新医療材料の保険適用踏まえ、【在宅腫瘍治療電場療法指導管理料】や【食道ステント留置術】などに新点数算定ルール設定—厚労省
2026.3.5.(木)
新たな医療機器・材料の保険適用を踏まえて、C118【在宅腫瘍治療電場療法指導管理料】、K522-2【食道ステント留置術】、K559-3【経皮的僧帽弁クリップ術】、K613【腎血管性高血圧症手術(経皮的腎血管拡張術)】、K773-4【腎腫瘍凝固・焼灼術(冷凍凝固によるもの)】に関する点数算定ルールを一部見直し(算定対象ケースの追加)を行う―。
厚生労働省は2月27日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について」を発出し、こうした点を明確にしました。3月1日から適用されています(厚労省サイトはこちら)。
新たな医療技術の保険適用を踏まえて、既存点数の算定ルールも逐次見直し
今回、改正が行われたのは、2024年度診療報酬改定に関する次の通知です。
▽「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(2024年3月5日付、保医発0305第4号)
▽「特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について」(2024年3月5日付、保医発0305第8号)
▽「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)の一部改正に伴う特定保険医療材料料(使用歯科材料料)の算定について」(2024年3月5日付、保医発0305第10号)
▽「特定保険医療材料の定義について」(2024年3月5日付、保医発0305第12号)
本稿では、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」のうち医科部分の見直しに焦点を合わせます。本通知は、診療報酬点数を算定する際の細かなルール(どういった医療行為を行えば点数算定ができるのか、どういった診療ガイドラインに従わなければならないのか、どの点数と併算定が可能なのかなど)を規定しています。
今般、次の5つの診療報酬項目について算定ルールの見直し・新設を行っています。
(1)C118【在宅腫瘍治療電場療法指導管理料】
(2)K522-2【食道ステント留置術】
(3)K559-3【経皮的僧帽弁クリップ術】
(4)K613【腎血管性高血圧症手術(経皮的腎血管拡張術)】
(5)K773-4【腎腫瘍凝固・焼灼術(冷凍凝固によるもの)】
まず(1)のC118【在宅腫瘍治療電場療法指導管理料】については、1月23日の中医協総会で「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんと診断された成人患者のうち、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法で増悪後にPD-1/PD-L1阻害剤と併用して、腫瘍治療電場(TTフィールド)と呼ばれる交流電場を体内に発生させることでがん細胞の増殖を阻害し、腫瘍増大を抑制する特定の周波数に設定された電場を利用してがん治療を行う新医療機器(オプチューンルア)の保険適用が認められた」ことを踏まえ、次の新ルールが設定されます(新医療機器に関する中医協資料はこちら)。
●在宅腫瘍治療電場療法(非小細胞肺がん)
▽次に掲げる要件を「いずれも満たす」場合に限り、2800点の算定を認める
ア 非小細胞肺がんの治療を目的として交流電場を形成する治療法を、在宅で、患者自らが行う
イ PD-1/PD-L1阻害剤と併用して、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの治療を目的とする
ウ 本療法の実施に当たっては、関係学会の定める適正使用指針を遵守する
エ 「非小細胞肺がんに対するPD-1/PD-L1阻害剤による治療」の経験を過去1年間に5例以上有し、本治療に関する所定の研修を修了している常勤の医師が実施する
オ 以下のいずれも満たす保険医療機関である
(i)呼吸器内科、呼吸器外科または腫瘍内科を標榜している
(ii)「非小細胞肺がんに対するPD-1/PD-L1阻害剤による治療」を過去1年間に10例以上実施している
(iii)皮膚関連有害事象を含む有害事象が発生した際、当該施設または連携施設において専門的な対応が可能である
また(2)は、昨年(2025年)12月17日の中医協総会で「内視鏡的切除後の辺縁遺残や瘢痕上または近傍の再発で、内視鏡的切除が困難である異形成また粘膜内にとどまる『食道がん』病変を有する患者に対し、内視鏡下 に冷凍アブレーションすることを目的に使用する新医療機器(C2 CryoBalloon システム)の保険適用が認められた」ことを踏まえ、新たに次の新ルールを設定します(新医療機器に関する中医協資料はこちら、関連記事はこちら)。
▽「内視鏡的切除後の辺縁遺残、瘢痕上または近傍の再発で、内視鏡的切除が困難である異形成または粘膜内にとどまる食道がん病変」に対して、特定保険医療材料238の冷凍アブレーション用バルーンカテーテルを用いて、内視鏡下に冷凍アブレーションを行った場 合は、6300点を算定する
他方(3)は、1月23日の中医協総会で「症候性高度三尖弁閉鎖不全症患者のうち、至適薬物療法を行ったにもかかわらず三尖弁閉鎖 不全症の重症度および及び症状が改善されない患者のうち、ハートチームが▼本邦ガイドラインに準じ、左心系疾患が十分に治療されている▼三尖弁外科手術が最適治療ではない▼経カテーテルedge-to-edge三尖弁形成術に 適した臨床状態である―と判断した患者の三尖弁逆流の治療に用いる新医療機器(TriClipシステム)の保険適用が認められた」ことを踏まえ、次の新ルールが設定されます(新医療機器に関する中医協資料はこちら)。
▽特定保険医療材料240の「経皮的三尖弁クリップシステム」を用いて、経皮的三尖弁クリップ術を実施した場合は、3万4930点を算定する。
さらに(4)も、1月23日の中医協総会で「高血圧治療ガイドラインに従った治療(生活習慣の修正、非薬物療法および薬物療法)で適切に血圧がコントロールできない治療抵抗性高血圧症患者に対し、追加的治療として血圧を低下させるために使用する新医療機器(Paradiseシステム)の保険適用が認められた」ことを踏まえ、次の新ルールが設定されます(新医療機器に関する中医協資料はこちら)。
▽治療抵抗性高血圧の患者に対して、特定保険医療材料239の腎神経焼灼術用カテーテルを用いて、関連学会の定める適正使用指針を遵守して腎神経焼灼術を実施した場合は3万1840点を算定する
▽診療報酬の請求に当たっては、レセプトに症状詳記を記載することが必要
さらに(5)は、昨年(2025年)12月17日の中医協総会で「小径腎悪性腫瘍または肝腫瘍の生体組織を凍結・壊死させる、あるいは標準治療に不適・不応な▼肺悪性腫瘍▼悪性骨腫瘍▼類骨骨腫▼骨盤内悪性腫瘍▼四肢、胸腔内および腹腔内に生じた軟部腫瘍▼結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫—に対する治療・症状緩和を行うために使用する新医療機器(冷凍手術器Visual-ICE)の保険適用が認められた」ことを踏まえ、新たに次の新ルールを設定するものです(新医療機器に関する中医協資料はこちら、関連記事はこちら)。
▽肝腫瘍または標準治療に不適応・不応の以下の腫瘍に対して経皮的に凝固・焼灼術(冷凍凝固によるもの)を実施した場合は、5万2800点を算定する。実施に当たっては関連学会の定める適正使用指針を遵守する必要がある
ア 肺悪性腫瘍
イ 骨悪性腫瘍
ウ 類骨骨腫
エ 骨盤内悪性腫瘍
オ 四肢、胸腔内および腹腔内に生じた軟部腫瘍
▽標準治療に不適応・不応の結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫に対して経皮的に凝固・焼灼術(冷凍凝固によるもの)を実施した場合は、5万2800点を算定する。実施に当たっては、関連学会の定める適正使用指針を遵守する必要がある
なお、2026年度の診療報酬改定で、上記診療報酬項目について、今般の対応を踏まえた次のような見直しも行われます(本年(2026年)6月施行、点数の準用ではなく、個々の技術に点数が設定される、診療報酬点数表の新旧対照表はこちら)。
▽(1)の【在宅腫瘍治療電場療法指導管理料】については、「1 膠芽腫の場合」と「2 非小細胞肺がんの場合」に区分する(点数はいずれも2800点)
▽(3)の新たな「経皮的三尖弁クリップ術」については、K559-3【経皮的僧帽弁クリップ術】と分離したK559-4【経皮的三尖弁クリップ術】(点数は同じ3万4930点)として独立・新規で評価する
▽(4)の新たな「腎神経焼灼術」については、K613【腎血管性高血圧症手術(経皮的腎血管拡張術)】から分離したK613-2【腎神経焼灼術】(点数は同じ3万1840点)として独立・新規で評価する
▽(5)の【腎腫瘍凝固・焼灼術(冷凍凝固によるもの)】については、上記とは別に「1 2cm以内のもの」(5万1200点)と「2 2cmを超えるもの」(6万6200点)とに区分する
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