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専門性の高い看護師による「オンラインでの訪問看護支援」、がん化学療法への訪問看護師同行など評価せよ―日看協ほか

2021.7.19.(月)

がん患者が外来化学療法を受ける際に、訪問看護師が同行することで、より質の高い化学療法実施が期待されるため、診療報酬での評価を行ってほしい―。

特別管理加算の対象に「認知症患者」や「難治性潰瘍患者」などを追加してほしい―。

専門性の高い看護師による「オンラインでの訪問看護支援」を診療報酬で評価してほしい―。

日本看護協会・日本訪問看護財団・全国訪問看護事業協会の3団体は7月14日、厚生労働省労働保険局の濵谷浩樹局長に宛ててこうした内容を盛り込んだ、2022年度診療報酬改定に向けた要望書を提出しました(日看協のサイトはこちら)。

がん患者の外来ケモセラピーへの訪問看護師同行などを評価せよ

要望内容は大きく、(1)訪問看護ステーションと医療機関等の連携強化(2)訪問看護ステーションによる在宅療養継続支援の強化(3)ICTを活用した訪問看護の業務効率化の推進―の3点。



まず(1)では、▼退院日に訪問した際の【退院支援指導加算】(現行6000円)について、「長時間・複数回の訪問」や「複数名で訪問」した場合の加算額を引き上げ、状態が不安定な利用者の在宅療養開始が支援できるようにする▼小児・難病患者、がん外来化学療法中の利用者について、「外来受診に同行し、通院介助や医療機関への情報提供を行った場合の評価」を新設する―ことを要望しています。

後者に関しては、がん患者の外来受診に同行している訪問看護ステーションが全体の56.4%にのぼることを紹介。看護師が同行することで患者の心理的不安軽減が期待でき、また患者状態の情報が共有されることで、より適切な化学療法実施に結びつくなどのメリットが考えられ、さらに化学療法の「外来移行」促進にもつながると期待されます。

特別管理加算の対象に「認知症患者」や「難治性潰瘍患者」などを追加せよ

訪問看護では、以下の「特別な管理が必要な患者」への訪問看護においては、そのコストに着目して1か月に1回、【特別管理加算】として2500円(加算II)または5000円(加算I)が訪問看護管理療養費に上乗せすることが認められています。

【特別管理加算Iの対象利用者】
▽在宅悪性腫瘍等患者指導管理▽在宅気管切開患者指導管理▽気管カニューレを使用している状態▽留置カテーテルを使用している状態―にある患者

【特別管理加算IIの対象利用者】
▽在宅自己腹膜灌流指導管理▽在宅血液透析指導管理▽在宅酸素療法指導管理▽在宅中心静脈栄養法指導管理▽在宅成分栄養経管栄養法指導管理▽在宅自己導尿指導管理▽在宅人工呼吸指導管理▽在宅持続陽圧呼吸療法指導管理▽在宅自己疼痛管理指導管理▽在宅肺高血圧症患者指導管理―を受けている状態にある者
▽人工肛門、人口膀胱の設置している状態にある者
▽真皮を越える褥瘡のある者
▽在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している(週3日以上の点滴注射を受けている)患者

今般、3団体では、この【特別管理加算】について次のような見直しを行うよう要望しています。頻回な訪問看護による観察・ケア、利用者の生活状況を踏まえた指導、家族への支援といった「きめ細やかな支援」が必要で、相応のコストがかかる点を踏まえた要望内容です。

▽【特別管理加算】の算定対象に「医療ニーズのある認知症の在宅療養者」を追加し、「認知症ケアに関する専門性の高い看護師」による訪問看護師との同行訪問をさらに評価してほしい

▽特別管理加算の算定可能対象に、「真皮を越える裾癒」に類似した状態として、▼難治性潰傷▼スキンテア(摩擦・ずれによって生じる「皮膚が裂け、真皮深層に達する損傷」)―を追加してほしい

▽「特別訪問看護指示書を月2回交付可能な対象者」の状態像として、▼がん以外のターミナル期▼難治性潰瘍―を追加してほしい

専門性の高い看護師による「オンラインでの訪問看護支援」の評価を

また(3)では、次の2点を要望しました。

▽利用者の同意を得てICTを用いて共同指導やカンファレンスを実施する場合について、「在宅療養を担う保険医療機関のうち2者以上が利用者のもとに赴き共同指導/カンファレンスに参加していること」との要件を緩和し、「全ての関係者の ICTによる参加」を認めてほしい

▽「裾癒ケアまたは人工肛門ケアおよび人工勝胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師」が、他の訪問看護ステーションの看護師に同行して訪問することを評価する▼C005【在宅患者訪問看護・指導料3】▼【訪問看護基本療養費】の「1 訪問看護基本療養費(I)」の「ハ」▼訪問看護基本療養費】の「2 訪問看護基本療養費(II)」の「ハ」―について、ICT を用いて支援を行った場合にも算定を認めてほしい

後者は、「ICUを用いて患部の画像を共有し、専門性の高い看護師の支援を得て訪問看護師がケアを実施する」ケースが多くある実態を踏まえ、専門研修を受けた看護師による同行訪問・同日訪問要件を緩和し、オンライン支援での実施を可能とする環境の整備を求めるものです。「専門研修を受けた看護師」の数が限られる中では、「専門性をオンラインで発揮する」ことにも期待が集まります。

また前者は、現下の新型コロナウイルス感染症への対応をも勘案し、「ICTを活用したオンラインカンファレンス」の実施を広く認めるよう求めるものです。



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