訪問看護の日数・回数等は利用者や家族等の状況に即して個別検討せよ、一律に上限回数まで訪問することなどは認められない—厚労省
2024.10.23.(水)
訪問看護の▼日数▼回数▼実施時間▼訪問する人数—については、訪問看護ステーションの看護師等が訪問時に把握した利用者や家族等の状況に即して、主治医から交付された訪問看護指示書に基づき検討することが求められる—。
このため、▼訪問看護ステーションの看護師等が利用者の個別の状況を踏まえずに一律に訪問看護の日数等を定める▼利用者の居宅への訪問に直接携わっていない指定訪問看護事業者の開設者等が訪問看護の日数等(日数、回数、実施時間、訪問する人数)を定める—ことなどは認められない—。
厚生労働省は10月22日に事務連絡「指定訪問看護の提供に関する取扱方針について」を示し、訪問看護ステーション等にこうした点への留意を求めました。
「訪問看護を受ける者の心身の状況」などに応じた適切な訪問看護提供が必要
訪問看護は医療保険と介護保険の双方にまたがるサービスで、地域の在宅医療提供拠点にとどまらず、「地域包括ケアシステム」(要介護度が高くなっても可能な限り住み慣れた地域で生活できるよう、地域において▼医療▼介護▼予防▼住まい▼生活支援―の各サービスを整備し、それを有機的に結合する体制)の要になると期待されています。
このため診療報酬・介護報酬でも「重度者への対応」や「24時間365日対応」などに力を入れる訪問看護ステーションについて高い評価を行うなど、評価の充実が図られてきています(2024年度診療報酬改定に関する記事はこちら、24年度介護報酬改定に関する記事はこちら)。
また述べるまでもなく、訪問看護は「利用者の状態に応じて適切な回数」のサービス提供を行うことが求められます。例えば医療保険の訪問看護では、▼原則として週に3日以内▼いわゆる別表7(末期がんや重症筋無力症など)・別表8(在宅気管切開患者指導管理を受けている患者、気管カニューレ、留置カテーテルを使用している患者など)などでは制限なし—という具合に、算定日数の上限が設定されています。
しかし、一部に「利用者の状態にかかわらず一律に上限回数までの訪問看護を行う」などの事例があるとの指摘があります(とりわけ精神科訪問看護での過剰訪問が指摘される)。
これでは、貴重な医療保険・介護保険財源が不適切に消費されてしまい、真に訪問看護が必要な利用者へのサービスに支障も出かねません。
事態を重くみた厚労省は、改めて次のような算定ルールを説明。
▽指定訪問看護事業者は、基準省令に従い「訪問看護を受ける者の心身の状況」などに応じて自ら適切な指定訪問看護を提供する
▽基準通知の第三の4「運営に関する事項」の(9)「指定訪問看護の基本取扱方針及び具体的取扱方針」では、以下のように示されている(Gem Med編集部で一部改変)
▼指定訪問看護は、利用者の心身の特性を踏まえて、利用者の療養上、妥当適切に行い、日常の療養生活の充実に資するようにするとともに、漫然かつ画一的なものにならないよう、主治医との密接な連携のもとに看護目標・訪問看護計画に沿って行う
▼指定訪問看護の提供については、目標達成の度合いやその効果等について評価を行うとともに、訪問看護計画の修正を行い、改善を図る等に努めなければならない
こうしたルールに鑑みれば、▼訪問看護ステーションの看護師等が利用者の個別の状況を踏まえずに一律に訪問看護の日数等を定める▼利用者の居宅への訪問に直接携わっていない指定訪問看護事業者の開設者等が訪問看護の日数等(日数、回数、実施時間、訪問する人数)を定める—ことなどは認められません。
厚労省は、訪問看護の▼日数▼回数▼実施時間▼訪問する人数—については、訪問看護ステーションの看護師等が訪問時に把握した利用者や家族等の状況に即して、主治医から交付された訪問看護指示書に基づき検討するよう、訪問看護ステーション等に強く要請しています。
【関連記事】
【2024年度診療報酬改定答申15】重症患者対応に積極的な訪問看護ステーションの評価アップ、逆に消極的な事業所は評価ダウン
【2024年度介護報酬改定1】訪問看護について「専門性の高い看護師による計画的な管理」や「歯科医療機関との連携」を新加算で評価