Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ zero

2019年9月の後発品割合、調剤に医科やDPC等含めると76.9%、80%クリアは2021年3月見込み―協会けんぽ

2020.2.5.(水)

協会けんぽにおけるジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、昨年(2019年)9月末時点で、調剤ベースでは79.9%となったが、医科・DPC・歯科分を加味すると76.9%。現行のペースが続けば、政府目標の「80%以上」達成は2021年3月末となり、「2020年9月」の期限内達成は依然として困難―。

こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が2月3日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。

協会けんぽ全体、調剤ベースでは既に「後発品割合80%以上」達成か

「医療技術の高度化」(代表的なものとして超高額な白血病等治療薬「キムリア」の保険適用などがあげられる)や「高齢化の進展」などにより医療費は増加を続けています。そうした中で、2022年度からいわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度に全員が75歳以上に到達することから、今後、さらに急速に医療費が増加していくことが確実です。その後、2040年度にかけて高齢者の増加ペースそのものは鈍化しますが、支え手となる現役世代人口が急速に減少していきます。

「少なくなる支え手」で「増加する高齢者」を支えなければならず、公的医療保険制度の財政基盤は極めて脆くなっていきます。

こうした状況の下では、「医療費の伸びを我々国民の負担できる水準に抑える」(医療費適正化)ことが不可欠です。政府は、例えば▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化(現在、DPCでも出来高でも1日当たりの支払いとなっているため)▼後発医薬品(ジェネリック医薬品、後発品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼医療機能の分化と連携の強化▼地域差(ベッド数、受療率、平均在院日数など)の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度から医療費適正化に向けて取り組んでいます。

後発品に関しては、政府が▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標を設定し、使用推進が促されています。

主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する「協会けんぽ」の運営者である全国健康保険協会でも、かねてより積極的に後発品使用促進に取り組んでいます。医療機関を受診し、医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴殿の医薬品を先発品から後発品に切り替えた場合、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出したり、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています。2月3日には、昨年(2019年)9月末の後発品使用割合を公表しました(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら、さらにその前月の状況はこちら)。

協会けんぽ全体(日本全国)の後発品使用割合(新指標、調剤分)を見ると、前月(2019年8月)末から0.3ポイント増加し、数量ベースで79.9%となりました。第2目標「80%以上」達成まで「ほんの僅か(0.1ポイント)」という状況です。

直近1年間(2018年10月(77.5%)から2019年9月(79.9%))では、単純計算で「1か月当たり0.22ポイント」のペースで後発品割合が上昇していることになります。このペースが継続すると仮定した場合、計算上は、第2目標「80%」クリアは昨年(2019年)10月末となり(前月までと同じいペース)、すでに現時点で調剤に関しては第2目標が達成していると考えられます。

ただし、昨年初頭には、後発品割合が一時的に低下している時期もあり、そうした状況に陥っていないかしっかりと見ていく必要があります。

調剤および全体の後発品割合(協会けんぽの後発品割合(19年9 月)1 200203)

医科・DPC・歯科を加味すると、80%クリアは2021年3月の見込み

一方、調剤分に「医科・DPC・歯科」分を加えた後発品割合は、昨年(2019年)9月末時点で76.9%にとどまっています(前月から0.3ポイント増)。

さらに都道府県別に見ると依然として大きなバラつきがあり、「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が最も高いのは沖縄県の87.4%(前月末から0.2ポイント上昇)、逆に最も低いのは徳島県で67.0%(同0.4ポイント上昇)となりました。

このほか、「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が高いのは、▼岩手県の82.8%(同0.4ポイント上昇)▼鹿児島県の82.4%(同0.2ポイント上昇)▼山形県の81.0%(同0.5ポイント上昇)▼宮城県の80.7%(同0.4ポイント上昇)▼島根県の80.2%(同0.2ポイント上昇)▼佐賀県の80.1%(同0.4ポイント上昇)▼宮崎県の80.0%(同0.2ポイント上昇)―などで、80%を超える自治体が増えてきています。

都道府県別の後発品割合(協会けんぽの後発品割合(19年9 月)2 200203)



前述のとおり「調剤」ベースでは「80%以上クリア」は目前となっていますが、「医科・DPC・歯科」を合わせると、「80%クリア」までには3.1ポイントの開きがあります。一昨年(2018年)12月末(75.3%)から昨年(2019年)9月末(76.9%)まで、単純計算で「1か月当たり0.18ポイント」のペースで後発品割合が上昇している計算です。このペースがその後も続くとすれば、計算上「80%以上クリア」は2021年3月末となってしまいます(前月までよりも2か月早いペース)。今後、さらなる後発品使用推進に向けた取り組みを強化していく必要があります。



病院ダッシュボードχ zeroMW_GHC_logo

 

【関連記事】

2019年8月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.6%、期限内の80%達成は依然困難―協会けんぽ
2019年7月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.5%、期限内の80%達成は難しい―協会けんぽ
2019年6月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.3%、期限内の80%達成は困難―協会けんぽ
2019年5月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.3%で「80%達成」には時間かかる―協会けんぽ
2019年4月の後発品割合、数量ベース79.1%、医科等も含めると76.1%、「足踏み」続く―協会けんぽ
2019年3月の後発品割合は78.9%、2019年に入ってからの「足踏み」続く―協会けんぽ
2019年2月の後発品割合は78.9%、前月から0.2ポイント低下―協会けんぽ
2019年1月の後発品割合は79.1%、80%クリアは沖縄・鹿児島など20道県―協会けんぽ
2018年11月の後発品割合は78.1%、80%クリアは沖縄・鹿児島など12県に増加―協会けんぽ
2018年10月の後発品割合は77.5%、80%クリアは沖縄・鹿児島・岩手・宮崎・山形・宮城・佐賀・長野の8県―協会けんぽ
2018年9月の後発品割合は76.9%、80%以上クリアは沖縄・鹿児島・岩手・宮崎・山形・宮城の6県に増加―協会けんぽ
2018年8月の後発品割合は76.5%と再上昇、80%以上クリアは沖縄・鹿児島・岩手で変わらず―協会けんぽ
2018年7月の後発品割合は76.2%に低下、「足踏み」となっていないか、今後の状況を注視―協会けんぽ
2018年6月の後発品割合は76.3%、徳島県のみ「70%」に到達せず―協会けんぽ
2018年5月の後発品割合は76.0%、都道府県別の最高は沖縄の85.9%―協会けんぽ
2018年3月の後発品割合75.0%、80%以上の自治体は沖縄・鹿児島・岩手の3県―協会けんぽ
2018年2月の後発品割合74.6%、都道府県別では沖縄の84.3%が最高―協会けんぽ
2018年1月の後発品割合74.3%、70%未達は徳島、山梨など3県に減少―協会けんぽ
2017年12月の後発品割合72.7%、70%未達は徳島、山梨など4県に減少―協会けんぽ
2017年11月の後発品割合72.0%で前月から大幅増だが、さらなる注視が必要―協会けんぽ
2017年10月の後発品割合71.1%、「伸び悩み」から脱せず―協会けんぽ
2017年9月の後発品割合71.2%、上昇傾向だが「80%以上」に向けて強力な対策必要―協会けんぽ
診療報酬ネットマイナス改定で収支920億円改善―協会けんぽ

2017年7月の後発品割合70.1%、前月から0.8ポイントもダウン―協会けんぽ
2017年6月の後発品割合70.9%、第1目標クリアするも深刻な伸び悩み―協会けんぽ
2017年5月の後発品割合70.7%、第1目標クリアするも、依然伸び悩み―協会けんぽ
2017年4月の後発品割合70.6%だが伸び悩み、第2目標「80%以上」にどう取り組むか―協会けんぽ
2017年2月の後発品割合は前月から0.1ポイント下がり70.5%、頭打ちか―協会けんぽ
2017年1月の後発品割合70.6%、32道県で70%クリア―協会けんぽ
2016年12月の後発品割合69.8%、次のターゲットは「80%以上」の第2目標に―協会けんぽ
2016年11月の後発品割合69.4%、政府目標70%達成はすでに達成か―協会けんぽ
後発品割合68.8%、政府目標の70%までわずか1.2ポイントに迫る―協会けんぽ2016年10月
後発品割合は68.3%に上昇、増加ペースが維持されれば2017年3月に70%超―協会けんぽ2016年9月
後発品割合67.5%に上昇したが、2016改定後に伸び率鈍化―協会けんぽ2016年7月
後発品使用割合67.3%、政府目標の70%まであと一歩―協会けんぽ2016年6月
後発品使用割合64.5%、毎月1ポイント上昇のペース続けば今夏にも70%に―協会けんぽ2016年2月
後発品使用割合61.4%、「17年央に70%」の目標は達成可能か―協会けんぽ15年10月時点
後発品使用割合60%程度で足踏み状態、「17年央に70%」の目標達成に暗雲―協会けんぽ15年9月時点
協会けんぽの後発品使用割合は15年3月時点で60.4%、「17年央に70%以上」の目標値まで約10ポイントの開き

2017年、健保組合全体で後発品割合は70%を概ねクリア—健保連

保湿剤のヒルドイド、一部に「極めて大量に処方される」ケースも―中医協総会(3)
長期収載品から後発品への置き換え促進、新薬創出等加算などとセットで議論すべき—中医協・薬価専門部会
後発品の薬価、現在3区分の価格帯をさらに集約していくべきか—中医協・薬価専門部会
後発品割合80%の目標達成に向け、処方箋の「変更不可」欄は廃止すべきか―中医協総会(2)

地域の保険者協議会と後発品協議会が連携し、後発品の更なる使用促進を―厚労省