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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

医療・介護の複合的ニーズに対応できる看護小規模多機能型居宅介護(看多機)、より利用しやすい環境整備を!—日看協

2022.11.18.(金)

医療・介護の複合的ニーズを持つ要介護者に「通い」「泊り」「訪問」「看護」を総合的に提供できる「看護小規模多機能型居宅介護」(看多機)について、より利用しやすい環境の整備を行ってほしい—。

日本看護協会は11月10日に、このような内容の要望書を加藤勝信厚生労働大臣に宛てて提出しました(日看協のサイトはこちら)。

市町村を跨ぐ利用、定員の拡大、介護保険以外での利用などを可能とせよ

ついに今年度(2022年度)から団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめており、2025年度には全員が後期高齢者となります。このように高齢者が増加する中では、医療・介護サービス「量」の確保とともに、「複雑化する医療・介護ニーズに的確に応えられる複合的なサービス」の確保も求められており、社会保障審議会・介護保険部会でも「看護小規模多機能型居宅介護」(看多機)に注目が集まっています(関連記事はこちら)。

「通い」「泊り」「訪問」の3機能を併せ持ち、利用者の多様なサービスに対し、馴染みの職員が包括的に対応する「小規模多機能型居宅介護」に、医療ニーズへの対応力を強化するために「訪問看護の機能」を付加した「看多機」が2011年の介護保険法改正、2012年度の介護報酬改定で整備されました。

しかし、看多機については「小規模な自治体では、看多機事業所が 1か所もないところもある」「地域密着型サービスに位置づけられ、市町村を超えた看多機利用ができない」などの課題も指摘されています。

看多機が整備されていない自治体も少なくない(日看協要望1 221110)



そこで日本看護協会の福井トシ子会長は、加藤厚労相に宛てて次のような制度改善を行い、看多機利用のハードルを下げる(=より利用しやすい環境を整備する)よう求めました。

(1)看多機を介護保険法の「居宅サービス」にも位置づける
(2)登録定員上限を拡大する
(3)介護保険法における看多機の定義を見直し、「通い」「泊まり」における「看護」の 提供を明記する
(4)看多機を健康保険法上にも位置付け、要介護高齢者以外の利用を可能とする。



まず(1)は「市町村を跨ぐ看多機利用を促進する」ことを目指すものです。現在の地域密着型サービスへの位置付けのみでは、「自市町村に居住する要介護者が優先され、看多機のない地域内に居住する要介護者の利用が困難」となっています。そこで看多機を「居宅サービス」にも位置づけることで、他市町村居住者の利用ハードルを下げるべきと日看協は提案しています。

他地域の要介護者が看多機を利用することは現行の「地域密着型サービス」への位置付けのみでは難しい(日看協要望2 221110)



また(2)は「登録定員が上限の『29人』に達してしまっている(つまり、それ以外の者の利用が極めて困難である)事業所が6割を占めている」実態を踏まえ、「定員の拡大」を求めるものです。この場合には、サービスの質を確保するために、セットで「人員配置基準の見直し」を検討していく必要があるかもしれません。

6割の看多機が「満員御礼」となってしまっており、他のニーズに十分に応えきれていない(日看協要望3 221110)



他方、(3)は、看多機が「訪問看護を提供できる」だけでなく、「通い」「泊り」のサービス利用時にも十分な看護サービスが設定で提供できる旨を、介護保険制度に明示するよう求めるものです。訪問以外の場面でも「医療・介護の複合的ニーズに的確に応えられる」サービスであることを名実ともに明確化せよとの要望内容と言えるでしょう。



さらに(4)は、医療・介護の複合的ニーズを持つ要介護者は「高齢者にとどまらない」点を踏まえた要望です。



介護保険の範疇を超える要望内容であり、厚労省はこれをどう受け止め、どう対応を検討していくのか今後の状況に注目が集まります。



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