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がんゲノム医療の中核となる拠点病院、関東甲信越で1施設増やし「全国で13施設」に―がんゲノム医療中核拠点病院等指定検討会

2023.2.14.(火)

我が国のがんゲノム医療を牽引していく「がんゲノム医療中核拠点病院」や「がんゲノム医療拠点病院」、「がんゲノム医療連携病院」については、新たな指定要件(整備指針)に基づいた指定見直しを行い、本年(2023年)4月1日から新体制がスタートする—。

このうちゲノム医療のみならず、人材育成や他院の診療支援、研究開発なども行う「がんゲノム医療中核拠点病院」については、関東甲信越ブロックで1施設増やし「全国で13施設」としてはどうか(現在は全国で12施設)—。

2月13日に開催された「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった議論が行われました。選定結果は今後明らかにされます。3月上旬には「がんゲノム医療拠点病院」(全国で30施設程度)の選定検討が検討会で行われ、4月1日から新たな「がんゲノム医療提供体制」がスタートします。

新指定要件に基づき、データ・ヒアリング結果を踏まえてがんゲノム中核拠点病院を選定

Gem Medで報じているとおり、新たな▼がん診療連携拠点病院▼小児がん拠点病院▼がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院—の指定要件(整備指針)が策定され、2023年度から新たながん診療提供体制がスタートします。

がんゲオム医療中核拠点病院・拠点病院・連携の指定要件(整備指針)については、例えば▼パネル検査・遺伝カウンセリング・治験実施などに関する「実績要件」を盛り込む▼がんゲノム医療拠点病院についても、新たに「がんゲノム医療中核拠点病院との連携」を求める▼がんゲノム医療連携病院において「患者の転帰などの情報が正しく入力される」ような仕組みを設ける—などの見直しが行われました(関連記事はこちら)。

●がんゲノム医療中核拠点病院等の新指定要件(整備指針)はこちら

がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件見直しポイント(がんゲノム医療中核拠点病院等指定検討会2 230213)



この新指定要件(整備指針)に基づいて「がんゲノム医療中核拠点病院」「がんゲノム医療拠点病院」の選定を行い(がんゲノム医療連携病院は、中核拠点病院・拠点病院が自ら選定する)、本年(2023年)4月1日から新体制をスタートさせることになります。

まず、中核拠点病院・拠点病院・連携病院の役割を再確認しておきましょう。

がんゲノム医療は「がん患者の遺伝子変異情報をもとに最適な抗がん剤を選択・投与する」(効果の低い抗がん剤投与を控えることで、患者の身体的・精神的・経済的負担を逓減する)技術と言えるでしょう。がん患者の主要組織や血液をもとに百以上の遺伝子変異を包括して検出できる「遺伝子パネル検査」を実施。その結果を国立がん研究センターに設置されている「C-CAT(がんゲノム情報管理センター)」のデータベース等に照らし、さらに各病院に設置されているがんゲノム医療の専門家会議(エキスパートパネル)の検討により「効果的な抗がん剤」を選択するものです。

がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院には、この「がん遺伝子パネル検査の医学的解釈」を自施設で完結できる体制を整備することが求められ、連携病院には「中核拠点・拠点病院と連携して簡潔できる」体制整備が求められます。

また、がんゲノム医療中核拠点病院には、このほかに▼人材育成▼他院の診療支援▼治験・先進医療の主導▼研究開発—の機能も求められます。

がんゲノム医療中核拠点病院等の概要(がんゲノム医療中核拠点病院等指定検討会1 230213)



2月13日の検討会では「がんゲノム医療中核拠点病院」の選考論議が行われました(結果は追って示される)。これまでに全国で12施設、ブロック別に見ると北海道:1施設、東北:1施設、関東甲信越:4施設、東海北陸:2施設、近畿:2施設、中国四国:1施設、九州:1施設が指定されています。上記の機能具備とともに「地域のがん患者数」「患者のアクセス」などの地域性をも考慮した施設数です。

今般、最新の「がん患者数」データを踏まえて考慮した結果、「関東甲信越ブロックで1施設増加」(結果、全国でも12施設から13施設に増加)することとしてはどうか、との考えが厚生労働省から示され、了承されました。

関東甲信越ブロックにおいて中核拠点病院を1施設増やす(がんゲノム医療中核拠点病院等指定検討会3 230213)



がんゲノム医療中核拠点病院への指定を希望する医療機関は17施設(北海道:1施設、東北:1施設、関東甲信越:6施設、東海北陸:3施設、近畿:3施設、中国四国:2施設、九州:1施設)あるため、指定施設数<申請施設数となっている関東甲信越・東海北陸・近畿・中国四国ブロックでは「どの施設を選定するか」を検討することになります。その際には次のような考え方で「選定を行う」方針が厚労省から示されています。

▽「がん遺伝子パネル検査・エキスパートパネルの体制・実績」「遺伝カウンセリング等の体制・実績」「臨床情報やゲノム情報の収集・管理・登録に関する体制・実績」「治験・先進医療・患者申出療養、その他臨床研究等の体制・実績」「がんゲノム医療に関する人材育成や教育等の体制・実績」「小児がん症例への対応」など11項目を書面審査し、「80点満点」で施設ごとに点数をつける

▽ブロックごとに書面評価点数のランキングが出る

▽指定施設数<申請施設数となっている関東甲信越・東海北陸・近畿・中国四国ブロックでは、当落線上(例えば関東甲信越ブロックでは5施設選定なので書面審査で4・5・6位)にある施設からヒアリングを行う

▽ヒアリングでは「書面には出てこない取り組みなど」を中心に各施設の状況を審査し、「60点満点」で施設ごとに点数をつける

▽書面審査の点数+ヒアリング審査の点数(80点満点+60点満点の140点満点)でランキングをつけ、中核拠点病院を選定する

書面評価の11項目(がんゲノム医療中核拠点病院等指定検討会4 230213)

書面評価+ヒアリング評価で当落を決する(がんゲノム医療中核拠点病院等指定検討会5 230213)



この考え方に明確な反対意見は出ていませんが、「ブロック別の選定では『ある地域では上位だが、他のブロックと比較するとそうではない』という事態が生じえる。全国レベルで見て『低い水準』にある施設については質向上を求めていくべき」との指摘が患者代表の天野慎介構成員(全国がん患者団体連合会理事長)や渡辺弘司構成員(日本医師会常任理事)から出ています。もちろん中核拠点となるためには「新指定要件(整備指針)を満たしている」ことが大前提となるため、いずれの施設も「相当程度、高い水準のがん医療、がんゲノム医療を提供する体制を有し、実績も保有している」ことに疑いはありません。天野構成員らは、そのうえで「中核拠点病院間での格差を是正し、全体でさらに高い水準を目指す」よう求めていると言えるでしょう。

また、やはり患者代表である若尾直子構成員(がんフォーラム山梨理事長)は「レベルを維持したうえで、中核拠点病院の施設数を全国で増やしていく」ことも求めています。患者のアクセスという視点に立てば、より多くの施設が中核拠点病院に選定される必要がありますが、一方で「症例の分散による質の低下」にも留意しなければなりません。この点、がんゲノム医療については「中核拠点病院と拠点病院・連携病院とが必ず連携する」ことが求められ、また「患者の遺伝子変異情報などは、C-CATに登録する」ことが求められる点などを考慮すれば「施設数が増加したとしても、質は確保される」と考えることもできます。一方で、「中核拠点病院と拠点病院・連携病院とが必ず連携する」のであるから「必ずしも中核拠点病院を数多く整備する必要はない。連携する病院を整備すればよい」との考えもあります。今後の「指定要件」検討における重要なテーマと言えそうです。



ところで、上述のように「指定施設数(13施設)<申請施設数(17施設)」であるため、選から漏れる施設が4施設出てきます。この4施設については「がんゲノム医療拠点病院」としての指定可否を検討することになります。がんゲノム医療拠点病院は「全国で30施設程度」を整備することになっており、3月上旬に上述した中核拠点病院と同じような考え方で選定論議が行われます(書面評価+ヒアリング評価)。



厚労省で選考結果(書面評価+ヒアリング評価)を踏まえて選定を行い、本年(2023年)4月1日から新たな中核拠点病院・拠点病院体制がスタートします。

なお、がんゲノム医療連携病院は「がんゲノム医療中核拠点病院・がんゲノム医療拠点病院が指定」します。このため「既に中核拠点・拠点として指定されている病院が、本年(2023年)4月以降も中核拠点・拠点として継続指定される」場合には「連携病院も継続指定」となりますが、「これまで中核拠点・拠点として指定されていたが、本年(2023年)4月以降は中核拠点・拠点となれない」病院が現れた場合には、「連携病院は新たに連携する中核拠点・拠点」を探さなければなりません。後者の場合には「遅くとも本年(2023年)5月19日までに連携する中核拠点病院・拠点病院などに関する届け出を行い、7月1日から新たな連携体制をスタートさせる」ことが求められます。



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