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2024年度に不採算品再算定の対象となり薬価が引き上げられる医薬品、「適正価格での流通」「必要量のみの購入」に医療現場も協力を—厚労省

2024.3.15.(金)

2024年度の薬価制度改革によって不採算品再算定の対象となり薬価が引き上げられる「医療上の必要性の高い医薬品」について、「適正価格での流通」「必要量のみの購入」に医療現場も協力してほしい—。

厚生労働省は3月5日に事務連絡「令和6年度薬価改定において不採算品再算定を適用された医薬品の適正な流通について」を示し、こうした点への留意を医療現場等に求めました。

不採算ゆえに薬価を引き上げる一方で、過度な値引きが行われたのでは再算定の意味がない

医薬品の供給不安が続いています。一部の後発医薬品メーカーによる不祥事(関連記事はこちらこちら)などに端を発し、供給停止・出荷調整が頻発(A医薬品が出荷停止になると、代替薬であるA1医薬品のニーズが高まり品薄になる、そして次なる代替品A2医薬品のニーズが高まり・・・と連鎖していく)。このため医療機関・薬局の責に帰せない事情により「後発品割合を維持・向上することが困難」な状況が生じているのです。

また、医薬品の中には「医療上、必要不可欠である」ものの、薬価が低くなりすぎたために「製造販売が難しくなる」ものがあります。これを放置すれば「医療上、必要不可欠な医薬品が医療現場に届かない」事態に陥ってしまいます。

こうした状況を踏まえ、2024年度の薬価制度改革の一環として「不採算品再算定の特例」が実施されます。

具体的には、不採算品再算定(薬価引き上げ)の原則は「すべての類似薬について条件に該当する場合に限定して実施する」(1つでも対象外となれば他の類似品すべても不適用)ものであるが、深刻な後発品を中心とする供給不安が長引いている状況に鑑み、「乖離率の大きな品目」(2023年度の薬価調査結果において「前回の2022年度調査の平均乖離率7.0%」の全品目を超える乖離率であった品目)を除外したうえで「再算定(引き上げ)を企業が希望する全品目に適用」することとなりました(対象品目について2024年4月1日から薬価を引き上げる)。

●2024年度薬価制度改革における不採算品再算定の対象品目はこちら



今般の事務連絡では、この不採算品再算定の対象となった薬剤に関連して、次の2点を医療現場等に要請しています。

(1)今回、不採算品再算定の適用となった医薬品は、保険医療上の必要性が高いと考えられる品目として製造販売業者から報告されたものであり、その安定供給を継続させていくために「適正な価格で流通する」ことが望まれる

(2)今般、不採算品再算定の適用となった医薬品について2024年4月1日から薬価が改定される(引き上げ)が、これを奇貨として必要量以上の買い込み等が行われると供給不足が発生し、患者に必要とされる医薬品が供給されなくなるおそれがあるため、医薬品の安定供給を確保するため「買い込みは厳に控え、必要量に見合う適切な量を購入する」ことが望まれる



まず(1)は、「卸業者による過度な値引き」「医療機関による過度な値下げ要望」を避けてほしいとの要請と言えます。

不採算品再算定とは「医療上の必要性が高い医薬品であるが、薬価が低くなりすぎ製造販売を維持していくことが難しくなった。供給確保のために薬価を引き上げる」という仕組みです。

にもかかわらず「過度な値引き」が行われたのでは、なんのために薬価を引き上げたのかが分からなくなってしまいます。そこで「適正な価格での流通」が厚労省から注意喚起の意味で要請されているといえます。

この点、今後の薬価調査により「どのような値引きが行われているのか」が明らかになること、上述のように「過去に大幅な値引きをしていた製品」(薬価調査で「薬価」と「実際の販売・購入価格」との乖離率が平均よりも大きなもの)は対象外となったことなども踏まえて、価格交渉に臨む必要があります。



また(2)は「大量購入による抱え込み」を避けてほしいとの要請です。医薬品の供給不安が長引く中で、すべての医療機関・薬局などに強く求められる事項であることは述べるまでもないでしょう。

不採算品再算定は、「医療上の必要性が高い医薬品」が安定して医療現場に供給されることを目指す仕組みです。この趣旨を踏まえて、購入・販売に協力することが重要です。



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