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GemMed塾 ミニウェビナー DPC委員会のありかたとは?

「新専門医の定数枠」方向性は正しいが時間がかかる、1年延期し諸課題の解決を―全自病・邉見会長

2016.5.19.(木)

 新専門医制度のあり方について議論する検討会の永井委員長が示した、「過去の専門医の採用実績をベースに、新専門医の地域別・診療科別の定数枠を設定していく」という試案。方向性は正しいが、精緻に設定するためには時間がかかる。少なくとも1年間は新専門医の養成を延期するべきである―。

 全国自治体病院協議会の邉見公雄会長は、18日の定例記者会見で改めてこのように強調しています(関連記事はこちら)。

5月18日の定例記者会見に臨んだ、全国自治体病院協議会の邉見公雄会長

5月18日の定例記者会見に臨んだ、全国自治体病院協議会の邉見公雄会長

地域医療構想やNDB用いれば、精緻に地域別・診療科別の専門医定数枠を設定できる

 「専門医の認定と、養成プログラムの認証を公正中立な第三者機関で統一して行い、全体として医療の質を向上させる」ことを目指す新専門医制度は、来年(2017年)4月から新専門医の養成がスタートする予定です。

 しかし、医療現場からは「地域の医師偏在を助長する可能性が高い」との強い批判があり、社会保障審議会・医療部会の下に「専門医養成の在り方に関する専門委員会」を設け、偏在をストップし、改善するための方策が検討されています(関連記事はこちら)。

 4月27日に開催された専門委員会では、永井良三部会長(自治医科大学学長)から▽過去3年間の専門医採用実績の1.1-1.2倍を日本全国の定員枠とする▽都市部以外の道県に対してより配慮した都道府県・診療領域別の定員枠を設定する―といった偏在是正に向けた試案が提示されました。

 この試案について邉見会長は18日、「試案の方向性は正しい」と強調した上で、「定員枠をきちんと設定するには時間がかかる。『えいや』っと定数枠を設定するよりも、1年間新専門医の養成開始を延期し、指摘されている課題・疑問を1つ1つつぶして良い制度でスタートしたほうが良い」と指摘します。

 地域医療構想では、地域における2025年時点の▽高度急性期▽急性期▽回復期▽慢性期―といった機能別のベッド数が決まります。ベッド数が決まれば、必要な医師数を算出できます。さらに、DPCデータやNDB(National Data Base)を活用すれば手術件数なども見えてきます。これらをベースに「地域で、どの診療科に何人の専門医が必要とされているのか」(需要)を精緻に計算すれば、専門医をどれだけ養成・配置すればよいか(供給)を需要とのミスマッチなく算出できます。

 しかし、こうした精緻な計算には時間がかかるため、「延期したほうがよい」邉見会長は指摘しているのです。

 また邉見会長は、「現在、都道府県では地域医療構想の策定が進められるなど、さまざまな医療提供に関する仕組みが変わろうとしている。そうした状況を見てから、新専門医制度を動かしても、少しも遅くはない」との考えも述べました。

 来年4月から専攻医(新専門医を目指す医師)となるのは、主に「現在の初期臨床研修2年目の医師」となるでしょう。邉見会長は「彼らも新専門医制度がどうなるのかを心配している。腰が据わらない制度よりも、1年間ゆっくり検討し、良い制度でスタートしたほうが良い」と強調しています。

自治体病院の開設者である知事や市町村長も「地域医療崩壊」を懸念

 新専門医制度については、自治体病院を開設する都道府県の知事や市町村の首長も「専門医が一部都市の大規模病院に集中し、医師確保に困難を極めている地域医療の苦境を助長し、結果として地域医療の崩壊を招く」といった懸念を持っているようです。

 全国自治体病院開設者協議会(自治体病院を開設する都道府県の知事や市町村の首長で構成される組織、会長は西川一誠・福井県知事)と全自病は17日、「新専門医制度への慎重な検討・対処、偏在是正対策の実施」などを11項目の要望書を、厚生労働省や総務省に提出しています。

 また兵庫県の井戸敏三知事ら、関西地方の12名の知事・市長で構成される関西広域連合も、新専門医制度について(1)公立病院を基幹施設に位置付ける(2)日本専門医機構(新専門医の認定などを行う第三者機関)の運営に自治体病院などの代表者を参画させる(3)制度開始までに地域医療に及ぼす影響などの諸課題を解決する―といった3つの具体的な改善意見を17日に取りまとめています。

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