療介護連携、構想区域の在り方、医療人材確保、必要病床数設定等が重要論点—新地域医療構想検討会

【ポスト地域医療構想】論議を近々に開始、入院だけでなく、外来・在宅・医療介護連携なども包含して検討—社保審・医療部会(1)