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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

「頻回な血糖測定」などの医療区分、きめ細かな評価基準追加を容認―日慢協の池端副会長

2015.8.7.(金)

 2016年度の次期診療報酬改定に向けて、「将来的に医療区分の抜本的な見直しを行う」ことを条件に、うつ病や頻回の血糖測定などの医療区分によりきめ細かな評価を行うことに賛成する―。このような見解を日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長が6日の定例記者会見で明らかにしました。

 また、10月から「呼吸器」「感染に係る薬剤投与」「血糖コントロールに係る薬剤投与」「精神及び神経症状に係る薬剤投与」などの分野に関する特定行為研修を日慢協が実施することも発表しました。8月10日から31日まで受講申請が受け付けられます。

8月6日に定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長

8月6日に定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長

療養病棟2への「医療区分2・3患者割合」の導入も認める

 池端副会長は、厚生労働省の診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」の委員として次期改定論議に関わっています。入院医療分科会では、▽急性期入院医療▽短期滞在手術等基本料▽総合入院体制加算▽地域包括ケア病棟入院料▽有床診療所入院基本料▽医療資源の少ない地域に配慮した評価▽慢性期入院医療-などについて一通りに議論を終え、8月末に中間取りまとめを行う予定です。

 こうした議論を振り返り、池端副会長は16年度の診療報酬改定に向けて次のようなスタンスで臨む方針が日慢協の常任理事会で了承されたことを紹介しました。

▽急性期から慢性期までを一連の入院医療と捉え、横断的な評価や報酬体系の設定を行うべきである

▽重症度、医療・看護必要度のA項目は慢性期患者にも一定程度当てはまるものでり、ICU、HCU、一般病棟、療養病棟で標準化すべきである(関連記事はこちら

▽重症度、医療・看護必要度のB項目についても、急性期から慢性期を通じて同じ項目で評価すべきである(関連記事はこちら

▽療養病棟における在宅復帰機能強化加算では、「1か月未満の入院患者」も計算対象に含めるべき(関連記事はこちら

▽療養病棟における在宅復帰機能強化加算の要件となる「病床回転率」について、厚労省の示した「他院からの転棟患者を高く評価する」方向は理解できるが、今後、7対1や地域包括ケア病棟における在宅復帰が推進される中では、他院から療養病棟への転棟患者は在宅復帰が難しい人が中心となるので、「他院からの転棟患者」については加算などで評価すべきである(関連記事はこちら

▽DPCデータ提出については、将来的に10対1一般病棟で義務化するとともに、療養病棟も積極的に行うべきである(関連記事はこちら

▽療養病棟入院基本料2において医療区分2と3の患者割合を施設基準化することはやむを得ないが、基準値の設定は慎重に検討すべきである(療養病棟入院基本料1では医療区分2と3の患者割合は80%以上)(関連記事はこちら

▽医療区分2または3として評価されている「うつ状態」「頻回な血糖測定」「酸素療法」などについては、将来的に『医療区分の抜本的な見直し』を行うことを条件に、例えば「頻回な血糖測定」では「インスリン投与」などのきめ細かな評価を行うことを認める(関連記事はこちら

▽地域包括ケア病棟において、療養病棟でも出来高算定となっている「手術」を包括の外に出すことには賛成である(関連記事はこちら

 中間取りまとめの内容は、親組織である中央社会保険医療協議会に報告され、秋から具体的な制度設計の議論に移ります。日慢協の見解が、中医協でどのような影響を及ぼすのか注目が集まります。

慢性期に関する特定行為研修を実施、8月10日から申請受付

 一定の研修を受けた看護師が、医師・歯科医師の包括的指示の下に行える特定行為を実施するための研修(特定行為研修)が10月1日から始まります(関連記事はこちら)。池端副会長は、日慢協がこの特定行為研修を実施する機関(特定行為研修指定研修機関)に認定されたことを報告しました。特定行為は31項目ありますが、日慢協ではこのうち慢性期医療に関連の深い次の7項目の研修を行います。

(1)呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連

(2)呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連

(3)創傷管理関連

(4)栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連

(5)感染に係る薬剤投与関連

(6)血糖コントロールに係る薬剤投与関連

(7)精神及び神経症状に係る薬剤投与関連

 研修は10月1日から始まり、、e-ラーニングによる自宅や勤務先での講義受講、日慢協での集合研修、協力施設での実技研修(臨床実習)、認定試験などを経て、来年(16年)の9月下旬には特定行為を実施できる看護師が誕生する見込みです。

 日慢協は「受講申請時において5年以上の看護実務経験を有する看護師」を対象に、8月10日-31日に受講申請を受け付けます。定員は100名で、池端副会長は「看護管理者などの要件は設けていない。研修を通じて有能な人材を育成したい」と強調しました。

詳細は日慢協のホームページに掲載されます。

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