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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

多職種チームによるポリファーマシー対策で、医療の質・経営の質が向上―HITO病院

2019.9.17.(火)

愛媛県四国中央市にある社会医療法人石川記念会HITO病院(257床)では、病院一丸となって患者の減薬に取り組んでいます。高齢者の医薬品多剤服用が問題となるなか、ポリファーマシー対策の最前線を紹介します(関連記事はこちらこちらこちら)。

減薬チーム発足のきっかけ

 HITO病院がある宇摩医療圏の人口は約8万5000人。高齢化率は30.2%で全国平均より高く、入院患者の約75%を65歳以上が占めます。長年にわたって医療機関にかかるうちに服用する薬の種類が増えてしまった患者が入院してくることも多く、持参薬の鑑別をする薬剤師や、病棟で服薬管理をする看護師の業務負担も大きくなっていました。一方、高齢者は多くの疾患を併発しており、ベストな治療法も、その治療に対する反応も患者個人によって大きく異なります。そこで、石川賀代理事長の声掛けで、「単に薬剤数を減らすのではなく、適切な薬物療法を提供し、その結果として薬剤数を減らす」ことを目的としたチーム「Team Against Polypharmacy(TAPP)」を2018年10月に発足させました。

取り組み成功のカギは「チーム医療」

 TAPPには、リーダーである循環器内科医師を中心に、薬剤師・看護師・療法士・管理栄養士が参加しています。週1回のカンファレンスで、対象薬剤を服用している患者に対しTAPPの介入必要性を議論し、必要であれば主治医に提案を行います。主治医から介入への同意が得られれば、TAPPメンバーを中心に多職種での介入を行います。介入の結果は必ず評価し、カンファレンスで共有します。

カンファレンスの様子

 

薬剤総合評価調整加算の算定率は全国でトップレベルに!

 TAPPが活動を開始してから徐々に介入件数が増え、現在では1か月に約23件の介入実績があります。この取り組みを評価するA250【薬剤総合評価調整加算」の算定率は、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)にデータを提供する急性期616病院のなかで1位です。今後はより多くの病院での算定拡大が望まれます。

HITO病院は、薬剤総合評価調整加算において、GHCへのデータ提供病院の中でトップの算定率を誇る

 

これからの課題、目指す姿

 HITO病院薬剤部の近藤祥代部長は、「多職種で構成されたTAPPを結成し、適切な薬物療法を提供するという目的を掲げて活動した結果、医療の質だけでなく、【薬剤総合評価調整加算】の算定件数増加という経営の質向上にもつなげることができました。また、退院時の情報提供を綿密に行うことで、地域連携の強化と発展も期待できます。今後は、ICT(情報通信技術)を活用して、医療機関・介護施設・保険薬局と情報共有を行い、ポリファーマシーの是正を目指していきたいです」と今後の展望を述べています。

多職種の参画が成功のカギ!

 
 
 

 

MW_GHC_logo

 

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