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骨太方針、「柔軟対応」でも診療報酬削減の要請は必至―ライター・三竦の霞ヶ関ウォッチ(10)

2015.8.10.(月)

 「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針2015)が6月末に閣議決定されたことで、2016年度から18年度まで3年間の予算編成の方向性が固まった。具体的には、「安倍内閣のこれまで3年間の経済再生や改革の成果と合わせ、社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(1.5 兆円程度)となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018 年度(平成30年度)まで継続していくことを目安とし、効率化、予防等や制度改革に取り組む」と記載されており、「国民の理解を得ながら厳しい制度改正を行うことにより、(社会保障関係費を)年平均0.5兆円程度の伸びに抑制」(塩崎厚生労働相)してきた過去3年間の流れを、18年度の予算編成まで踏襲することになるのだろう。

 さて、この流れは、社会保障費の自然増分を毎年2200億円削減した小泉政権の骨太方針2006を思い起こさせる。このときの文言は、「過去5年間の改革(国の一般会計予算ベースで▲1.1兆円(国・地方合わせて▲1.6兆円に相当)の伸びの抑制)を踏まえ、今後5年間においても改革努力を継続する」だった。その結果、毎年の予算編成で2200億円の削減を求められたことは医療関係者なら誰もが覚えているだろう。

 それでは、骨太方針2006と今回の違いは何か。簡単に言えば、骨太方針2006は「削減額ありき」でその後の予算編成を硬直的なものにしたが、今回は「各年度の歳出において」「一律でなく柔軟に対応」することにした点か。つまり、毎年の削減額をあらかじめ決めて予算編成に臨むといった対応ではないところだろう。実際、甘利明経済再生担当相も、社会保障費の削減目標を設定しない理由として、一律カット方式ではなく「創意工夫の削減」によって、社会保障の「生産性、効率化につながっていくという論理」で臨むと明言している。

■診療報酬改定の攻防はもう始まっている

 焦点の16年度予算編成はどうなるのか―。この年には診療報酬改定があるため、一定程度の削減額のねん出を求められるのは間違いないだろう。骨太方針2015にもこうしたことを意識した文言が随所に散りばめられており興味深い。

 病床の機能分化、かかりつけ医の普及の観点から診療報酬で適切に評価する考えを打ち出したほか、薬価や調剤報酬については、例年になく詳しく記載されている。予断を許さないが、年末までの診療報酬の攻防は既に始まっていることが分かる。

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