一般病床数が前月から1299床の大幅減、今後の動向に注目集まる―医療施設動態調査(2016年2月)
2016.4.28.(木)
今年1月末から2月末にかけて、病院の一般病床数は1299床減少し、無床の診療所(クリニック)も23施設減少した―。このような状況が、厚生労働省が毎月公表している医療施設動態調査から明らかになりました。
一般病床数の大幅減の要因分析が待たれます。
有床診は月間39施設程度のペースで減少、2017年10月には7000施設割れか
厚生労働省は毎月、全国の病院・診療所の増減を「医療施設動態調査」として公表しています。
今年(2016年)2月末の医療施設総数は、全国で17万8303施設。前月に比べて3施設増加しました。内訳を見ると、病院は2施設減(一般病院が2施設減少)、診療所は8施設増加、歯科診療所は3施設減少しています。
特に、有床診療所は前月から23施設減っており、減少傾向に歯止めはかかっていません。
また、前月には無床診療所の増加がストップしたように見えましたが、2月には31施設増加しており、長期的な動向を把握する必要がありあそうです。
病院は8469施設で、前月から2施設減少しました。種類別に見ると、一般病院が7406施設で2施設減少、精神科病院は1063施設で前月から増減なしです。
一般病院の中で、療養病床を持つ病院は3843施設(前月から2施設増)、地域医療支援病院は507施設(前月から2施設増加)という状況です。
ここ1年間における有床診療所の減少ペースを見ると、▽2015年1月→2月:26施設減▽15年2月→3月:41施設減▽15年3月→4月:48施設減▽15年4月→5月:99施設減▽15年5月→6月:23施設減▽15年6月→7月:24施設減▽15年7月→8月:17施設減▽15年8月→9月:29施設減▽15年9月→10月:34施設減▽15年10月→11月:22施設減▽15年11月→12月:41施設減▽15年12月→2016年1月:30施設減―となっており、1年間で463施設、1か月平均で39施設減少している計算です(ただし2016年6月分までは後に再計算されている)。
このペースが続けば20か月後、つまり来年(2017年)10月には有床診療所数は7000施設を切ると考えられます。
2016年度の診療報酬改定には、▽在宅復帰機能強化加算の新設(1日につき一般では5点、療養では10点)▽在宅復帰機能強化加算を届け出ている病院を7対1病院などからの在宅復帰先に追加▽夜間看護配置加算の評価充実(加算1、加算2ともに5点引き上げ)▽在宅医療関係の報酬充実―など有床診の経営を支える項目もあり、4月からの状況に注目したいところです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。
病院の一般病床数は緩やかな減少傾向、有床診のベッド数は来春にも10万床割れ
病床数に目を移すと、2016年1月末の全病床数は166万9342床で、前月から1432床の大幅減となりました。
このうち病院の病床数は156万3619床で、前月に比べて1141床減少しています。種類別に見ると、一般病床は前月から1299床減少して89万1657床に、療養病床は56床増加して32万8958床となりました。
ここ半年間の一般病床数の動向を見ると、▽15年7月:89万4337床(同18減)▽15年8月:89万3855床(同305減)▽15年9月:89万3970床(同115増減)▽15年10月:89万3886床(同84減)▽15年11月:89万3508床(同378減)15年12月:89万3682床(同174増)▽2016年1月:89万2956床(同726減)―と若干の増減を繰り返しながら、大きな減少傾向にあることが分かります(関連記事はこちら)。
平均在院日数の短縮や、入院医療の外来シフトが進む中で、長期的に見て一般病床数がどのように変化していくのか、今後の状況を注視する必要があります。
また有床診療所の病床数は前月から291床減少し、10万5649床となりました。こちらはも、来春(2017年春)には10万床を切ることになりそうです。
【関連記事】
病院の一般病床数が前月から726床減少、無床のクリニックも減少―医療施設動態調査(2016年1月)
有床診の減少止まらず7864施設に、2016年度診療報酬改定の効果のほどは?―医療施設動態調査(15年12月)
有床診の減少止まらず、2015年11月には7905施設・10万6890床に―医療施設動態調査(15年11月)
有床診の減少、依然続く、2015年10月には7927施設・10万7210床に―医療施設動態調査(15年10月)
有床診の減少止まらず、2016年度改定での対応に注目集まる―医療施設動態調査(15年9月)
有床診療所、ついに8000施設を切る―医療施設動態調査(15年8月)
【16年度改定答申・速報1】7対1の重症患者割合は25%で決着、病棟群単位は18年3月まで―中医協総会
【16年度改定答申・速報2】専従の退院支援職員配置など評価する「退院支援加算1」、一般600点、療養1200点―中医協総会
2016年度診療報酬改定、実は「小児医療の見直し」が大きなポイント―中医協総会
2016年度診療報酬改定、要介護高齢者などの目標設定支援などしなければ、疾患別リハ料を減算―中医協総会
2016年度改定、内視鏡用いる手術の保険適用を拡大し、一部の重粒子線治療を保険収載―中医協総会