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乳がん再発リスクを評価するプログラム医療機器、開発遅れで「12月1日の保険適用」を保留する異例の事態―中医協総会(2)

2021.12.2.(木)

「12月1日付で保険適用する」ことが承認されたプログラム医療機器「オンコタイプ DX 乳がん再発スコアプログラム」について、メーカー側のプログラム開発が遅れており供給開始が遅れることが分かった―。

こうした事態を踏まえて、当該機器の「12月1日付で保険適用する」旨は保留とし、改めて保険適用時期などを審査することとする―。

12月1日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こうした点が了承されています。厚生労働省保険局医療課医療技術評価推進室の中田勝己室長は「私の知る限り初めての事例であり、メーカー側から詳細な事情を聴取し、今後の再発防止策の検討なども進める」考えを示しています。

「私の知る限り初めての事例」と医療技術評価推進室長も驚く事態

11月10日の中医協総会において、ホルモン受容体陽性かつHER2 陰性の早期浸潤性乳がん患者の腫瘍組織から抽出した21遺伝子のRNA 発現の定量値に基づいて乳がんの再発ス コアを算出するプログラム医療機器「オンコタイプ DX 乳がん再発スコアプログラム」(エグザクトサイエンス社)を12月1日付で保険適用することが承認されました。

「オンコタイプ DX 乳がん再発スコアプログラム」の概要(その1)(中医協総会(2)1 211201)

「オンコタイプ DX 乳がん再発スコアプログラム」の概要(その2)(中医協総会(2)2 211201)

「オンコタイプ DX 乳がん再発スコアプログラム」の概要(その3)(中医協総会(2)3 211201)



しかし、保険適用直前の11月30日になって、当該社から厚生労働省に対して「本プログラムのソフトウェア上の必要な機能が揃っておらず、11月30日時点でも本プログラムの開発は完了していない。本プログラムの上市は、保険収載予定日である12月1日より遅延する見込みである」旨の報告が行われました。

メーカーからの供給遅延申し出(中医協総会(2)4 211201)



医療機器について厚生労働省は「保険適用後遅滞なく供給を開始する」旨の基準を示しており、本プログラム医療機器では、この基準を満たせないことになります。このため中田医療技術評価推進室長は12月1日の中医協総会に▼12月1日からの保険適用を保留する▼今後、当該医療機器のプログラム開発の完了が確認された段階で、中医協において保険適用日について改めて検討する―考えを提示。了承されました。当初予定通りの内容であるプラグラム開発が行われれば、準用技術料の見直しなどは行われない見込みですが、現時点で「保険適用が何時頃になるのか」などは不明です。



本プログラム医療機器に関しては、▼乳がん再発リスクを算出するアルゴリズムを薬事承認(8月6日承認) → ▼メーカーからの保険適用希望書を踏まえて保険適用を審査(11月10日の中医協で承認)—という流れで保険適用が決まりました。通常は「販売可能なまでに製品が完成する」のを待ってメーカーから保険適用希望書が厚労省に提出されます。医療機器では上述のとおり「保険適用後速やか」、医薬品では「保険適用後3か月以内」に供給を開始(=販売開始)することが求められるためです。しかし、本事例では「そこに至る前に保険適用希望書が提出された」ことになり、中田医療技術評価推進室長は「こうした事例は私の知る限り初めてのこと」と驚きを隠しきれない様子です。

厚労省は、今後詳細な状況(プログラム開発が間に合わない事情や、販売体制が完了しない段階で保険適用希望書を提出した経緯、今後の見通しなど)についてメーカーから聴取し、今後の取り扱いを検討するとともに、「再発防止策」についても検討する考えです。中田医療技術評価推進室長は「医療機器業界などの全体に関係する課題が見つかれば、業界団体にも再発防止を要請していくことになるかもしれない」との考えも示しました。



この問題について中医協総会では、「当該プログラム医療機器の販売に期待を寄せ、待ちわびている乳がん患者もおられる。早期の対応が望まれる」(支払側の松本真人委員:健康保険組合連合会理事)、「再発防止に向けた取り組みが重要である」(公益代表の中村洋委員:慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授)といった声が出たほか、「論外である。医療機器の保険適用プロセスなどの仕組みについても再度、検証する必要があるのではないか」(診療側の長島公之委員:日本医師会常任理事)との厳しい指摘も出ています。

医療保険制度上「医療機器の供給が遅れる」ことに対するペナルティ規定はありませんが(医療保険制度以外のペナルティについては明らかになっていない)、「患者の期待を一部裏切ってしまっている点」「医療保険制度の信頼性を揺るがす事案でもある点」などを踏まえ、メーカーサイドには真摯な対応が求められます。



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