Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 大学病院本院群を取り巻く現況を解説 ~昨今の特定病院群・標準病院群の経営努力とは~

【2024年度介護報酬改定1】訪問看護について「専門性の高い看護師による計画的な管理」や「歯科医療機関との連携」を新加算で評価

2024.1.22.(月)

2024年度の次期介護報酬改定に向けて、1月22日に開催される社会保障審議会・介護給付費分科会において、新単位数などの諮問が行われます。

●新単位数表などはこちら
●改定内容の全体像はこちら
●改定内容の概要はこちら

「分科会での審議・答申→パブリックコメント募集」を経て、その後に告示公布・通知等発出がなされます。



改定内容は膨大なため、何回かに分けて見ていきます。本稿では「訪問看護」に焦点を合わせます。訪問看護の介護報酬見直しは「本年(2024年)6月1日から施行」されます(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

訪問看護の基本単位数を引き上げ、看護職員の処遇改善を目指す

2024年度介護報酬改定については、昨年(2023年)12月20日の武見敬三厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣の折衝によって、「1.59%のプラス改定を行い、このうち0.98%は「介護職員等の処遇改善」に充てられ、残り0.61%が「実質的な本体プラス」部分となる。なお、この0.61%の中で「看護職員やケアマネジャーなどの処遇改善」対応を行うなどの方針が固められました。

「+0.98%」分は介護職員等の処遇改善に充てられ、3加算の1本化などの効果も踏まえて「2024年度にベースアップ分で2.5%の賃上げ、25年度に同じく2.0%の賃上げを行う」を目指します。

一方、訪問看護ステーションやケアマネ事業所などは「処遇改善加算の対象外」であることから、「0.61%の『実質的な本体プラス』部分の中で処遇改善に対応する」ことになります。具体的には「基本単位数引き上げ」を行い、各事業所がこの増収分をもとに「看護職員やケアマネジャーの処遇改善」を行うなどの対応が考えられます。

1月22日の介護給付費分科会には、訪問看護・介護予防訪問看護について次のような基本単位数引き上げを行う考えが厚生労働省老健局老人保健課の古元重和課長から提案されました。

【指定訪問看護ステーション】
●訪問看護

▽20分未満:(現行)313単位 → (改定後)314単位
▽30分未満:(現行)470単位 → (改定後)471単位
▽30分以上1時間未満:(現行)821単位 → (改定後)823単位
▽1時間以上1時間以上:(現行)1125単位 → (改定後)1128単位
▽理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の場合:(現行)293単位 → (改定後)294単位

●介護予防訪問看護
▽20分未満:(現行)302単位 → (改定後)303単位
▽30分未満:(現行)450単位 → (改定後)451単位
▽30分以上1時間未満:(現行)792単位 → (改定後)794単位
▽1時間以上1時間以上:(現行)1087単位 → (改定後)1090単位
▽理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の場合:(現行)283単位 → (改定後)284単位

【病院・診療所1】
●訪問看護

▽20分未満:(現行)265単位 → (改定後)266単位
▽30分未満:(現行)398単位 → (改定後)399単位
▽30分以上1時間未満:(現行)573単位 → (改定後)574単位
▽1時間以上1時間以上:(現行)842単位 → (改定後)844単位

●介護予防訪問看護
▽20分未満:(現行)255単位 → (改定後)256単位
▽30分未満:(現行)381単位 → (改定後)382単位
▽30分以上1時間未満:(現行)552単位 → (改定後)553単位
▽1時間以上1時間以上:(現行)812単位 → (改定後)814単位

【定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と連携する場合】
▽1か月につき:(現行)2954単位 → (改定後)2961単位

専門研修を受けた看護師による計画的な管理、歯科医療機関との連携を新加算で評価

訪問看護については、介護給付費分科会において次のような加算等の見直し方針も固められており、例えば次のような新加算創設・加算単位数引き上げが行われます(ほかの見直しも行われ、別稿でも紹介します)。

まず介護保険の訪問看護利用者において、▼「新生物」「神経系の疾患」「循環器系の疾患」「筋骨格系・結合組織の疾患」といった重度の医療ニーズを抱える者が増えている▼褥瘡処置や人工肛門等の管理、終末期の緩和ケア等が実施されている—点に鑑み、次のような新加算が創設されます。

▽一定の要件を満たす訪問看護事業所において「緩和ケア、褥瘡ケア、人工肛門ケア、人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師」「特定行為研修を修了した看護師」が訪問看護実施に係る計画的な管理を行うことを、新たに【専門管理加算】(1か月当たり250単位)として評価する
▼緩和ケア、褥瘡ケア、人工肛門ケア、人工膀胱ケアに係る専門研修を受けた看護師が計画的管理を行う場合の対象者
・悪性腫瘍の鎮痛療法または化学療法を行っている利用者
・真皮を越える褥瘡の状態にある利用者
・人工肛門または人工膀胱を造設している者で管理が困難な利用者

▼特定行為研修を修了した看護師が計画的管理を行う場合の対象者
・診療報酬における手順書加算を算定する利用者
・対象の特定行為:気管カニューレの交換、胃ろうカテーテル、腸ろうカテーテル、胃ろうボタンの交換、膀胱ろうカテーテルの交換、褥瘡または慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去、創傷に対する陰圧閉鎖療法、持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整、脱水症状に対する輸液による補正



また、▼訪問看護の看取りニーズ等が増加している▼利用者死亡前14日間のケア内容を見ると、介護保険・医療保険の訪問看護で同様であるが、評価が異なる(医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費(2万5000円)>介護保険のターミナルケア加算(2000単位)▼診療報酬では「離島等での死亡診断について、ICTを活用して訪問看護師が補助した場合の評価」がなされている(遠隔死亡診断補助加算:1500円)—点を踏まえ、介護保険の【ターミナルケア加算】(現行2000単位)を「2500単位」に引き上げられます。



他方、訪問看護スタッフが利用者の口腔状態を確認し、「歯科専門職による適切な口腔管理の実施」につなげる観点から、次のような要件を満たす訪問看護ステーションにおいて【口腔連携強化加算】(1か月に1回50単位)が新設されます。

【要件】
▽訪問看護ステーションのスタッフが、利用者の口腔の健康状態の評価を実施し、利用者の同意を得て、「歯科医療機関およびケアマネジャーに対し当該評価結果を情報提供」する

▽上記評価に当たり、診療報酬の歯科点数表C000【歯科訪問診療料】の算定実績がある歯科医療機関の歯科医師、または当該歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、訪問看護ステーションからの相談等に対応する体制を確保し、その旨を文書等で取り決めている



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

【関連記事】

2024年度介護報酬改定に向け一足先に「人員配置基準」改正了承、介護施設等と医療機関の「中身ある連携」義務—社保審・介護給付費分科会
II型の介護医療院、療養型・その他型の老健施設で「2025年8月」から月額8000円程度の室料負担—社保審・介護給付費分科会
2024年度介護報酬改定、プラス1.59%改定+αで「介護職員処遇改善」を強力推進、訪問看護やケアマネにも配慮—武見厚労相(2)
2027年度介護報酬改定に向け高齢者施設等・医療機関連携の強化、人員配置基準の柔軟化など継続検討を—社保審・介護給付費分科会(2)
2024年度介護報酬改定、居宅療養管理指導・訪問看護・訪問リハ・通所リハは6月施行、他は4月施行に分断—社保審・介護給付費分科会(1)
老健施設・介護医療院で「入所者に室料負担」を課すべきか否か、政治の場で検討・決着へ—社保審・介護給付費分科会(5)
介護事業所の感染症・看取り対応力強化を介護報酬で推進、LIFEデータ利活用で「介護の質」向上につながる—社保審・介護給付費分科会(4)
認知症の行動・心理症状(BPSD)発生予防の取り組み評価、リハ・栄養・口腔の一体的取り組みさらに推進―社保審・介護給付費分科会(3)
先駆的特定施設の「人員配置基準の緩和」をどのような要件下で認めるか、ケアマネの担当者上限数引き上げ―社保審・介護給付費分科会(2)
介護保険施設等は「在宅医療提供、在宅療養支援を行う医療機関」などと中身のある連携関係構築を急ぎ進めよ―社保審・介護給付費分科会(1)
介護施設等に「医療機関との実のある協力関係」「安全・ケア質確保、負担軽減」検討委員会設定など義務化—社保審・介護給付費分科会(2)
「介護医療院」と「療養型・その他型の老健施設」、一定所得以上の入所者に多床室の「室料負担」求めては—社保審・介護給付費分科会(1)
見守り機器導入する老健施設等でも夜間人員基準緩和、介護施設等で「生産性向上」委員会設置を義務化へ—社保審・介護給付費分科会(2)
3種類の介護職員処遇改善の加算を【新加算】に一本化、加算額の一定割合を月額賃金に充当—社保審・介護給付費分科会(1)
ADL維持等加算などを「患者の状態改善」により資する内容に見直す、BCP未策定事業所等で介護報酬減算—社保審・介護給付費分科会(3)
介護保険施設等に「医療機関と連携した感染症対応力強化」の努力義務、実際の連携強化を介護報酬で評価—社保審・介護給付費分科会(2)
認知症高齢者の行動・心理症状(BPSD)を未然にチームで防ぐ取り組みを行う介護施設などを新加算で評価へ—社保審・介護給付費分科会(1)
介護保険施設等と医療機関との「中身のある連携・協力関係を構築する」ために、協力医療機関要件を厳格化—社保審・介護給付費分科会(2)
老人保健施設の在宅復帰機能・リハ機能・看取り機能・医療ニーズ対応・ポリファーマシー対策等を強化せよ—社保審・介護給付費分科会(1)
診療所の良好な経営状況に鑑み、2024年度診療報酬改定では「診療所は5.5%のマイナス改定」が妥当!―財政審建議
訪問介護の「同一建物減算」を厳格化すべきか?訪問介護+通所介護の新複合型サービスを創設すべきか?—社保審・介護給付費分科会(5)
訪問リハビリでも、「医療保険リハビリとの連携」強化を図り、「認知症リハビリ」実施を新たに評価へ—社保審・介護給付費分科会(4)
より質の高いケアマネジメントを推進しながらケアマネ業務の負担軽減目指す、同一建物減算を導入すべきか—社保審・介護給付費分科会(3)
介護保険の訪問看護、重度者対応・看取り対応・24時間365日対応などの機能強化をさらに推進—社保審・介護給付費分科会(2)
介護職員の3つの処遇改善を一本化、職場環境等要件も改善し「より働きやすい環境」構築—社保審・介護給付費分科会(1)
医療ショートを「高齢の軽症救急」搬送先の1つに、ショートステイでの看取り対応評価・長期利用是正進める—社保審・介護給付費分科会(3)
通所リハ、「入院中のリハ計画書入手」など義務化、質の高いリハ行う大規模事業所は高い報酬に—社保審・介護給付費分科会(2)
通所介護の入浴介助加算、安全確保のために「研修受講」義務化、重度者を多く受ける療養通所介護を高く評価—社保審・介護給付費分科会(1)
看多機に「利用頻度が少ない利用者向けの低い報酬」を設定、小多機の「認知症対応力強化」をさらに推進—社保審・介護給付費分科会
2024年度介護報酬改定では「介護人材確保」が最重要ポイント、介護経営安定と制度安定のバランスも鍵—社保審・介護給付費分科会(2)
介護報酬改定の施行時期、「4月を維持」すべきか、「診療報酬と合わせ6月施行」とすべきか—社保審・介護給付費分科会(1)
2024年度介護報酬改定、小規模事業所のBCP策定や老健の高額薬剤使用等もポイント、認知症研修は極めて有用―介護給付費分科会・研究委員会
介護職員の加算、算定率の高いものは基本報酬に組み入れ、著しく低いものは背景を踏まえ廃止も含めた検討進める—社保審・介護給付費分科会
介護職員の処遇改善、ICT・介護助手活用による生産性向上、サービスの質を確保した上での人員基準柔軟化など検討—社保審・介護給付費分科会
認知症対策、介護サービスの質向上目指すLIFE、医療介護連携、とりわけ医療・介護間の情報連携等を強力に推進—社保審・介護給付費分科会
特定施設入居者生活介護の医療対応力・看取り対応力強化のために、どのような方策が考えられるのか—社保審・介護給付費分科会(5)
一部の特養ホームで「緊急時はすべて救急搬送する」事態も、特養入所者への医療提供をどう確保していくべきか—社保審・介護給付費分科会(4)
老健施設の「在宅復帰・在宅療養支援機能の更なる強化」を2024年度介護報酬改定でも目指す—社保審・介護給付費分科会(3)
介護医療院は医療施設だが「肺炎による医療機関転院」も生じている、さらなる医療・介護力強化が重要課題を—社保審・介護給付費分科会(2)
要介護者に適切な医療提供が行え、医療サイドに生活情報が伝わるよう、中身のある医療・介護連携推進を—社保審・介護給付費分科会(1)
介護保険の要となる「ケアマネの確保、ケアマネ事業所の安定経営」、訪問介護人材の確保にどう対応すべきか—社保審・介護給付費分科会(2)
訪問看護と訪問リハビリの役割分担を明確化、リハビリ専門職による訪問看護をさらに適正化—社保審・介護給付費分科会(1)
介護保険リハビリのアウトカム評価をどう考えていくか、高齢者は「リハビリ効果出にくい」点考慮を—社保審・介護給付費分科会(2)
通所サービスの介護報酬大規模減算は「事業所等の大規模化」方針に逆行、一般通所介護でも認知症対応力向上—社保審・介護給付費分科会(1)
認知症グループホームでの「医療ニーズ対応」力強化をどう図るか、定期巡回と夜間訪問との統合は2027年度目指す—社保審・介護給付費分科会
2024年度介護報酬改定論議スタート、地域包括ケアシステム深化・介護人材確保などがサービス共通の重要論点—社保審・介護給付費分科会
介護ロボット・助手等導入で「質を下げずに介護従事者の負担軽減」が可能、人員配置基準緩和は慎重に—社保審・介護給付費分科会(2)

日常診療・介護の中で「人生の最終段階に受けたい・受けたくない医療・介護」の意思決定支援進めよ!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
訪問看護の24時間対応推進には「負担軽減」策が必須!「頻回な訪問看護」提供への工夫を!—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
急性期入院医療でも「身体拘束ゼロ」を目指すべきで、認知症対応力向上や情報連携推進が必須要素—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
感染対策向上加算の要件である合同カンファレンス、介護施設等の参加も求めてはどうか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
要介護高齢者の急性期入院医療、介護・リハ体制が充実した地域包括ケア病棟等中心に提供すべきでは—中医協・介護給付費分科会の意見交換