アトピー性皮膚炎治療に用いる「レブリキズマブ」(イブグリース皮下注)を在宅自己注射指導管理料の対象へ追加—厚労省
2025.5.7.(水)
アトピー性皮膚炎治療に用いる「レブリキズマブ」(イブグリース皮下注)を在宅自己注射指導管理料の対象へ追加する—。
厚生労働省は4月30日に通知「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等の一部改正等について」を発出し、こうした点を明確にしました(厚労省サイトはこちら)。5月1日から適用されています。
アトピー性皮膚炎患者の「薬剤注射のための頻回通院」負担を軽減する狙い
例えば「糖尿病におけるインスリン製剤注射」のように頻回な接種が必要となる注射療法については、その都度に医療機関を受診し、医師から注射を受けることは非現実的です。
そこで、医師が注射の実施方法や留意点などを指導したうえで、患者が「自宅等で自分自身で注射する」仕組みが設けられています。
もっとも、自己注射による健康被害のリスクを最小限にするために、▼医師による「患者が薬剤を自己注射するにあたって必要な留意点などの指導管理」をC101【在宅自己注射指導管理料】などで経済的に評価する▼対象薬剤(注射薬剤)を厚生労働大臣が「患者が自己注射しても有効性・安全性が確保されるもの」に限定する—といった配慮も行われています。
在宅自己注射指導管理料の対象薬剤は、「関連学会等が、ガイドライン等で在宅自己注射を行うことについての診療上の必要性が確認されている」などの要件に合致しているかを中央社会保険医療協議会で確認したうえで追加されていきます。
この点、4月9日の中央社会保険医療協議会・総会では、次の医薬品を在宅自己注射指導管理料の対象薬剤へ追加することを承認しました(関連記事はこちら)。
▽既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎の治療に用いる「レブリキズマブ(遺伝子組換え)」(販売名:イブグリース皮下注250mgオートインジェクター、同皮下注250mgシリンジ)
頻回投与が必要な注射剤について、その都度、医療機関を受診しなければならないとなれば、患者の身体的、経済的負担、時間的損失(通院や待ち時間等)が生じ、また医療従事者の負担も大きくなります。本剤についても、日本皮膚科学会、日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会が「本剤は2週間から4週間に1回の皮下投与が必要であり、頻回かつ長期の外来通院にかかる患者負担軽減等を図るべき」旨を要望しており、中医協がこの要望を受け入れたものです。
この中医協決定を受け、今般の通知では次のような点を明確にしています。
▽診療報酬点数の解釈通知について次のように一部見直しを行う
▼医科点数表の解釈通知(別添1)において、C200【薬剤】(在宅自己注射指導管理料で算定可能な薬剤)に「レブリキズマブ製剤」を追加する
▼調剤点数表の解釈通知(別添3)において、「区分01」(薬剤調製料)の(5 注射薬)のうち「在宅医療における自己注射等のために投与される薬剤」、別表2、別表3に「レブリキズマブ製剤」を追加する
▽特掲診療料の施設基準における「在宅自己注射指導管理料、間歇注入シリンジポンプ加算、持続血糖測定器加算、注入器用注射針加算に規定する注射薬」(別表第9)に「レブリキズマブ製剤」を追加する
▽療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等の第10「厚生労働大臣が定める注射薬等」の第1号「療担規則第20条第2号ト及び療担基準第20条第3号トの厚生労働大臣が定める保険医が投与することができる注射薬」に「レブリキズマブ製剤」を追加する
(参考)
▼療担規則第20条第2号トおよび療担基準第20条第3号ト(Gem Med編集部で一部改変)
「注射薬は、患者に療養上必要な事項について適切な注意・指導を行い、厚生労働大臣の定める注射薬に限り投与することができることとし、その投与量は、症状の経過に応じたものでなければならず、厚生労働大臣が定めるものについては当該厚生労働大臣が定めるものごとに1回14日分、30日分または90日分を限度とする」
▽掲示事項等告示の一部改正に伴う留意事項について
▼イブグリース皮下注250mgオートインジェクター、同皮下注250mgシリンジ
(1)本製剤はレブリキズマブ製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、C101【在宅自己注射指導管理料】を算定できる
(2)本製剤は針付注入器一体型のキットであるため、C101【在宅自己注射指導管理料】を算定する場合、C151【注入器加算】およびC153【注入器用注射針加算】は算定できない
【関連記事】
2026年度診療報酬改定、物価急騰等により医療機関経営が窮迫するなど従前の改定時とは状況が大きく異なる—中医協総会(1)